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高齢者医療問題の元を断つには

category - 主体的医療
2019/ 03/ 23
                 
今の高齢者医療に携わっていて思う所があります。

年を取れば誰もが多かれ少なかれ病気を抱え、次第に多くの薬を飲むようになり、

主体性とは程遠い状態で医療に依存し続けて、結果的に医療費の多くの部分を高齢者医療が占める事となっています。

こうした状況を生み出してしまったのは一人ひとりの高齢者に責任があるというよりは、

予防医療の推進が形骸化し、従来型の医療の問題点が見直されることなく、

次から次へと建て増し型で発展してきた医療全体の構造にその根源があるのではないかという風に感じています。
            

そんな状況の中でいくら私がご高齢の方々に「主体的であれ」と言い続けたところで、多くの方には響かないでしょうし、

響いたとしても、もっと根本的な問題を解決しないことには、次から次へと同様に医療に従順な高齢患者さん達が生み出され続けるだけです。

この問題が医療の構造自体に起因するものだとすれば、一個人が取り組むにしてはあまりにも大きなものとはなりますが、

それでも何をどうしていけばこの受動的な患者が生み出され続ける悪循環を断ち切ることができるかについて自由な発想で考えてみたいと思います。


まずは社会における働き盛りの世代が、体調を崩したとしてもめったなことで病院は受診できないという生活環境がひとつ問題です。

「働き方改革」ということが叫ばれるようになって久しいですが、多くの方はまだまだ企業に努めるサラリーマンでしょう。

体調が崩れたら自由に仕事の量をセーブしたり調整したりできるような働き方がメインとならない限りは、

これまでもこれからも、働き世代はよほど体調が崩れない限りは病院へ相談しないという状況は変わらないことでしょう。

二つ目は、仮に病院に行ったとしてもほとんどの病院・クリニックでは保険医療制度を背景に西洋医学中心型医療が繰り広げられているという点が問題です。

西洋医薬中心型医療は結局のところその場しのぎの医療であり、救急領域では威力を発揮しますが、

病気をこじらせたサラリーマンに対してその場しのぎの治療を施し、根本的な問題の解決には全く着手されないまま、その人は引き続き無理を重ねていくことになります。

これを繰り返す結果として、高齢者における多剤内服問題、いわゆるポリファーマシーへとつながっていると思います。

そして何より多くの国民が、そういった医療でも特に支障はないと思っているであろうことがもっとも大きな問題だと私は考えています。

つまり「病気になったら病院に行けばよい」「先生にお任せするしかない」といった感覚がこの状況を変えようという気持ちから患者を遠ざけていきます。


まとめると、
① 軽い体調不良では会社を休んではいけないという風潮
② 病院に行けばとりあえず確かに症状は軽くなるが実はそれはその場しのぎであってしかもその治療しか選べない風潮
③ ①と②に支えられて「病院に任せておけばよい」という気持ちを産み、「主体性の喪失」へとつながるということ。


これが現在の高齢者医療における修正困難な問題のこじれを産んでいるのではないかと私は考える次第です。

ということは、高齢者医療の未来を変えるためには、
① フレキシブルな働き方がメインの社会を作る
② 保険医療以外の選択肢が正当に認められる環境を整える
③ ①と②をベースに患者自身が自分の健康を守れるように主体性を育んでいく


ということが必要になってくると思います。

これを実現するには、一人の力では絶対不可能です。
地道に活動を続け、賛同者を増やし、いずれ大きな力へ変えていけるように、
これからも私ができることを続けていきたいと思います。


たがしゅう

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コメント

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糖質制限食始めて以来、漢方中心の内科医を受診してます。開業場所が受診に便利で助かります。玄米菜食派の方で、糖質制限は伝えていません。日記など振り返ると、西洋薬服用は約2日間、抜歯の際の鎮痛剤です。この4年間家族の他界はじめ精神的ストレスがあり、以前から悪化していた歯が、くいしばりで悪化したためです。ベースに糖質制限食があったので、体調不良に漢方薬のみで対応できたかと思います。あと、先生が強調されるメンタルコントロールを心がけていれば歯も無事だったかもしれません。
Re: タイトルなし
T さん

コメント頂き有難うございます。

自分で糖質制限を実践しつつ、主治医は糖質制限の理解者ではないけれど、主治医の漢方医としての側面をうまく利用して、自力で対処しきれない身体のメンテナンスに漢方薬を用いるという、まさに主体的な医療を展開されていると思います。確かにさらにストレスマネジメントも上手に扱えれば、鬼に金棒だと思います。