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ウイルスの消毒は自分自身への攻撃に通ず

category - ウイルス再考
2020/ 04/ 07
                 
新型コロナウイルス感染予防に各所でアルコールでの手指消毒がさかんに叫ばれています。

ところでアルコールがウイルスを死滅させるメカニズムというのはどのようなものなのでしょうか。

調べてみますとアルコールの殺菌作用は濃度にもよりますが、主としてタンパク質の変性作用によってもたらされているようです。

細菌が相手であれば細胞の内部環境を維持する細胞壁や細胞膜のタンパク質をアルコールが変性させることにより壁や膜が崩れて、内部の恒常性が崩れて細菌が増殖能を失うという理屈です。

ウイルスに対してもこのアルコールの性質が働いてウイルスはその増殖能を失うということになるのだと思いますが、

ウイルスには細胞膜の代わりに「エンベロープ」という(糖)タンパク質があり、この構造は一部宿主(感染される動物)の細胞に由来する部分もあります。
            

要するにウイルスの外殻であるエンベロープは、動物細胞の細胞膜と成分的に似ている、ということです。

ウイルスとは動植物細胞の複製エラー」という仮説の立場でみても不思議ではない事実です。

そして細胞膜しかないウイルスや動物細胞よりも、細胞膜+細胞壁で守られている細菌の方がバリアとして強固なものですので、

細菌の細胞壁+細胞膜を壊すアルコールは、当然動物細胞の細胞膜やウイルスのエンベロープを壊せても不思議ではないどころか、そっちの方が壊されやすいという事になります。

ここで気付くのは、私達はアルコール手指消毒でウイルスだけをやっつけている気持ちでいるかもしれませんが、

それは同時に自分の手の細胞までもを攻撃していることになるのではないかということです。

実際、アルコール消毒のやり過ぎで手が荒れるという現象は時に観察されることがありますし、

アルコール消毒で手が荒れてない場合は大丈夫なのかと言えば、それはそれでそれくらいのアルコール刺激だとウイルスも死滅していないという可能性が出てきます。

目に見えないウイルスが相手となると、結構私達が思い込んでいる所が大きいということに改めて気付かされます。

マスクのウイルス防止能の乏しさについてもそうですが、直感と異なる部分は理論で補っていく必要があるように思います。

もう一つ、このウイルスに対する消毒について調べていて気付いたことがあります。

以前も触れましたが、ウイルスにはエンベロープがあるウイルスとエンベロープがないウイルスとがあります。

実はアルコールによってウイルスを死滅させる効果は、このエンベロープがないウイルスには発揮されにくい(抵抗性がある)のだそうです。

エンベロープがあるウイルスは、外側からエンベロープ、カプシド、DNA(RNA)と二層のタンパク質で守られている構造になっているのですが、

エンベロープがないウイルスは単純に言えば「カプシドだけに包まれたDNA(RNA)」という構造となっています。

普通に考えればエンベロープのバリアが余計にある分、エンベロープのあるウイルスの方がアルコールの障害に抵抗しそうですが、

実際にはエンベロープのないウイルスの方がアルコールに強いという事実となっています。これは一体なぜなのでしょうか。

その理由は調べてみてもあまり確かなことが書かれていないので、あくまで私の想像にはなってしまいますが、

理屈で考えれば、DNA(RNA)の方には構造的に、あるいは物理化学的に大きな違いがあるとは思えませんので、

エンベロープがあるウイルスの「エンベロープ+カプシド」よりもエンベロープのないウイルスの「カプシド」の方が構造上安定している、ということになると思います。

これもまた「ウイルスとは動植物細胞の複製エラー」という仮説の立場に立って考えてみますと、

エンベロープのあるウイルスは、何とか細胞膜の構造を不完全ながら作ることができたので、中のカプシドの構造はそこまで強固な構造でなくても成立したのかもしれませんが、

エンベロープのないウイルスは、細胞膜の構造さえ作ることができない程に不完全性の高い複製エラーでしたが、それでもDNA(RNA)部分を守るためには外部環境と内部環境を区別する仕切りが必要でした。

その結果、不完全な小分子群が分子間力(ファンデルワールス力)などによって結合して凝集した形で物理的に緊密度の高い安定構造を作ったと、それがエンベロープのないウイルスの「カプシド」なのだろうと思います。

故にエンベロープのないウイルスの「カプシド」とエンベロープのないウイルスの「カプシド」は同じ名前でありながら、その物理化学的な安定性は全く違うことが推定されます。

それでもエンベロープのないウイルスもアルコールに対して全くの無敵というわけではなく、長時間アルコールに暴露され続ける状況があれば、不活性化するのだそうです。

ちなみに新型コロナウイルスはエンベロープのあるウイルスの方なので、アルコールによって壊れやすいタイプのウイルスではあります。

しかし繰り返すようですが、ウイルスを攻撃することは自分の細胞を攻撃することと同義です。

そういう意味でもウイルスをやっつけようとする発想を持つのではなく、ウイルスと共存する発想を持つことの必要性を私は感じる次第です。


たがしゅう

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