現実に即さない理論は無益
2019/09/21 23:30:01 |
ふと思った事 |
コメント:10件
いまさらな内容の記事になるかもしれませんが、
日本糖尿病学会が提唱するエネルギー栄養素比率の摂取基準、「炭水化物50~60%、タンパク質20%以下、残りを脂質とする」という目安は、
非常に現実に即していない目標であるように感じられます。
というのも、おそらく多くの人が実生活においてこんなに細かい所までを考えていられないからです。
この基準を守ろうとするためには、まず自分が食べる可能性のあるあらゆる食品のカロリーを知っておく必要があります。 その上で、それだけではまだ不十分で、それぞれの食品の炭水化物量が何ℊで、タンパク質が何ℊで、脂質が何ℊというのを把握する必要があります。
当然ながら食品ごとに定められている栄養素比率を覚えるだけでは不十分で、自分が何gその食品を食べたかという情報も逐一記録していなければなりません。
さらに1日のうちに食べた食品の総炭水化物量、総タンパク質量、総脂質量を計算し、さらに全ての栄養素摂取量を合計したものを出して、
1日の終わりに総炭水化物量を総栄養素摂取量で割った値が50~60%になっているか、同様の作業でタンパク質が20%以下、残りが脂質になっているかどうかを毎日計算して基準を満たしているかどうかを確認しなければなりません。
そんな煩雑な作業を、はたしてどれだけの人ができているというのでしょうか。
出来ているのは病院の栄養管理部や栄養について研究している専門家の方くらいなのではないでしょうか。
一般人が日常生活に出来るのは、炭水化物の多めの食品を食べるか食べないか、脂質・タンパク質の多めの食品を食べるか食べないか、そういったことくらいなのではないでしょうか。
あるいは健康に良いイメージの食品を多めに摂るとかいう行動パターンもあるでしょう。
しかしそれらはいずれもエネルギー栄養素比率の基準を見たすための行動にはなりません。摂取基準に合わせるのは至難の業となるでしょう。
「机上の空論」とはまさにこのことだと思います。
実際に実践できる食事療法でないと、いくら理論の妥当性を主張した所で無益なのではないでしょうか。
糖質制限はその点、実践方法がシンプルで実生活に即した食事療法です。
やるべきことは炭水化物が多い食品をカテゴリーを大まかに把握して、それ以外の食品をしっかりと食べるようにするだけです。
この現実に即した実行のしやすさという点で糖質制限はカロリー制限食りも圧倒的に優れています。
ところが一方で、現実問題としては、これだけシンプルな食事療法である糖質制限食のことを伝えても、
私の指導経験上、実際にきちんと実行できる人は1~2割くらいしかいません。
従って、そういう人達が実行できない理由は方法論の難しさとは別のところにある、ということが理解できると思います。
次回の記事では糖質制限の実践を難しくしている本質的な原因について触れたいと思います。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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私が考える糖質制限を失敗して批判する人のパターン
簡単に言えば、以下の質問に明確に数値で答えられない人です。
(1)糖質は何グラム程度摂取していますか。
(2)その時の食後ピーク血糖値はいくらでしたか。(目標より高い場合は(3)へ)
(3)食後血糖値をみて摂取糖質量をいくらに変更しましたか。
要するに、自分が取り組んでいることが、思っている通り実行できているかを立証できない人です。
こういう人の答え方は、「糖質はすごく少ないからスーパー糖質制限のはず。それでもHbA1cがこれこれより下がらない。」と言うように実行したことに対して数値で答えられないため、本当にできているのか第三者にはさっぱりわかりません。
そういう状態で「私はちゃんとやったのに糖質制限では改善しない。」ひどい場合は「かえって悪くなった」と批判に回ります。
糖質制限では、まず、カロリーは制限せずに、厚労省のガイドライン通りとるように江部先生は言っています。数値として把握が必要になります。
次に糖質は何グラムですか。これが分からないとスーパー糖質制限のはずだと言われてもさっぱりわかりません。ここにも数値での把握が必要です。
食後血糖値を計っていないと思われる場合もあります。HbA1cが改善しないのであれば、まずは、自分が実践する食事で、食後血糖値がいくらになっているのかを把握しないとその食事内容で良いのかどうかもわかりません。通常の食事における耐糖能が把握できていません。
