花粉症と糖質制限
2019/03/08 14:05:01 |
糖質制限 |
コメント:2件
本日は今の季節に猛威を振るう花粉症と糖質制限についての話をします。
経験的に糖質制限をすると花粉症が良くなるという事例は多いのですが、
なぜ花粉症に糖質制限が効くのか、についての解説が語られているものは少ないのではないかと思います。
糖質制限を行うことで漠然と免疫が安定化するということは言えるかもしれませんが、
できればしっかりとした理屈がほしい所だと思いますので、
今日は私なりになぜ花粉症に糖質制限が効くのか、について解説を試みたいと思います。 ただ最初に断っておきますと、私自身は花粉症ではありません。
ですので今から書く私の話は、診療経験や糖質制限仲間からの情報を踏まえて、私が推察した内容であるということを予めご了承下さい。
花粉症は一般的な呼び名であり、医学的には「季節性アレルギー性鼻炎」もしくは「アレルギー性結膜炎」が正式名称となります。
簡単に言うと「花粉」という異物の侵入を契機に身体が起こした不自然な免疫反応「アレルギー」が引き起こされてしまい、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの様々な症状を引き起こす疾患が「花粉症」と呼ばれています。
そんな花粉症ですが、そもそも「アレルギー」というのはなぜ起こるのでしょうか。
以前アレルギーというのは自律神経のうちの副交感神経が過剰に刺激された状態というのを記事にしたことがあります。
交感神経が戦闘(逃走)モードで身体に動悸や発汗、一方で口渇という粘膜の分泌液が減少するのに対して、
副交感神経はリラックスモードで脈は落ち着いて汗はそんなに出ず、一方で食べたものがスムーズに消化されるように粘膜からの分泌物は口だけではなく、胃や腸などからも分泌されるという現象を起こします。
花粉症の症状を思い出してもらうと、くしゃみにしても、鼻水にしても、鼻詰まりにしても、目のかゆみにしても、
いずれにしても「分泌物過多」の状態が引き起こされているということがわかります。
ではなぜ副交感神経過剰刺激が起こるのかですが、何もリラックスしすぎて副交感神経過剰刺激が起こっているというわけではありません。
鍵となるのは、その逆に交感神経の方です。交感神経の方はストレスが加わることによって都度刺激を受けます。
ストレスが繰り返される事によって交感神経が何度も刺激され、その結果交感神経過緊張状態になるというのがわかりやすいパターンなのですが、
どうやら交感神経刺激が繰り返されることによって、その逆のブレーキ役であるはずの副交感神経が過剰に刺激され続けてしまうパターンの人もいるようなのです。
これは糖質摂取後に機能性低血糖症を起こす人がいるという話と共通構造を持っています。
機能性低血糖症とは糖質の摂取後に血糖値が上昇したはいいが、その後体質的に血糖値を下げる働きをするインスリンが摂取した糖質量の分以上に出過ぎてしまって、3~5時間後に動悸や震えなどの低血糖症状が出るというものです。
構造で言えば、「上げる刺激を加えたはずなのに下げる刺激が強く引き起こされてしまう」というものです。
上げるものに糖質摂取を入れれば、機能性低血糖症の話となりますが、
上げるものに交感神経刺激(ストレス)を入れれば、副交感神経過剰刺激状態、すなわちアレルギーの話となります。
それが証拠に、アレルギー性疾患の治療にはストレスホルモンであるステロイドが一般的に使われています。
また抗アレルギー薬と呼ばれる薬はアレルギーの中の一連の反応の一部をブロックしているに過ぎない薬です。根本的な解決にならないことは想像に難くないでしょう。
花粉症と言えば、花粉が諸悪の原因のように考えられがちですが、実はその裏で起こっているストレスが主犯だというのが私の見解です。
さて、そこまで理解した所で、なぜ糖質制限が花粉症に効くのかということについてですが、
糖質摂取は、及びそれによってインスリンが分泌され糖質がエネルギー源として取り込まれて消費される一連の反応は、
人為的なストレス適応反応であり、別な見方をすれば人為的に交感神経を刺激している反応だとみることもできます。
そうすると糖質制限をすれば、その人為的に交感神経を刺激する要素を取り除くことができるので、
その後によって引き起こされる副交感神経過剰刺激反応も起こらなくて済むので、アレルギー反応が治まるという理屈です。
もっと言えば、「食事」そのものも副交感神経を刺激する要素です。これから消化管を動かして胃粘膜の分泌物を出さなければならないわけですから。
糖質制限をすると糖質によって駆動される異常な食欲が治まり、誰に言われるまでもなく1日3食がいつのまにか1日1~2食に減っているということも多々あります。
