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丸く尖って情報発信する
その中で一般人とは桁違いの数の支持者を抱えて、大きな影響力を持っている人がいることに気付きます。
そのようにSNSでの情報発信力が大きい人のことを、「影響を与える人」という意味の英語で「インフルエンサー」と呼ぶそうです。
今回はそのインフルエンサ―の一人、「ゆうこす」さんという方が書かれた以下の本を向学のために読んでみました。
共感SNS 丸く尖る発信で仕事を創る 単行本 – 2019/5/31
ゆうこす (著)
私もこれからオンラインドクターとして、
従来の集患とは全く別の経路で医者と患者のつながりを模索して行かなければならない立場となるので、
SNSというのは必要不可欠なツールになると思っており、先駆者から少しでもSNSを有効活用するノウハウを学ぼうというわけです。
「ゆうこす」さんは本名菅本裕子さんで、アイドルグループHKT48の元メンバーであった経歴があり、
その時点で知名度は一般人とは参考にならないのではないかと思いきや、
半年程でHKT48を辞められた後、Twitterのフォロワー数が2万人いた状態でファンイベントを開催した所、来てくれたのはたったの3人だったという辛い状況を経験されたそうです。
その時にゆうこすさんは、自分を応援してくれるフォロワーさんが自分を応援したくなるような旗が掲げられていないという事実に気付きました。
そして自分の中にある強い気持ちに注目し、それを核にSNSを利用して一からファンを作り上げていく道への第一歩を歩み始めたのです。
ゆうこすさんの場合、自分の中にあったのは「モテたい」という気持ちでした。
一般的にモテようとする行為はチャラいとかブリッ子だとか、世間的に良いイメージがないように思います。
ですが、ゆうこすさんは「好きな人に気に入ってもらえるように自分をかわいく魅力的に見せることって本来素敵なこと。もっと堂々と言ったっていいじゃない」という揺るぎない気持ちに突き動かされ、
「ゆうこす」という名前で再出発し、モテクリエイターという唯一無二の肩書きを作り出して活動を始められました。
現在、Twitter、Instagram、ブログ、YouTube、公式LINE、ストーリーズ、SHOWROOMなど複数のSNSを器用につかいこなされている「ゆうこす」さん。
試行錯誤の中でどのように情報発信していけばファンに喜んでもらえるのかを追求し続けて、「丸く尖る」という発想へ辿りつきました。
「丸く尖る」とは、「発言をする時は、いろんな立場を想像して俯瞰する。誰も傷つけない、誰も挑発してない。けれど、埋もれるような内容ではなく尖っている」ということを指しているそうです。
「丸い」と「尖る」という意味が逆の言葉を共存させる逆説的表現が独特で素晴らしいですが、これって簡単そうでなかなか難しいことではないかと思います。
例えば、私は糖質制限推進派の立場を取っていますので、どうしても発言内容は糖質制限万歳の内容が多くなってしまいます。
そうすると糖質制限反対派の立場の人からすれば面白くないわけで、そういう意味では誰かを傷つけている行為へとつながっていることと思います。
けれどだからと言って、ある時は糖質制限推進派、またある時は糖質制限反対派といったどっちつかずのスタンスで発言などしていたら、
主張には一本の筋が通らず、そんな人間にファンなど付くはずがないことは容易に想像できます。
それに誰も傷つけない無難な発言に終始していたら、そんなつまらない情報を誰が求めるというのでしょうか。
となれば、後は自分のスタンスを明確にしつつも、いかに他人を傷つけない言い方をするか、という方向で努力をするしかないように思います。
例えば、特定の人物名を挙げて批判をしない、人物を批判するのではなく仕組みを批判する、自分の主張と逆の立場の気持ちになりきって考えてみる、などがその具体的な方法の例ということになるでしょうか。
最近で言えば、「糖質制限実践者が語る糖質摂取のメリット」はその辺りに配慮した記事ということになるのでしょうけれど、
誰がどの情報で傷ついているかはなかなか発信者の目の届かない所で起こっていたりもしますので、どのやり方が正解なのかは常に見直せる姿勢を保ちつつ軌道修正していくしかないと現時点で考えています。
そうしたSNSを活用する上での基本姿勢について書かれた序盤の内容に共感するところは大きかったのですが、
実はこの「共感」というのが、書籍のタイトルにもなっているようにキーワードであって、
続いて話題は、Twitterのフォロワーを増やすためには「共感+メリット」であるということに始まり、
SNSを使いこなすための具体的な各論について書かれていて、実践的な内容でとても参考になりました。
例えば、「アカウント名は本のタイトルと一緒。人目であなたが何者なのかわかる表現として、愛されやすい愛称+シンプルな肩書きを使うべし」ですとか、
「いいね」したくなる記事と、「リツイート」したくなる記事は「自分の気持ちを代弁してくれているかどうか」の差である、ですとか。
リツイートというのはTwitterの機能で、誰かのつぶやきを自分のフォロワーへシェアする行為のことを言います。
要するに、「このツイートめちゃくちゃいいから皆も是非見てみてよ!」という時にするのがリツイートという行為です。
