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タンパク質低下の原因は糖代謝持続駆動状態
これはストレスホルモンとして有名なコルチゾールが何らかの原因で過剰に分泌され続けることによって起こる一連の病態を示す病気のことを指します。
いわばストレスがかかり続けてそれが解消されないと、人間の身体がどうなっていくかという事が表現されている病気とも言えます。
ただし、本来はストレスがずっとかかり続けていくと、過剰適応から消耗疲弊へと病状は変わっていきます。
クッシング症候群はストレスの有無、解決がされているかどうかに関わらず、ストレスホルモンが持続的に分泌され続けている状態なので、
言わば過剰適応病態の究極形が表されているといってもよいかもしれません。
そんなクッシング症候群ですが、どんな症状を呈するのかと言いますと代表的な症状は次のようなものになります。
・中心性肥満
・満月様顔貌
・皮膚線条(肥満のために妊娠線
・高血圧症、脂質異常症、耐糖能障害
・骨粗鬆症
・筋力低下
・無月経、不妊
これらの症状を本質的に表現するならば、「過剰な脂肪蓄積、タンパク質の異化亢進」及びそれに伴う「全身性の代謝障害」です。
かみ砕いて述べるならば、「ストレスがかかり続けていると、そこに脂肪エネルギーがあるにも関わらず利用することができず、一方で身体にとって必須構造であるタンパク質が不本意にも切り崩されていっている状況」と言えます。
ところで私は、これと似たような病態が全く別の場面で見受けられることにふと気づきました。
それはクワシオルコルです。クワシオルコルは一般的にはタンパク質の摂取不足が原因で起こるとされている低栄養状態です。
低栄養状態であるにも関わらず、お腹がぽっこりと出ていて、血液検査では脂肪肝のデータを示すという事が知られています。
こうした状態はデンプンなど炭水化物を中心とした食事をする地域の人がタンパク質欠乏に追いやられた時に発生しやすいと言われています。
脂肪肝になるほど脂肪はあり余っているというのに、一方で筋肉はやせ細りいわゆる飢餓の状態に追い込まれるという理不尽な状態です。
一方で同じ長時間絶食状態でもスリムで元気に過ごしている人達も世の中には存在しています。
クワシオルコルになる人達と同様にタンパク質は欠乏して然るべき状況なのに、この差はどうして生まれるのでしょうか。
私はクワシオルコルの原因はタンパク質の摂取不足ではなく、糖代謝駆動状態のまま栄養失調に追い込まれることと考える方がより本質に近いのではないかと考えています。
そしてこのクワシオルコルとクッシング症候群の共通性をみた時に、私は糖質とストレスが身体にもたらす影響の共通点とが重なってくるように感じられます。
糖質にしてもストレスにしても、いずれも糖代謝を駆動する要因だということです。
クワシオルコルは糖代謝持続駆動の主因が「糖質>ストレス」で、クッシング症候群は糖代謝持続駆動の主因が「糖質<ストレス」といったところでしょうか。
ここで特に注目したいのはクッシング症候群の人は決して栄養失調には陥っていないであろうにも関わらず、
ストレス反応が加わり続けることによって筋肉量が減少し、筋力が低下していると考えられることです。
つまり糖代謝持続駆動状態においては、十分量のタンパク質を摂取していても、そのタンパク質が身体の維持には寄与しきらず、タンパク質が切り崩される状況が起こり得るということです。
この事は同じタンパク質摂取不足状態でもクワシオルコルでは筋力低下するけど、不食の人達で筋力が低下しないことの説明にもなりそうです。
すなわちクワシオルコルでは糖質中心の食事習慣やいつ命が潰えるともしれない恐怖感などから来るストレスによってもたらされ続ける糖代謝持続駆動状態、もっと言えばインスリン持続分泌刺激状態によって、タンパク質が切り崩される反応が起こりやすくなっているけれど、
不食の人達は糖質刺激もストレス刺激もないが故にインスリン分泌は最小限に抑えられ、タンパク質のリサイクルシステムであるオートファジーが駆動し、タンパク質非摂取状態でもタンパク質を切り崩さずに済む働きを発揮することができるということなのではないかと私は思うのです。
だから糖質制限とストレスマネジメントが同時に必要だというわけです。
糖質制限にストレスを感じる人は決して糖質制限をやってはいけません。
同様にタンパク質を積極的に摂取してもその恩恵が得られない人は、ストレスについて見直す必要があるかもしれません。
それらは全て糖代謝持続駆動状態を避けるための工夫です。
糖代謝駆動自体は必要なシステムです。オンとオフの切り替えが重要という話もよく耳にすると思います。
問題なのはその糖代謝駆動が持続的に引き起こされ続けることだと私は考える次第です。
たがしゅう
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