このような状態で糖質制限してもHbA1cが下がらない、ふらふらする、ぼうっとするなどと言われてもどうしようもありません。アドバイスするにしても想像の範疇でしかありません。
こういう人たちは、当然(3)に答えることはできません。
以上が、失敗して批判に回る人のパターンだと思っています。
少なくともこれができている人で失敗して批判に回る人をまだ見たことがありません。具体的には「リブレ」を装着して細かく血糖値を把握しながら、糖質制限している人で、糖質制限批判をした人を見たことがありません。個人個人に合わせてアレンジしている方も多いです。
要するに結果を数値として把握してフィードバックすることが、いかに大切かを非常に感じますし、私自身もそうしています。
したがって、できている人は結果として、例えば、PFC比率を答えられる、または、PFC比率を求める根拠の数値は把握していると思われます。当然、偶然できている人もいるとは思います。
数値の精度の問題はあると思いますが、その人なりのカウントの仕方をしていれば、多めの人は大体多め、少なめの人はだいたい少な目に見積もっていますから、個人の中での変動くらいの目安にはなると思います。
そもそもカロリー表示なんて20%の誤差が認められているという事ですから、1000kcalの食品は800~1200kcalで、実に1.5倍の違いが出ます。神経質になっても意味がありませんし、カロリーは結果論だと思っています。
以上が私が感じている糖質制限に失敗する人ですが、たがしゅう先生は以下のようにおっしゃっています。
ところが一方で、現実問題としては、これだけシンプルな食事療法である糖質制限食のことを伝えても、
私の指導経験上、実際にきちんと実行できる人は1~2割くらいしかいません。
私は、日本糖尿病学会が推奨する食事法を実践する場合と、糖質制限を実践する場合では、カロリーとPFC比率を数値として把握することは基本的に同じだと思っていますから、糖質制限が「シンプル」と言う事が、よくわかりません。
確かに、糖質さえとらなければ、後は、おなか一杯食べましょうと言うのは、一見シンプルですから、それで成功した人については何も問題はありません。しかし、失敗した人がなぜ失敗したかを知るには数値がないと判断できないのではないでしょうか。たがしゅう先生がおっしゃる「シンプル」とはどういう点でシンプルなのでしょうか。
Re: 私が考える糖質制限を失敗して批判する人のパターン
コメント頂き有難うございます。
確かに誰かに何かを説得する場合は数値化する作業は説得力をもたらします。
しかし「数値化できない人が糖質制限がうまくできない」とは限らないように思います。
私の知っている中でも、リブレで精密なデータを取りながら、糖新生亢進によると思われる持続高血糖や夜間低血糖(これには精度が本当に正しいかどうかの問題もありますが)を根拠に糖質制限に反対する立場に回っておられる方はおられます。
また数値化できていない人がうまくいかないというわけでもないように思います。
私が言う糖質制限の方がシンプルの意味は、「糖質制限は計算しなくても実践できて効果をもたらしうるけれど、カロリー制限は計算しない限り実践できているかどうかは不確か」という点においてです。
数値化できるかどうかの違いが糖質制限の成否を分けるわけではなく、それらは単に物事への取り組み方の姿勢の違いだと私は思います。
勿論、どちらがよいという話ではありません。
ただ私は、自分が実践できない治療は人には勧めないというスタンスです。
自分自身はいちいちカロリーを計算して、その目標値に向かって糖質量とカロリーを計算して合わせにかかるようなことは一切行っておりません。なので患者さんへの指導も必然的に数値目標を設けません。その代わり、自分の体調をバロメータに取り組みようにとおすすめしています。
そもそもカロリー自体が本質を捉えていないからという理由もあります。カロリーは食品を燃焼した際の温度上昇から導かれた数値で、実際の生体内での化学反応で起こる変化を正確に反映していないという話もどこかで聞かれたことがあるかもわかりません。あるいは血糖値の正常化ばかり目を奪われていると、その裏のインスリンやグルカゴンをはじめとした様々なホルモンの実は同時に起こっている変化、未知の物質までを含めた変化を見過ごしてしまうおそれもあります。
