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私が哲学カフェに興味を持った必然性

category - 自分のこと
2019/ 03/ 18
                 
私が哲学カフェというものに興味を持ち、参加するようになったのは今から一年ほど前のことですが、

この哲学カフェに興味を持つようになったのにはある種の必然性があったように感じています。

一つは以前にも申し上げましたが、哲学カフェの営みが現在私が医療において重要と考える主体性の育成に有益であるということがありますが、

もう一つの理由に気がついたので、今回はそのことについて思考をまとめたいと思います。
            

もともと私は糖質制限という食事療法によって人生が劇的に変わった経験を持つ医師です。

単なるダイエットに留まらない身も心も含めた全般的でかつ多岐に渡る範囲での体調の改善を経験し、

食事療法がこのような劇的な効果をもたらしうるということにまず衝撃を受けました。

それから私は迷うことなく、自分の患者さん達に糖質制限という画期的な食事療法のことを勧め続ける行動を取ります。

自分にもたらされた劇的な改善を一人でも多くの患者さんに実際に感じてもらいたいと思ったからです。

ところが勧め続けていくにつれて、自分がどれだけ簡潔に説明しても、また忘れられないように書面に残すなどの工夫をしても、

感覚的に8〜9割くらいの患者さんは糖質制限をやってくれないか、やったとしても一時的で終わってしまうかという結末になるという現実に突き当たりました。

そこには糖質の中毒性の問題だとか、権威・専門家中心主義だとか、米文化とか従来型栄養学の無根拠など、勉強していくにつれ、様々な要因が複雑に絡み合っていることがわかってきましたが、

それでもめげずに糖質制限指導を続けていると、今度は稀ながら糖質制限をキッチリ実践しているにも関わらず、

私が経験した劇的な改善効果がないばかりか、逆に体調が悪くなるという人達が存在するということも明らかになってきました。

これらの人達の特徴をまとめると、やせ型(太るといってもたかが知れている)、非筋肉質、女性に多め、消化吸収障害などが挙げられることがわかりました。

これらの要因と実際に私がそういう人達と触れ合って感じた印象を加味して総合的に考えるとそこに共通するのは「ストレスマネジメント不良」の問題があるように思いました。

端的に言えば「〜ねばならぬ」の思考にとらわれがちな人達とも言えます。

「糖質〇g未満を厳守しなければならない」
「血糖値180mg/dL以上は絶対に避けなければならない」
「1日3食食べなければならない」
といった具合です。

「ねばならぬ」があると、それを実行できなかった時にストレスが生まれますし、そもそも実行し続けるに際しても一定以上の努力が必要となり、それが自分のキャパシティを越えれば続けること自体がストレスにもなります。

即ち「ねばならぬ」は慢性ストレスを生み出す、ということです。

もう一つ、やせ型といえば糖尿病が重症化したら体重減少、がんも進行して悪液質と呼ばれる状況になると体重減少、

さらには自己免疫性疾患とか繊維筋痛症などの難病はやせ型の女性に多いという傾向があり、

それらの情報も踏まえると、やせ型で糖質制限がうまくいかない人は、より病態がこじれた状態にあるというイメージが私の中で固まっていきました。

だからやせ型の人が糖質制限で調子を崩すのは、糖質制限のせいでそうなっているのではなく、

糖質制限の改善効果が届かない程にストレスによって病態が悪化させられているからだということに気がつくようになりました。

それが私が「糖質制限+ストレスマネジメント」を治療の基本におく最大の理由です。

そう考えると、末期ガンや重症糖尿病、自己免疫疾患や線維筋痛症などの難病も糖質制限だけで向き合うのは厳しいという可能性も見えてきます。

そんな状況において、例えば「ねばならぬ」を「であってもよい」に変えるだけで、余計なストレスはかなり軽減することができるわけです。

このようにストレスマネジメントとは、「何をどう捉えどのように考えるか」という心の在り方を見直して、病気の治療に活かそうという試みのことです。

そのためには物事を様々な角度から捉え考え直す訓練が重要になってくるわけですが、

「考える」ことによって物事の本質に迫る哲学はそんな状況にあった私と非常に相性が良かったのではないかと思います。

そして哲学カフェはそんな哲学を誰にでもわかりやすい形で広く考える機会を与える場としてハードルが低く優れたフォーマットです。

哲学カフェで考える営みの面白さに触れ続けることは、今の病気の回復につながるのみならず、将来の病気の予防にもつながる可能性を強く感じています。

何よりその思考の改革を実行できるのはその人自身でしかないので、

その主体性を育てることもできるという点で哲学カフェに私が興味を持つのは必然であったように思います。


たがしゅう

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コメント

非公開コメント
        

たがしゅう先生いつもありがとうございます。

「もともと私は糖質制限という食事療法によって人生が劇的に変わった経験を持つ医師です。」

とありますが、どのように劇的に変わったのか、読者にとっては興味のあるところです。差し支えなければ教えてください。

私個人的には、胃食道逆流性、不定期にやってくる頭痛、サイクリング中のハンガーノック、 初冬にやってくる手の指のしもやけ、ストレスがかかると大腸憩室が痛むことが多かったが激減した、などなどが糖質制限をしてからプラス方向で改善したことです。

以上失礼いたしました。
Re: タイトルなし
ジェームズ中野 さん

 御質問頂き有難うございます。

> 「もともと私は糖質制限という食事療法によって人生が劇的に変わった経験を持つ医師です。」
> どのように劇的に変わったのか、読者にとっては興味のあるところです。差し支えなければ教えてください。


 一番の劇的変化はブログプロフィールにも書いておりますように
 「・10ヵ月で約30kgの体重減少に成功した」という所ですが、それ以外にも様々な変化があります。

 ・うつ病が改善した
 ・体重が減る前から身体が軽くなった
 ・昼を食べなくても平気になってきた
 ・食後の眠気がなくなった
 ・一方で夜ぐっすりと眠れるようになってきた
 ・睡眠時無呼吸症候群から解放された
 ・皮膚や歯の表面がつるつるしてきた
 ・脂漏性皮膚炎が良くなった
 ・頭が冴えるようになった
 ・ブログをやってみたいと思うようになった
 ・心理的なフットワークが軽くなった
 ・医療の問題点、今後どうしていくべきなのか自分の頭で考えられるようになった…などなど

 今や私の人生の中で基盤部分となっているのが「糖質制限」です。
糖質制限食五年目に入りました。先月の健診結果、肝機能腎機能問題無く、血圧低く、総蛋白6.5 中性脂肪40 総コレステロール208 HDL82 LDL109 Hb A1c5.2といったものでした。還暦にしては上出来と思い、職場で同僚に糖質制限歴など初めて話したところ、やっぱり糖質制限て体にいいんだ!とか、実は少し実行してるとの返答があり、嬉しくて御報告しております。先生から糖質制限の説明受けた方がご家族に話し、本人でなく家族が始めておられるかもしれませんね。
Re: タイトルなし
T さん

 コメント頂き有難うございます。
 また嬉しい御報告にこちらまで嬉しくなります。

 一度は伝えられなかった相手でも、時間が経てばわかってくれるという事も少なからずあると思います。
 押し付けることなく、さりげなく、自分の体調ベースでよいと思う形で糖質制限を続け情報発信を続けていれば、きっと多くの人に伝わっていくという可能性を感じされられますね。