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相手をコントロールしようとしない感覚でいる

category - おすすめ本
2020/ 04/ 04
                 
100人が聞いたら99人は受け入れられないような話かもしれませんが、

私にとっては現在の新型コロナウイルス感染症を取り巻く混迷の現代にとって大変重要なメッセージが込められた本だと感じましたので、

本日は100人のうち1人には届くかもしれないことを願って、この本の書評をさせて頂こうと思います。



僕は、死なない。 全身末期がんから生還してわかった人生に奇跡を起こすサレンダーの法則 (日本語) 単行本 – 2019/12/18
刀根 健 (著)
            

著者は刀根健(とね・たけし)さんで、教育系企業で心理カウンセリングの資格を取得され、企業のコミュニケーションやリーダーシップ研修などの講習も請け負う傍ら、

一方でボクシングジムでプロボクサーの指導なども行っているという非常に多才な方です。

この本はその刀根さんが、2016年9月1日に肺がん(ステージⅣ)が発覚し、そこから紆余曲折を経て2017年7月の時点で診察上全てのがんが消失している状況まで持っていったという経験をなさり、

その過程でどのような心境の変化があったかということを、患者視点で心の声を交えながら刻銘に記録された体験記となります。

この新型コロナウイルス騒動の最中でこの本に出会ったことには何か大きな意味があるのではないかと感じさせられるほど、私にとってはとても参考になりました。

これはあくまでも末期がんサバイバーのいち体験記かもしれませんが、

「自己細胞の異常化」という観点で「がん」と「ウイルス感染症」に共通性を見いだしている私は、

ここで語られている内容は、私達が新型コロナウイルスとどのように向き合えばよいか、どう共存していけばよいかということを考える道しるべになると強く感じました。

この話の「がん」を「ウイルス」に置き換えれば、それはそのまま役に立つ話になるのではないかと私は思います。


さて、私は過去にも末期がんサバイバーの方が書かれた本を2冊読みました。

一人は「10万回のありがとう」というスタンスで末期子宮がんに対して感謝を示した工藤房美さん

もう一人は「がんを愛する」というスタンスで転移性の腎臓がんを乗り越えた寺山心一翁さんです。

お二人とも一般的には「敵」だと感じられる「がん」を、「感謝」「愛」という「味方」的に捉えるという形で身体に劇的な変化をもたらすというアプローチでしたが、

本書の刀根さんはその二人とは異なるアプローチでがんの克服に至った経緯が大変興味深いものでした。

それは「サレンダー(明け渡し)」というものです。

注目すべきは、刀根さんは最初からがん克服の奇跡を経験することができたというわけではなかったということです。

最初に肺がんステージⅣだと診断された際にはまだ体調不良を感じられることもなく、普通に仕事ができておられる状況でしたが、

持ち前の向学心で、がんに対する代替療法を含めた様々な治療法について勉強され、その全てを完璧なまでに実行され続けて来られました。

試されてこられた治療法を一部挙げてみますと、完全玄米菜食、断塩、断糖、ノニ・アガリスクをはじめとするサプリ、気功、漢方、自強法、陶板浴、ヒーリング、呼吸法、八門遁甲など・・・

私が推奨している糖質制限も含めたありとあらゆるがん代替療法を試されましたが、残念ながら肺がんは徐々に大きくなり、

胸痛が出現し、咳が止まらなくなり、血痰が見られるようになり、嚥下困難になり、嗄声になり、体重がやせてきて、動くのも辛くなってきて・・・というように徐々に身体症状が悪化する経過してこられたそうなのです。

それぞれの立場で科学的根拠があるものもないものも全て真剣に試して来られたにも関わらず、それでも悪化していく病態を食い止めたものが、サレンダーという感覚です。

本書よりサレンダー経験前の心情を表す一節と、サレンダー経験後の心情を表す一節を抜粋してみますので、比べてみてもらえればと思います。

まずはサレンダー前の様々な治療法に必死に取り組んでおられる状況の一節です。

(p34-35より引用)

(前略)

ああー、どうしよう!