しかし体調をベースにしていれば、未知の物質も包含し、全体として身体が良い方向に向かっているのかどうかをおおざっぱに見極めることができます。私はそのスタンスがヒト以外のすべての動物、あるいはもしかしたら植物にも共通する行動原理ではないかと考えており、数値化する作業はあくまでも参考として捉えています。常識的にみて数値が異常に見えたとしても、その常識による解釈が間違っている場合もあるかもしれません。
あとは正直言って、カロリーや糖質量の計算は単純に面倒くさいというのもあります。自分が面倒くさいと思うことは、患者さんも面倒くさいと思って然るべし。だから私は患者さんに数値化する作業を勧めないというスタンスです。なおそのスタンスは、計算する方が安心できるし、自分の行動のフィードバックに役立つと考える人達のスタンスを否定するものではございませんので、その点は誤解のなきようにお願いできればと思います。
栄養分析は簡単です。
インターネットの栄養分析のフリーサイトで、慣れると意外に、カロリーやPFC比率は簡単に出来ます。
例えば栄養アンドカロリー
https://www.eiyoukeisan.com/
このサイトをよく使います。半年ほど自炊で料理を覚え、必ず重量を図り、見た目で重量を推測する目を鍛えました。写真で詳しく解説しているので勉強するのも難しくありません。(まだ5訂なのが残念)
先生がよく書かれているように、糖尿病と関わる中で必要だと思ったので主体的に始めました。私はそんなに辛いことだとは思いませんでした。
これって一旦身につけると技術なんですね。パターンをいくつか組み合わせて繰り返せば、毎回計算しなくてもだいたいの把握はできます。組み合わせを変えれば飽きません。
生きていくための基本的な技術として、料理をすること、食べること、食べたもの栄養を把握すること。これをインターネットやスマホが助けてくれる時代になりました。専門の栄養士は必要ありません。
一旦パターンを決めたら、freestyleリブレの血糖値変動を摂取した、糖質やPFCやカロリーで検証。PDCAサイクルです。
自分を相手にしたゲームと化します。
こんな患者もいます。
Re: 栄養分析は簡単です。
コメント頂き有難うございます。
> インターネットの栄養分析のフリーサイトで、慣れると意外に、カロリーやPFC比率は簡単に出来ます。
> 糖尿病と関わる中で必要だと思ったので主体的に始めました。私はそんなに辛いことだとは思いませんでした。
> こんな患者もいます。
なるほど、煩雑な計算作業をネットのツールを活用することで効率化し、
パターンを覚えていくことで、その作業サイクルをさらに効率化するという人為でうまく適応なさっていると思います。
分析的なやり方が肌に合うという方も確かにおられますね。
私は私にできないやり方を患者さんに勧めることはありませんが、私のやらないやり方をしている患者さんのやり方は尊重し理解して支持できるように努めたいと思っています。
数値化しない事について再考
まず、うまくいく、いかないとは、糖尿病患者においては、血糖値のコントロールだと思いますから、うまくいっている人は良いとして、うまくいかなかった人の血糖値は、指導通りの糖質制限が実行されていないと言う事になります。
数値がない状態では、「指示通りならうまくいくはずなので、うまくいかない人は指示通りではない」と言う事になります。私にはそれしか思いつきません。そこには個人差がどの程度あるのかの判断が入る余地がないように思います。
そして、うまくいっている1~2割の人は、根拠になる数字がないので、偶然できたと判断するしかないとおもいます。
日本糖尿病学会推奨の食事より糖質制限食が簡単なはずと言う事であれば、「簡単」とは偶然、または勘でできる確率が高いと言う事になりますし、それでもたがしゅう先生が1~2割しか成功しないと言っておられるのが現状なのでしょう。
私は結論として以上のように思えるので、数値化せずに楽な方法で精度の高い糖質制限を実施する方法が見つかりませんでした。
唯一、糖質を限りなくゼロに近づければ良いと言う事は、目安として簡単です。しかし、糖質だらけの現代では、実行が難しいと感じています。
MEC食ばかりを365日は食べられませんし、それで健康が保てる保証もないと思います。いろんな食材を幅広く摂取する事は微少栄養素の摂取と未知のリスク分散と思っています。
だから、私は、自分の摂取糖質量の限界を知って、その中でやりくりするために(数g単位での)数値が必要なのです。
因みに私の限界は平均的に1食15gまでなら食後ピーク血糖値を正常(140以下、HbA1c5.8)に保てることを把握しています。朝夕ではかなり違いはありますが。
