若者が感染拡大の原因だとは到底思えない
2020/03/12 13:10:01 |
ウイルス再考 |
コメント:2件
今回の新型コロナウイルス感染症は感染者が軽症であったり、無症状であったりすることが多く観察されているので、
感染の拡大を拡げているのは気付かずに感染している若者だ、だから若者は不要不急の外出を避けるようにと厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議では呼びかけられています(※2020年3月12日現在)。
私はこの見解はどうかと思っています。これだから専門家を盲信するのはよくありません。
ともかく相手は目に見えないウイルスなので、誤解を生じがちになることは理解できますが、もう少し冷静に判断してもらいたいものです。
感染経路が特定できないからといって、若い人がウイルスをばらまいているという説にたどり着くというのはどうかと私は思います。
そもそもウイルスの遍在というのは、新型コロナウイルスの誕生前にも普遍的に起こっていたはずの現象です。
だからこそ、人は風邪という名のウイルス感染症を不定期で繰り返していたし、それを完全に防ぐことなど不可能であることは経験してきたはずです。 ところが、今まで私達はその風邪という現象に対してどのウイルスが原因なのかを検索しようとはしませんでした。
検索対象となるウイルスは無数にいるし、検索できたところで治療法はないし、検索しなかった所で自然に治ることが経験的によくわかっているし、検索することにかかる費用が効果に見合わないからです。
ところが今回幸か不幸か、「新型コロナウイルス騒動」によって、特定のウイルスだけを強く意識する状況が生まれてしまったために、
無症状の人にも有症状者との濃厚接触などの高リスクを理由にウイルスを検索し出すという普段とは異なる行動をとるようになったため、
無症状者にも風邪症状をきたすウイルス感染がありうるという情報が、初めて明らかにされました。
しかしこの、「無症状者に起こりうる風邪ウイルス感染」という現象が、新型コロナウイルスでのみ起こっている現象だという可能性と、今までの風邪ウイルスでも普遍的にありうる現象だという可能性とではどちらが可能性が高いでしょうか。
当然後者の方が高いと考えるのが自然な流れではないでしょうか。
少なくとも無症状者でのウイルス感染が今回初めて観察された現象であるということが証明されていない限り、この呼びかけは意義がないどころか有害でしかないと私は思います。
なぜならば乏しい根拠で若者の社会活動が制限されれば、身体的にも精神的にもその制限がなければかからなかったストレスがかかり続けて新たな病気の引き金になったり、社会経済活動の停滞リスクが確実に上がるからです。
すべてウイルスを避けて生活をしようとする考え方の無理難題さに私達はそろそろ気付かなければなりません。
私達はウイルスが遍在する世の中で生きているし、これまでも生きてきたし、これからも生き続けていかなければならないのです。
百歩譲って無症状の人がウイルスに感染しているとして、ウイルスというのは宿主に感染していないと生きていけない微生物(微無生物?)です。
咳もなく飛沫も飛びようもない状態でいつの間にか空気中を漂って誰かに感染しているというのは論理的に非常に考えにくい話です。
今のところコロナウイルスが空気感染するという証拠はつかめていないし、空気感染したとしても飛沫もないのに空気感染するなんていう現象は考えにくいし、そんなことがもし起こるのであれば、若者の行動を制限したとしてもすでに手遅れでしょう。
結局、感染経路が特定されないことが「若者感染拡大説」を生み出してしまっていると私は思いますが、
私は新型コロナウイルスのPCR検査がはらむ不確実性が、今回の全国への爆発的な拡大を生み出しているのではないかと考えています。
基本的に人から人への感染がウイルスが伝わることが唯一の感染形式だとするならば、
たとえはよくないかもしれませんが、バケツリレー的な直接伝達がウイルス感染の唯一の形式なのだとするならば、
全国への拡がり方はもう少し局所性を帯びていないとならないと私は思います。
言い換えれば「どこからウイルスが侵入したかが想像しやすい感染者マップ」になっていなければおかしいということです。
北海道にはPCR検査数における陽性者(感染者)の割合が他の都府県に比べて比較的高いという印象はあるかもしれませんが、
それにしても割合で言えば、東京をはじめとした都会での割合と同等(※2020年3月12日現在でのデータ)ですし、
北海道の無症状者が全国を移動し感染を拡げたにしても各地に散らばっていすぎですし、北海道民の移動で感染したというのであればより人口が密集している東京や大阪で感染者数が急増していないと話が合いません。
勿論、PCR検査の実施数に限りがあるので、データ自体が事実を反映しきれていないという可能性はあるわけですが、
これがもし新型コロナウイルスの感染を示したのではなく、新型コロナウイルスと似たDNA配列を持った旧型コロナウイルスを陽性と判定してしまっていた、と仮定すればどうでしょうか。
私達は今までもいたかもしれない、しかし調べようともしなかったコロナウイルスに対して、
新型コロナウイルス騒動を契機に、無理矢理でもPCR検査の数を増やして既存の風邪ウイルス感染を勝手に探し出すようになって、
今までも普遍的に起こっていたけれど認知されていなかっただけの現象に対して恐怖を覚え、そのウイルスの感染経路がわからないと戸惑い、
あげくの果てに無症状の若者の感染者が拡大させているとしか考えられないという暴論を導くに至っているのだとすれば、
これは大変問題のある提言だということにはならないでしょうか。
勿論、私の見解は今までも新型コロナウイルスのPCR検査をしていれば陽性になったかもしれないという仮定に基づくものなので、証明することはできない話です。
ただ、少なくとも若者を感染拡大の原因にする見解が、非常に歪んだものの見方になっているということだけははっきりと言えます。
いいかげんに目に見えないけれど今までも共存してきたであろうウイルスに存在におびえ、
これを避け続けるという無理難題に取り組み続けるのはもう止めにしてはどうでしょうか。
専門家や公的機関は立場上、いろいろ危険をあおることをこれからも言い続けるかもしれないけれど、
ウイルスと共存しながらそれでも社会が存続していくにはどうすればよいか、
このことについて個々人がもっと考えを及ばせるべきなのではないでしょうか。
この声も多くの人へ届かないかもしれないけれど、それでも私は発し続けていきます。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
No title
現時点で若者がウィルスをばらまいていなくても、休校にするのは、将来的に学校での集団感染から、若者がウィルスをばら撒く事態を未然に防ぐには有効ではないでしょうか。
武漢、イタリア、イランで、人がバタバタと倒れてる映像があります。
日本に来てるウィルスと同じウィルスなんですかね??
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
無症状の人がウイルスをばらまいているとはウイルスの性質からして考えにくいし、免疫力が弱った人がウイルスに感染する事態が発生したとして、その感染経路が特定できないからといって、それが若者によるとは限らないし、他の可能性も十分に考えられるし、そんなことはそもそも言ってはいけないというのが私の見解です。
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