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好きこそ長寿のもと

category - おすすめ本
2019/ 10/ 08
                 
運動は健康に有用だが、やり過ぎはよくない可能性がある」と、

それならばスポーツ選手のように毎日のようにスポーツをしている人達の寿命はどうなのかという事に関しては前々から興味がありました。

しかしネットで軽く調べてみても、あまり信頼性のない、もしくは特定の立場からの偏った意見ばかりで、この謎についてはわからずじまいでした。

そんな中、この謎を考える上で読んでみる価値のありそうな一冊の本と出合いました。



スポーツと寿命 (現代の体育・スポーツ科学) 単行本 – 1998/12
大沢 清二 (著)
            

1976年に東京大学大学院教育学研究の博士過程を修了され、人間生活科学というものを研究されていたという大澤清二先生の著書です。

フラットな立場でスポーツと寿命の関係について書かれているような内容でしたので、冒頭の謎に関連していそうな箇所を抜粋して読んでみることにしました。

(以下、997-100より一部抜粋して引用)

【6.2 身体活動の長期間の継続性と寿命および疾病の関係】

(前略)

運動する週間が長期にわたって継続することが寿命にいかなる影響を与えるかということは、

この両者の関係を探索する上で誰しもがもつ関心である。

しかし寿命についてのデータを収集するだけでも多くの困難を伴うのに、

さらに運動を何十年も続けて行っていたかどうかを追跡するとは多大の困難が予想される。

わが国にはこのような息の長い研究報告は皆無であるが、米国の青年研究者ローズは、この長期的な問題に博士論文執筆時代から取り組んだのである。

その結果の一部分が1975年に発表されている。

さらにローズは、20~40際代の仕事上の身体活動の変化と寿命を分析してみせた。

(中略)

すなわち、仕事上で20歳代も40歳代も"軽い身体活動"をしていた群(194名)、いずれも"重い身体活動"の群(211名)、20歳代は"軽い"が40歳代では"重く"なった群(33名)、20歳代では"重い"が40歳代では"軽い"群(62名)の4群計500名である。

(中略)

最も長命なのは"重い"運動をずっと続けた群の71.1歳であり、次いで"軽い"運動から"重い"運動に変わった群の70.7歳である。

この2群に共通しているのは40歳代で、よりきつい身体活動(労働)をしているということである。

対して最も短命だったのは、20歳代で"重い"労働をしていたのが40歳代で"軽い"労働に変わった群の66.6歳であって、最も長命の群よりも4.5歳も短命である。

しかも興味深いのは、20歳代からずっと"軽い"仕事をしている群よりも3.2歳も短命であるという点にある。

(中略)

この結果からみても、継続して身体活動を行うことの重要性が明らかに示されている。

このことは若年期にスポーツ活動を盛んにやっていた人が、選手生活を中止した後に週に1回程度のゴルフをしたりという程度の運動しかしなくなると、寿命を縮めることになる可能性を示唆しているといえよう。

(引用ここまで)



軽い身体活動と重い身体活動の線引きがどこでなされたかの記載がなかったので漠然とした結果ではありますが、

強度の高い運動習慣を続けていた人が最も長命で、運動習慣があった人が途中で運動習慣がなくなることが最も短命であるというデータは大変興味深いと思います。

このデータを私なりに解釈すると、やはり「好きで続けられる運動は健康に寄与する」ということではないかと思います。

このデータがあるからと言って、運動習慣のない人が無理に強度の高い運動をしようと考えても、それはかえってストレスとなるでしょうし、

そんなに無理をしていれば長く続けることはほとんで不可能であろうと思います。

長く運動習慣を続けるということは、目標や生活のためという要素もあれど、基本的には好きでないとできないことではないかと私は思います。

だからそうした人の形式だけを真似しても同じ効果はきっと得られないであろうということです。

もしこのデータを健康長寿に活かそうとするのであれば、まずは好きな運動を探すことではないでしょうか。

歩いてみる、走ってみる、球技をやってみる、ダンスを踊ってみる、あるいは農作業をしてみる、などなど、

自分の肌に合う運動を見つけることができれば、きっとそれを続けたくなる気持ちが生まれてくるはずです。

そうやって続けられる運動こそが、身体的にも精神的にも健康長寿につながる好影響をもたらすのではないかと私は考える次第です。

「好きこそものの上手なれ」という言葉がありますが、

「好きこそ健康長寿のもと」でもあるような気がします。


たがしゅう
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コメント

非公開コメント
        

運動には全く関心がなくデタラメな食生活で大酒飲みでヘビースモーカーなのに健康長寿でピンピンころり。
これは特殊な例ですか? 
人の寿命とは運動とは無関係なこともあるように私は思う次第です。
運動から人の寿命のデータを集計すること自体がきっと無理があると思う次第です。
更に集計された方々の食生活はどうだったのでしょうか?全く触れられていませんね。
Re: タイトルなし
ジェームズ中野 さん