かなり、食材をしぼってそればかり食べるのであれば、数値化しなくても勘でできます。私も最初の数か月はそうしていましたし、それでちゃんと結果が伴っていましたから。しかし、それでいつまで出来るのかと言う問題が出てきますし、結果が出なかったときにフィードバックする材料が乏しくなり、糖質制限は自分には合わないとなってしまいかねません。
また、数値ではなく、体調に合わせて食事をする方法もあるとは思いますが、私はその方がより難しいと思います。私の経験上、糖質制限がそれなりの期間できて、はじめて体調の変化と食事の内容がリンクしてきます。糖質制限していない時には、かなりの暴飲暴食でもしない限り、食と体調がリンクして感じられることはないのではないでしょうか。
毎食の計測と記録は面倒なのでしなくてもよい(=普通の健康な人の方法)のであればそれに越したことはありません。
Re: 数値化しない事について再考
まず念を押しておきますが、私の意見は西村さんの考え方を否定するものではありませんので誤解のないようにお願いしたいと思います。
私と西村さんの考え方で視点のズレがある所があります。
>うまくいく、いかないとは、糖尿病患者においては、血糖値のコントロールだと思います
ここです。私は過去にこんな記事を書いています。
2017年7月15日(土)の本ブログ記事
「血糖値に人生を支配されない」
https://tagashuu.jp/blog-entry-1029.html
も御参照下さい。
糖尿病患者であろうと、非糖尿病患者であろうと、私が最も重要視しているのが体調です。
極論に思えるかもしれませんが、体調がよければ血糖値が高くても構わないと思っています。
実際に血糖値の上昇はストレスフルな環境を乗り越えるために、全身の細胞に即時的にエネルギーを与え、自律神経や内分泌系のシステムを介して呼吸・循環・免疫、様々な複雑なシステムを賦活し困難を克服しようと働いている一側面を表しているところがあります。
糖質制限をして血糖値が下がるのは血糖値を上げる成分である糖質を摂取しないからという側面以外に人類本来の食性に近くなり代謝がスムーズに回るようになったからという要素が強いように私は考えているのです。代謝がスムーズに回っている状態こそが「体調がよい状態」です。だから体調がよければ血糖値が高くても問題はないという見解に至ります。
糖質制限をして多くの人が感じるのは体調の良さです。同じ血糖値が下がるのでもインスリンを打って体調がよくなったという人の話は聞いたことがありません。本質は血糖値ではないということがこういう所からもわかります。
また明確な数値化を設けないスタンスはストレスマネジメントの一環でもあります。
基準を設ければ、基準に満たない自分にストレスを感じます。基準を達成し続けることで平穏は保てるように見えますが、常に基準を意識し続けなければならないという微小ストレスを一方で感じ続ける事になります。この慢性持続性ストレスの存在が非常に厄介な存在だと私は考えているのです。
体調をメインに考えることについて
それと、数値として把握する事は全く別次元のものだと考えています。データがメインではありませんし、一つの数字にとらわれることもありませんから、少なくとも私は、それでストレスになる事はありません。記録する手間はストレスかもしれません。しかし、数値と言う指標がなく、闇雲に何かをしている方がストレスです。そこは人それぞれだと思います。
しかし、たがしゅう先生は、
>体調がよければ血糖値が高くても構わない
とおっしゃっていますが、血糖値が高い事を把握せずにいたら、取り返しがつかない状態になってから体調が悪くなって気づくのではないでしょうか。そもそも、だから糖尿病になったのではないでしょうか。各家庭に体温計の様にSMBGやリブレがあれば、糖尿病を発症する人は減るのではないでしょうか。
糖尿病はサイレントキラーと言われているのは体調では気づかないからではないのでしょうか。
Re: 体調をメインに考えることについて
コメント頂き有難うございます。
> 血糖値が高い事を把握せずにいたら、取り返しがつかない状態になってから体調が悪くなって気づくのではないでしょうか。そもそも、だから糖尿病になったのではないでしょうか。各家庭に体温計の様にSMBGやリブレがあれば、糖尿病を発症する人は減るのではないでしょうか。
> 糖尿病はサイレントキラーと言われているのは体調では気づかないからではないのでしょうか。
体調では気付かないからサイレントキラーなのではないと私は思います。
体調をみるという行為に現代人が目を向けていないからだと私は思います。
勿論緩慢な変化には気づきにくいという事はあると思いますし、
