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何がECMOでも救えなくさせているのか

category - 素朴な疑問
2020/ 04/ 10
                 
一部で重症化する症例が散見されている新型コロナウイルス感染症ですが、

この状況を受けて、ECMO(Extracorporeal membrane oxygenation;体外式膜型人工肺)という医療機器が俄に注目を集めるようになってきています。

私はもともと脳神経内科出身の医師で、一時期救急科の医師として1年ほど三次救急(超重症患者を扱う救急医療)にも携わっていた経験があるのですが、

正直言ってこのECMOという医療機器のことはこの騒動で初めて知りました。

ネットでの情報をみる限りは、原理としては腎臓の代わりを機械で行う透析の肺バージョンのようなことで、

人工呼吸器が弱った肺を無理矢理動かして何とか現状を保とうとするのに対して、ECMOは機械で肺の働きを完全に肩代わりすることで自分の肺を休ませる目的があるようです。
            

このECMOという機器は救急医療の中でも最後の砦的な位置づけとなっているようで、そもそも救急や集中治療を専門とする医師であっても誰もが扱えるようなものではなく、

さらには医師一人で行えるものでもなく、ECMOに習熟した看護師や臨床工学技士といった他職種の連携が不可欠となるので、実際にはECMOを使える病院はかなり限られてくるのだそうです。

日本呼吸医療学会の2020年2月の調査では、ECMOは全国に1400台あるも、同時に稼働できるのは300台程度と推定されています。

そんな最後の希望的なECMOですが、やっている事は「機械で肺の代わりをして時間を稼いでいる間に自分の肺が機能を回復してくれるのを待つ」ということ、すなわちECMOが効くかどうかは自己治癒力の残り具合によって決まるといっても過言ではないように思います。

それ故、ECMOの適応は年齢も大きな基準となっているようで、65〜70歳以上の患者は経験的にECMOを使っても肺機能が回復してこない事が多いことから、限られた医療資源を有効に利用する目的からも導入を断念する場面もあるようです。

気になるECMOの有効率ですが、日本呼吸医療学会が3月30日までに集めた症例では、40人中、既に19人が危篤状態を脱したということです。

半分程度だとしても他のどの治療法でも助けることができなかった命を救えるのだとしたら、資源を投入すべきだということで国はECMOを使える環境を整えるよう各都道府県に働きかけているようですが、

機械だけ増えてもそれに習熟する医師がいなければむしろ無駄な資源となってしまうのでこの動きには賛否両論聞かれているような状況です。


今回この話に関して私が注目したいのは、結局新型コロナウイルス感染症で患者を死に至らしめているのは、

突き詰めれば患者自身の持っているシステムのオーバーヒート、言わば自己治癒力の暴走とも言える現象なのではないかと思うのです。

もともとはウイルスがきっかけで起こっている現象ではありますが、ここまで人体を休ませていてもオーバーヒートが冷めることはない、それほどひどいオーバーヒート状態に至らせているものは何なのでしょうか。

勿論ウイルスという異物が排除しきらないから炎症反応が起こり続けるからというのは一つの考え方だとは思いますが、

すべての人がこのウイルスが入ることによってオーバーヒートが引き起こされるわけではないです。むしろ大半の人は身体の持つもともとのシステムが働くことによって問題なくウイルスは排除されているし免疫も獲得することができている。

つまり人間の身体のデフォルト状態は新型コロナウイルスを適切に処理できる能力が備わっているということです。

ところが一部のECMOを使って、究極的に人体を休ませるくらい人為的な環境を使っても、それでも人体は休むどころか相も変わらずオーバーヒート状態を続け、ついには自分自身を死に至らしめる所まで行き着いてしまうわけです。

これはウイルス以外にシステムをオーバーヒートさせるような何らかの燃料が注ぎ込まれていると考えるのが妥当だと私は思うのです。

重症化する人は高齢者だとか、基礎疾患がある人に多いという情報から推定して、その燃料は外部からもたらされた何かというわけではなくて、

たとえどれだけ異物のをも排除できるクリーンルームの中であっても、決して排除することのできない不安や恐怖といった慢性持続性の精神的ストレスではないかという考えに私は至るのです。