食事回数が減ることによって副交感神経がむやみに刺激されにくくなることも花粉症の制御に関係しているかもしれません。
逆に言えば、糖質制限をしていても頻回食だという人は花粉症が治まりにくいということにもなるかもしれません。
やせ型の人は頻回食になりがちですから、やせ型の人の糖質制限ではうまくいかないことがあるというこれまでの考察ともつながってきます。
ついでにいわゆる緩やかな糖質制限ではどうなのか、ということも考えてみますと、
やはり緩やかとはいえ、それなりの糖質を摂るわけですから、
それが本人の体質によっては交感神経を過剰に刺激するという可能性は残るだろうと思います。
ただ、うまく交感神経過剰刺激が、ひいてはその後の副交感神経過剰が抑えられているかどうかは、実際にやってみてアレルギー症状が治まるかどうかで判断できると思います。
もしも自分は糖質制限をやっているのに花粉症が治まらないという人は、
なるべく人為的な交感神経刺激にならないように糖質の摂取量を控え、
それでもダメなら食事回数を減らし、場合によってはプチ断食も取り入れてみるというのがよいかもしれません。
花粉症で悩む方々の少しでも参考になれば幸いです。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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花粉症ですが、私も長女も糖質制限なしに治ってしまったようです。私は糖質制限により心も体も良くない状況になるので、今は止めてしまい、糖質過多になっています。長女は糖質制限はしていません。
私は自分自身の弱点とか欠点と向き合い、逃げずに取り組んでいました。
長女は今年高校受験でした。すべり止めの私立校は合格しましたが、チャレンジ校の私立校は不合格、県立の志望校は偏差値が届かない、入試2週間前で過去問解いても50点も足りない…。私達両親は諦め、担任の先生と塾の主任の先生からは、志望校を下げたら?とアドバイスされました。そんな中、塾の先生でたった一人、「最後まで諦めるな」と励ましてくれる先生がいました。長女は自分の学力不足を受け止め、でもその先生の言葉を信じ、直前まで真剣に取り組んでいました。県立入試の頃、杉花粉の飛散が始まったと思いますが、本人も県立は受からないと思っていた思いますが、合格者の番号の中に長女の番号を見つけた時は、思わず「嘘っ!」と言ってしまいました。当日の問題との相性、運もあると思いますが、正直合格の判定基準、分からないです。
自分の弱さを受け入れつつ、だけど前向きに立ち向かっていくと、病気も吹き飛ばしちゃうのかな…と思いました。「~ねばならない」の思考の奥に自己否定があると思います。病気を作り出すネガティブな心の在り方でいると、よくない出来事も引き起こしてしまうと思います。そんな心の在り方変え、良くない思考パターンがなくなり、真っ直ぐな心で頑張ると、神様も応援してくれるのかな…願い通りの人生が展開されていく…、私は最初から諦める癖があるので、これではいけないと、長女の受験を通して考えさせられました。
私は女性なので奇跡が起きたと思ってしまいますが、花粉症は糖質制限なしに治るのかもしれませんし、男性なら長女の県立校合格も実力があったから合格したと思われるかも知れません。
4年前に病気を治す為に糖質制限とホメオパシーを始めましたが、病気を治すのは糖質制限でもないし、レメディでもない、もちろん西洋薬でもない。病気は心の在り方を変えて治すものと実感しています。
Re: タイトルなし
コメント頂き有難うございます。
また娘さんの高校受験合格、大変おめでとうございます。
> 自分の弱さを受け入れつつ、だけど前向きに立ち向かっていくと、病気も吹き飛ばしちゃう
> 「~ねばならない」の思考の奥に自己否定がある
> 病気を作り出すネガティブな心の在り方でいると、よくない出来事も引き起こしてしまう
まさにおっしゃる通りだと思います。
「~ねばならない」は、「~でないダメなわたし」と表裏一体なので自己否定につながります。
「受からなければならない」ではなく、「受かってもいい、受からなくてもいい」とすることでどんな自分もありのままに受け止めることができると思います。そして実際にどんな自分も自分次第で拓けた未来へとつながります。
人生のどんな決断も、そこにどんな意味をつけるかは自分に主導権があるという事を忘れてはならないと私は思います。
自分で自由に意味づけしてよいのなら、そこにただ良い意味を見出せばよいのです。たとえ見つからなくても、ありのままを見つめ悪い意味づけをしなくてよいのです。それさえわかれば、この先どんな苦難が待っていても乗り越えられるのではないかと思います。
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