そしてこのリツイートがTwitterの情報拡散力の鍵となっているようです。自分のつぶやきがリツイートしてもらえればもらえるほど、
そのリツイートしてくれた人だけではなくその人のフォロワーごと情報が伝わり、ことによってはそれきっかけで1日1000人単位でフォロワーが増えることも起こり得ると、それがいわゆる「バズる」と呼ばれる現象です。
ですので、いかにリツイートされる記事を書くかはTwitter情報拡散力を高める最大のポイントとなるというわけです。
それはとりもなおさず、誰かの気持ちに応えること、誰かが言いたいと思っているけどうまく表現できない潜在的なニーズに応えること、なわけですから、
相手を思いやる行為そのものであり、非常に人間力が磨かれる行為なのではないかとも感じます。
私はTwitterをはじめていて正直、リツイートの使いどころがよくわかっていませんでした。
でもメチャクチャいいツイートを見た時に、そのメチャクチャいいと思ったポイントのコメントとともにリツイートすれば、
私がどのようなものに興味を持って、どのようなものを良いと感じるのかという、自分の世界観の構築、セルフブランディングにつながっていくわけなので、
これからは自分も積極的にリツイートをしていきたいと思いました。
ただし、何でもかんでもリツイートすればよいというものでもなく、単純に人気のつぶやきをリツイートするようなことを繰り返してしまうと、
それこそ自分の軸がぶれてしまうので、安易なリツイートは避け、本当に心揺さぶられた時にリツイートしようと感じた次第です。
さらにフォロワーになってもらうだけではまだそれはファンではなく、
フォロワーからファンになってもらうためにはコアなファンの居場所を準備することが必要だとも書かれていました。
これも私にはなかなかグサッとくるメッセージでした。私は今まで誰でも分け隔てなくアクセスできる情報を発信するというスタンスを心がけてきました。
それには「医療の情報に著作権はない」という恩師、夏井睦先生の言葉も頭の中にあるということも大きかったです。
しかし医療の情報についてのスタンスはそれでよくても、それだけでは私へのファン化の試みとしては不十分です。
コアなファンは情報発信者との直接交流の場を求めていたり、直接交流とまでは行かずとも、YouTubeの生配信やブログなど拡散性は低いけれど想いを直接伝えやすい特別な場を用意することが、
さらなる情報発信者への興味へとつながっていくものなのだというようなことが書かれていました。
ゆうこすさんの場合はライブコマースといったシステムで、自分の作ったオリジナルの化粧品を生配信で実際に使っている場面を視聴者へ見せて、その動画公開時間しか買えないという付加価値をつけてファンのニーズに応えていたりもされているそうです。
こうした活動は差別化を生み、医療情報を提供する者としては好ましくないのではないかとも思っていたのですが、
別にライトなファンを無視しているわけではなく、ライトなファンにもTwitter、Instagram、YouTubeといったSNSツールで常に門戸を開いているわけであって、
「もしさらに興味を持ったらこっちにも来てみませんか」という形で誰も損せず、ファンになりたい人のニーズも満たすことができ、
ますますセルフブランディングされた自分の価値が高まっていくことへもつながります。そういう所も丸く尖るの真髄なのかと考えさせられました。
最後にもう一つ、失敗も全て包み隠さず表現すること、また失敗から得られた教訓をスピーディにフォロワーへ還元することの重要性も書かれていました。
優れた人に共通するのは「失敗」をネガティブなものとしてみないという所だと思います。
ファンは失敗を経験しても乗り越えていく漫画の主人公のようなストーリーを求めているのだと、
だから失敗したらその後どのように動くかが重要なのであって、失敗するかどうかは問題ではないのだという姿勢がありありと伝わり、
さりとて失敗しないための努力も怠らず、そして経験から得られた失敗予防策も惜しみなくシェアする精神、
この本には「ゆうこす」さんの熱い想いが詰まっていて、インフルエンサ―になるべくしてなった人だと強く思いました。
「誰だって頑張れば夢を叶えられる」
そんな言葉が空々しく聞こえない時代になってきたように思います。
たがしゅう
コメント
糖質制限と肥満
たしかに人為が及んでいない野生動物に肥満はほとんどいないですから、ヒトという動物として肥満は不自然なのでしょう。
ヒトとしての社会でも肥満は健康に良くないとされますし、イメージも良いとは言い難いかなとも思います。
医者が太っていると説得力が無いという意見も多々拝見したりします。
一度、たがしゅう先生は肥満についてどのように考えているのか示していただけたらなと思います。
糖質制限しているのなら肥満は放置していても問題無いという結論に至ったのでしょうか?
2019-06-01 16:05 美糸 URL 編集
Re: 糖質制限と肥満
御質問頂き有難うございます。
> 一度、たがしゅう先生は肥満についてどのように考えているのか示していただけたらなと思います。
> 糖質制限しているのなら肥満は放置していても問題無いという結論に至ったのでしょうか?
わかりました。同じ悩みを抱えている方もおられるのではないかと思いますので、
この件については後ほどブログ記事で私の見解をまとめておこうと思います。
2019-06-01 18:09 たがしゅう URL 編集