体調がよいとはどういう状態であるかがわからないと気付きにくいという側面もあります。
私自身、糖質制限を実践して「体調がよいとかこういうことなのか」ということを実感し、
その体験があってようやく体調で自分の状態を推し量ることができるようになりました。
私が出会う患者さんによく「体調はどうですか?」と聞きますが、
ほとんどの人が「変わりありません」と答えます。そういう人に限って徐々にデータが悪化し、薬の量が増えてきている経過があるように思えます。
要は本当は微細な体調の悪化があるにも関わらず、それに気付かずに見過ごしてしまっているのです。
そこには糖質の中毒性、一過性にもたらされる多幸感によって体調の悪化がマスクされている部分もあると思います。
糖質制限をやったことのない人は「体調がよくなる」という状態を知らないので、多くの場合「年を取れば皆こんなもの」と思っているのではないかと思います。
それどころか体調という指標を「悪」とばかりに捉えてしまい、だからこそこの「悪」を成敗してもらうために多くの人は病院へ駆け込むのです。そこに体調をバロメータにして自分の状態を整えようという発想は皆無です。
西村さんの場合はバロメータにしているものの比重に「データ」の割合が大きくて、私の中のバロメータで比重が大きいのが「体調」だということだと思います。リブレでデータを取ることは結構ですが、体調とリンクしないデータは疑ってかかるべきです。あるいはデータが悪いと思っている解釈そのものが間違っている可能性を考えるべきです。体調をみるという視点が養われてさえいれば、そこが一番信用できるバロメータだと私は思います。
血糖値が高いことは必ずしも悪いことではありません。そして血糖値が高いけど体調がよい人がいることも私は知っています。体調に目を向けるという目線さえ忘れていなければ、血糖値の高低はたいした問題ではないというのが私の考え方です。高血糖を放置してひどい目に合っている人は同時に自分の体調に目を向けていない人だと私は考えます。
何度も申し上げるようですが、数値で安心できる人はそれはそれでいいと思います。ですが私がおすすめすることはあくまでも「体調をバロメータにすること」です。
体調を感じることについて
しかし、これを万人ができるとは思えません。糖質制限を実践した人が必ず、この状態になる(本来はなれるはずですが)のは無理なように思います。あらかじめ、そういう知識があり、体調が良いとはどんな感覚なのかを想像できたり、ある瞬間にたまたま、感じる体験をした人がある期間、我慢強く実践出来た時のみに行き着くのではないかと思います。それ以外の人はある程度の数値の改善のみで終わってしまうのでしょう。その結果が1~2割しかうまくいかないという事ではないでしょうか。
料理でもレシピの数値通り作るがうまくいかない人、全く計量せずに味見もせずに作ってもちゃんと作れる人がいます。これに似ていると思います。計量せずともおいしく作れる人は、最終的な味を想像できる人です。そしてそこに至るには何をどの程度使えばよいかが、感覚として備わっているという事です。
しかし、レシピをみて作る人の中には「塩少々」と言われても分からない人が少なからずいますが、味見もせずにうまく作る人には、「塩少々「などと言う事自体が不要ですが、作り方を人には伝え辛いです。数値で伝える方が伝わります。
糖質制限は、数値(体重や血糖値)の改善が顕著ですから、体調の変化を感じずとも継続するモチベーションになります。だから長続きして、そのうち、体調の変化を感じられるようになると思います。
料理では最終的な味を、糖質制限においては最終的な体調を想像できた人のみが、それを目指そうとするのではないでしょうか。
Re: 体調を感じることについて
> 糖質制限を実践した人が必ず、この状態になる(本来はなれるはずですが)のは無理なように思います。
それはそうでしょう。
しかし数値化のプロセスを経ていないからというわけではなく、
数値化したらこの状態になれるという保証もなく、
数値化にこだわり過ぎて、数値にばかり捉われるようになって、体調を度外視するようになった人も私は知っています。
体調を見るということは「自分の頭で考えること」ができるということです。
それができる人が1~2割くらいしか結果的にはいないということです。
だから数値化を勧めようという話には私の中ではなりません。数値化はあくまでも参考にすべきというのが私の意見です。そして繰り返しますが、数値を重視する人の考えを私は否定しません。
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