死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない!

僕は完全に恐怖に捕まった。

死んだらどうなるんだろう?

死んだら何も考えられなくなるのかな?

死んだら消えちゃうのかな?

消えるってどうなっちゃうことなんだ?

消える?

僕は、消えるのか!?

「抗がん剤は効くかどうかわかりません。やってみなければわからないのです」
「そうやって、薬をつないでいくしかないのです」

怖い、怖い、怖い。

僕は、がんで死ぬのか?

死ぬのが怖い、死ぬのが怖い、死ぬのが怖い!

恐怖をかき消すように、心の中で叫ぶ!

いや、治るんだ!治すんだ!絶対に生き残ってやる!

(引用、ここまで)



切迫した想いがリアルに伝わってきますし、非常に主体的に問題に対して立ち向かおうともされているように見えます。

続いて、全ての治療法を試したけれど悪化していく病状の中でサレンダーを感じた時の一節です。

(p180-183より一部引用)

僕は頑張った。やれることは全部やった。あれもこれも、これもあれも、全部やって、やり尽くした。これでもかってくらい頑張った。今まで人生でこんなに頑張ったことはなかった。まさに、命がけでやってやって、やり尽くした。

それでも、ダメだった。

まさに、完敗。

完璧な、完膚なきまでのKO負け。

これでもう、僕にやれることはなくなった。できることはなくなった。ゼロだ。ナッシング。

もう何もできることはない、何も考えられない。

完全に白旗です・・・・・・。
神様、降参です・・・・・・。

そのときだった。

目の前が急に明るくなり、呼吸がさわやかになった。圧力釜の中のような圧縮された暑苦しい高密度空間から、一気に何もない軽やかな空間に解き放たれた。

なんだ? これ?

突然、僕は爽快感に包まれたのだ。

そうか、もう抵抗するのはやめよう。

もう握りしめるのはやめよう。

できることは何もないんだから、全てをゆだねよう。

もう、お任せしよう。

お任せするしか、ないじゃんか。

ふにゃふにゃと、身体がまるでクラゲになったように力が抜けた。

(中略)

これはなんだろう?
全力を尽くした爽快感?
それとも、もう何もしなくてもいいという解放感?
でも、とにかく気持ちがいい。
そっか、手放したのか。
これが”自分”を手放した、向こう側の世界か。
向こう側の世界っって、なんて気持ちがいいんだろう。

(引用、ここまで)



つまり刀根さんは、がんを絶対に自分の力で治すという自我(エゴ)を持っている時には病状が悪化して、

自我を捨てて降参(サレンダー)し、全てを大きなものの流れに任せるという心持ちになった瞬間に「あ、なんか治る」という気持ちが自然とわいてきて、

その後は実際に徐々に体調がよくなる経過をたどっていき、最終的にがん消失レベルまで回復したということなのです。

いかがでしょうか。皆様にとって信じられる話でしょうか。私にとっては大いに説得力を持つ話です。

ちなみに刀根さんは、サレンダー後のよくなる過程で全肺がん患者の4%にしか発現していないというALK融合遺伝子が見つかり、アレセンサという特殊な抗がん剤(分子標的治療薬)を使うことになったので、

この劇的な効果を医者はアレセンサによるものだと評価されていることと思いますが、

アレセンサがいかに効く薬として、末期がんをがん消失レベルまで持って行くことができるとは到底思えないですし、

経過から考えてサレンダー後の大きな心境の変化の方が深く関わっている可能性が高いと考える方が妥当だと思いますし、

もっと言えば、アレセンサで副作用が出ているにも関わらず、それでも末期がんを乗り越えることができるくらい、心の在り方が変わったことが影響していたのではないかとさえ思えます。

