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治すよりも引き出す

category - ふと思った事
2019/ 11/ 15
                 
前回、何かをプラスすることによる症状改善は、一時期自分の持っている力以上の能力を引き出しますが、

その後身体がその非日常環境に適応しようとする形でプラスによる改善効果が鈍化し、一方で本来自分の力で発揮すべき環境適応能力が弱まってしまうために、

結果的にそのプラスによる改善効果は一時的に留まり、消耗疲弊した心身機能はその後プラス追加前より衰退していくという可能性について指摘しました。

特に認知症の薬についてその構造と危険性、そしてそれらがエビデンスの登録期間の妙によって見事にマスクされており、市場では構造も危険性も認識されないまま、エビデンスある薬として漫然と使用され続けている問題点についても触れました。

そのようなリスクのある認知症の薬を、現場の経験からごく少量使用にとどめることによってリスクを最小化した手法が認知症コウノメソッドだと私は考えています。
            

確かに認知症コウノメソッドの手法で薬を出すと、それまでの出し方に比べて症状は改善し、副作用が減るという事実を実感します。

しかしいくら用量を減らしたといっても、使っている薬は一時的に過剰適応させ、その後消耗疲弊状態をもたらす構造を持つ薬であることには変わりありません。

ごく少量で認知症の薬を使用し続けていると確かに大きなメリットがあります。

そうなるとそのまま薬を使い続けて現状を維持しようという発想へよりなりやすいかもしれませんが、

程度の差こそあれ、結果的に消耗疲弊へと導く構造があるのであれば、やはりどれだけ影響が小さかったとしても、

薬による症状の改善はあくまでも時間稼ぎと捉えて、そうやって時間を稼いでいる間に根本的な問題へアプローチすることを忘れないようにしたいものです。

言い換えれば、コウノメソッドは私達が使う薬を無毒化するやり方ではなく、毒性を限りなく目立たなくした方法であるということです。

逆に言えば、コウノメソッドが劇的に効くというケースは薬がすごく効いたというよりも、

薬の毒性を最小化し、薬の効能が最大限に発揮されるポイントを利用することによって、もともと残っていた能力が最もよく見える環境を整えたと、言うこともできるかもしれません。

いずれにしても自分が治すという傲慢より、相手が持つ素晴らしい力を引き出す発想で医療と関わっていきたいと思います。


たがしゅう

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コメント

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認知症治療の主治医と言う存在
一人暮らしの母親の認知症の薬物治療に疑問を持ち、主治医に相談してなにより困ったのは「じゃあ、やめますか?それだったら、うちでは診れません」とはっきり言われたことです。

主治医がいないと介護保険の手続きができません。極端なことを言えば、私は認知症の治療内容なんかどうでもよく、「主治医」として書類に記入できる医師が必要だったのです。

しかし、遠隔地(片道300km)ゆえ、私が病院に連れて行けるのは土曜日の午後で、その時間に診療してくれるクリニックが他には見つかりませんでしたし、例え見つかっても多かれ少なかれ同じような対応だろうと思い、仕方なく、母親には申し訳ないと思いつつも、この理不尽さを我慢せざるを得ませんでした。抗認知症薬なんて効くのかどうかもはっきりしない割には副作用も多いし、こちらから提案する方法を相談しながら診てくれる医師なんて皆無に等しいと思います。ほとんど治ることのない認知症を本気で治療しようと思っているのか疑問です。この主治医も医師と言うよりソーシャルワーカーでした。病状を改善しようと言うよりも事あるごとにヘルパーの手続きをしろとか、一人暮らしは無理だとか、毎回、聞かれることは生活で困っていることはないか等、私が医師に期待する事(病状の説明、今後の経過予測等の説明はほとんどなし)とはかけ離れていました。

医師からの押し付けしか選択肢がないような理不尽な事は何とかならないのか、本気で治療してくれる医師はいないのかと思った次第です。
Re: 認知症治療の主治医と言う存在
西村典彦 さん

 コメント頂き有難うございます。

> 医師からの押し付けしか選択肢がないような理不尽な事は何とかならないのか

 そういう事態を打開する一つの選択肢として、私は主体的医療に基づくオンライン診療を推進しています。
 今後患者の主体性を最大限応援する医師が少しでも増えるきっかけになればと思います。
No title
先生、こんばんは。

お二人のやり取りを読んで思ったのですが、介護保険の認定で必要な主治医の意見書はオンライン診療でも対応可能なのでしょうか。ふとした疑問ですがよろしくお願いします。
Re: No title
花鳥風月 さん

 御質問頂き有難うございます。

> 介護保険の認定で必要な主治医の意見書はオンライン診療でも対応可能なのでしょうか。

 何度も書いたことがある書類なので、技術的には勿論可能ですが、
 制度的に問題がないかどうかは確認する必要があります。そのあたりの問題がクリアできれば対応可能です。