一方でECMOを利用するような状況に至っている人はもはや意識がない状態だと思われますので、

このストレスという名の燃料を注ぎ込むことができるのは、意識不明の重体となるまでの間の時間において、だと思います。

従って、ECMO導入前にどれほどの不安・恐怖の燃料が注ぎ込まれたかという事が、経過に大きな影響を与えているという要素は確かに存在していると私は思います。

勿論、それだけが原因だとまでは言うつもりは流石にありません。他の臓器の予備能力だとか、薬剤の使用状況だとか、他の要因も影響してECMO利用で生存できるかどうかという結果につながっているとは思いますが、

少なくとも、そこまでのオーバーヒート状態になる前に、注がれる燃料の中で取り除けるものは取り除いておくべきだということに異論を唱える人はいないのではないでしょうか。

ウイルスを取り除くことに世の中は精一杯になっていますが、本当の敵は自分の頭の中にいるように私は思います。

なぜならば私達の身体はもともとは正常に機能しさえすれば、難なくウイルスを排除できるシステムがデフォルトで備わっているからです。

そのすごさを心から信頼して、せっかくの素晴らしきシステムを最大限活用できるように、

心身だけは「未知のウイルス感染症」という恐怖の概念に支配されることなく、健全な経過をたどれるようにしておくためにも、

心の在り方を整える行為は、すべての病気を克服するために大切なことだと私は思います。


たがしゅう

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コメント

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たがしゅう先生おはようございます。
私が暮らしている山梨県のとある地域は、幼稚園が昨日から自粛になりました。小学校は解放していますが自習をしています。
子供達には強制的に普段より多くたんぱく質&野菜を取らせています。
糖質制限をしているのでコロナウイルスに対してそんなに危機感は持っていませんが、この御時世なのでマスクをしていないと嫌がられるので、仕方なくマスクをしています。
85歳の祖母はコロナウイルスに対して異様な恐怖感を持っていますが、テレビや近所の人達に恐怖感を植え付けられているのか、殆ど外出していないそうです。
私は交通事故に合って1年以上前経つので、来週から骨盤のボルトを抜く手術をするのですが、病院からコロナの検査をしないと入院拒否だと言われました。
主人は出張先からもコロナのため来ないように言われました。
何だか全てがおかしいように思えます。
とにかく、ストレスを溜めないようにして、こんな状況でも日々の生活を楽しみたいと思います。
先生の健康、御活躍をお祈りしています。

心のありかたとは。
私は二年間、小児病棟に入院していました。
幼くして、まだ青年のうちに亡くなった方たちを何人もみました。
心の在り方が病気に与える影響が大きい場合もあるでしょう。けど大人には心の在り方でと言えますが子供の場合はどうなんで
しょう。
心の在り方だけではどうにもならない病もあるはずです。
私は下半身麻痺です、昨年は甲状腺炎で大変な思いをしました。

また、糖質制限をしているから大丈夫という方もいますが、
病とはそんな生易しいものではないと思います。

Re: タイトルなし
あっぴ さん

 コメント頂き有難うございます。

> 何だか全てがおかしいように思えます。

 私も本当にそのおかしさを感じています。
 「大切な人のために」「STAY HOME(おうちで過ごそう)」などという聞こえのよい言葉が立ち並び、大半の人々が距離を取り合うという極めて不自然な行動を自然な形でとらされているこの構造は、現代社会の弱点を如実に反映しているように私には思えます。

 どうにか弁証法的アプローチで解決へと近づけないか思いあぐねております。
Re: 心のありかたとは。
ココア さん

 コメント頂き有難うございます。

> 心の在り方が病気に与える影響が大きい場合もあるでしょう。けど大人には心の在り方でと言えますが子供の場合はどうなんで
> しょう。
> 心の在り方だけではどうにもならない病もあるはずです。


 大事な御指摘だと思います。これには私なりの意見を持っています。
 大切なことなのでブログ記事にて返答させて頂きたいと思います。