同じ末期がんサバイバーでも工藤房美さんや寺山心一翁さんのようにポジティブな感情に切り替えて末期がんからサバイブしたというのではなく、

ポジティブもネガティブもなく、あれこれ判断しようとする意図をなくしたことが劇的な改善につながっているという刀根さんの経過は、

何が病気を悪くしているのかという本質的な部分に対するヒントを教えてくれているように思うのです。

すなわち、「がん」に感謝するとか、「がん」を愛するとか、すべてを成り行きに任せるといった態度の共通点は、

「相手をコントロールしようとしない感」という所にあるのではないかと思います。

それは「がん」を敵ではなく、味方だと思うべし、という私の考え方にも通じる所があって、

相手を敵だと思えば、征服しようとしたり、回避しようとしたり、攻撃しようとしたりなど、コントロールしようとする感覚が生まれますが、

相手が味方で、しかも感謝とか愛を伝えたくなるような存在に対して、自分が相手をコントロールしようだとか、どうこうしようという気持ちは自ずと起こらなくなるのではないでしょうか。

その「コントロールしようとしない感」とは、「あるがままの状態を受け入れる」ということでもあり、

そのような状態になることが、身体の状態を末期がんからサバイブさせるほどに、他のどの代替療法でもできなかったほどに身体を改善させる効果があるのだとすれば、

現在の新型コロナウイルス感染症に対する私達の態度は、まさにその真逆とも言ってよい状態になってしまっているのではないでしょうか。

手洗い⇒ウイルスを排除して自分をコントロールする
うがい⇒ウイルスを排除して自分をコントロールする
アルコール消毒⇒ウイルスを殺菌して自分をコントロールする
マスク⇒ウイルスの侵入を阻止し自分をコントロールしようとする(阻止できないけれど)
外出自粛⇒ウイルスの暴露を防ぎ自分をコントロールしようとする
オーバーシュートを避けるため都市をロックダウンする⇒ウイルス感染の爆発的拡大を防ぐため、集団をコントロールしようとする


全て相手をコントロールしようとする行為に他ならないのではないでしょうか。

コントロールしようもないものをコントロールしようとして、コントロールできない時に人はストレスを感じます。

その慢性持続性ストレスはストレス応答システムを慢性的に持続稼働させ続け、免疫力を着実に低下させていきます。それはステロイド長期内服の副作用に通じます。

まさに「ウイルス」というものをほとんどの人が敵視することによって、

情報の爆発的拡大システムの助けもあいまって、

刀根さんのサレンダー前のような心境がほとんどの人達の心の中に刻み込まれていっている状況なのではないかと私には思えます。大変由々しき事態です。

刀根さんのサレンダーを是非とも参考にしましょう。

「ウイルス」はそもそも敵視するような対象ではないのです。

今までも普通に存在していたし、今までも測定していなかっただけで無症状の感染者はきっといたことでしょう。

無症状の人でも感染しているかもしれないと思って検査され始めたのはおそらく今回が初めてなのではないでしょうか。

今までの世界でも、「ウイルス」は悪者と認識されがちでしたが、見方を変えれば体調が悪くなっている事を「風邪」という形で強制的に教えてくれている存在でした。

今はその同じ現象が、明確なる「敵意」のせいで、一時的な反応で治まりにくくなってしまっている状況です。

「相手をコントロールしようとしてできない感覚」がただの風邪を風邪で治まらない状況へと悪化させてしまっているのではないでしょうか。

ウイルスに感染するのは自然の成り行き、ウイルスに感染させないとかさせられないとか人間にコントロールできるような話ではありません。

ウイルスというのはあまねく存在し、どこにいるのか目に見えない存在だからです。

ウイルスを「敵」だと認識し、それを排除しようと全力で攻撃(もしくは回避)しようとし始めてから、世界が未曾有の危機に追い込まれてしまっているように思います。

「ウイルス」を「愛せ」とまでは言いません。それでも「コントロールしようとする」のは止めにしませんか

コントロールしようとさえしなければ、刀根さんがそうであったように、おそらくは液性免疫や細胞性免疫、NK細胞の働きなど自らが持つ万能薬的なシステムがフル活動して、

新型コロナウイルス感染症は私達の無理に気付かせてくれるただの「風邪」に戻ってくれることでしょう。

このメッセージが誰かの心に届いてくれることを願っています。


たがしゅう

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