コメント頂き有難うございます。

> 運動には全く関心がなくデタラメな食生活で大酒飲みでヘビースモーカーなのに健康長寿でピンピンころり。
> これは特殊な例ですか? 
> 人の寿命とは運動とは無関係なこともあるように私は思う次第です。


御指摘のように運動に特別の配慮をせずとも健康長寿である人は存在しますし、運動が絶対的なものではないように思います。
ポイントは自分の思考と負荷量のバランスが保たれてポジティブに運動を実行することができているか、言い換えればストレスマネジメントができているかという点であり、他でストレスマネジメントができている人は必ずしも運動は必要ないのではないかと私は考えています。運動しないといっても、全く運動せずに生きていくことは不可能なので、その人の思考とのバランスの問題だと思います。

時々テレビでも取り上げられるヘビースモーカーなのに100歳超えで元気な人、勿論遺伝的な要素もあると思いますが、「健康に悪いかもしれないけど関係ない。太く短く生きるんだ」と思いながら吸うのと、「俺にとってタバコはエネルギーの源、これがないと病気になってしまう」などとポジティブに捉えながら吸うのとでは、ストレスマネジメント的に違う身体反応が起こるのではないかと私は考えています。まるで素人の意見のように思われてしまうかもしれませんが、理詰めで考えると私にはそう思えてならないのです。

そして私がこのことに大きな関心を寄せるのは、私達の今後の努力次第で健康を取り戻せる可能性があるからです。遺伝的な要因はあったとしても自分ではどうすることもできません。大切なのは今この瞬間だと思っています。

> 運動から人の寿命のデータを集計すること自体がきっと無理があると思う次第です。
> 更に集計された方々の食生活はどうだったのでしょうか?全く触れられていませんね。


そうですね。食事調査と同様、運動調査にも限界があります。
本当の答えは自分の人生の中で自分で探していくしかないように思います。
グルーピングの問題では?
運動と寿命については私も興味があるところですが、

>最も短命だったのは、20歳代で"重い"労働をしていたのが40歳代で"軽い"労働に変わった群の66.6歳

若いころからずっと軽い労働しかしなかった人よりも、途中で運動が軽くなった人が短命と言うのは、腑に落ちません。軽くせざるを得ない健康上の理由などが含まれるのではないかと推測するのですが、いかがでしょうか。
下記も同様に健康だから続けられたとも言えるのではないかとも思います。
>最も長命なのは"重い"運動をずっと続けた群の71.1歳

>仕事上で20歳代も40歳代も"軽い身体活動"をしていた群(194名)、いずれも"重い身体活動"の群(211名)、20歳代は"軽い"が40歳代では"重く"なった群(33名)、20歳代では"重い"が40歳代では"軽い"群(62名)の4群計500名である。
運動と寿命の関係を調べるのであれば、グルーピングの仕方が逆の様に思います。無作為に抽出した人を寿命でグルーピングした結果、著書のような運動形態だったと言うなら、わかりますが、運動形態でグルーピングしたら寿命の長短に特徴がありましたという結果では、私が考察したような内容を含んでしまう可能性が排除できません。

この本を読んでないので何とも言い難いですが、いづれにしても、前向きコホート研究でなければ運動強度と寿命との因果関係ははっきりしないような気がしますが、そのような研究はなかなか見当たりませんね。
グルーピング?
西村典彦さんがおっしゃるように、寿命によりグルーピングをするのは不可能だと思います。なぜならば死んでしまっているので運動強度等の本人確認ができないです。
Re: グルーピングの問題では?
西村 典彦 さん

 コメント頂き有難うございます。

> 若いころからずっと軽い労働しかしなかった人よりも、途中で運動が軽くなった人が短命と言うのは、軽くせざるを得ない健康上の理由などが含まれるのではないかと推測するのですが、いかがでしょうか。

 確かにその可能性は否定できませんね。
 どうしてもこの手の研究の限界だと思います。

 ただ強い運動習慣から軽い運動習慣になった人の寿命が低くなる可能性については否定しきれないように私は思います。仕事が忙しく運動ができないことをストレスに感じている可能性もありますし、運動習慣が少なくなって身体能力が下がったにも関わらず、イメージは若い頃のままでそのギャップに過負荷を与え続ける可能性もあるからです。

 いずれにしてもデータは参考に留め、様々な可能性を考えつつ運動と付き合っていくしかないように私は思います。
Re: グルーピング?
ジェームズ中野 さん

 コメント頂き有難うございます。

 どうしても限界がある研究ですよね。運動研究はある意味で食事研究よりも難しいのかもしれません。