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白血病と糖質制限 ~白血病に糖質制限は効くのか~

category - 糖質制限
2019/ 02/ 20
                 
私も全国各地の糖質制限推進派の医師達と比較的接点が多い方だと思いますが、

血液内科が専門で糖質制限を推進している医師の存在を私は知りません。

理由はわかりませんが、そうした医師がいない以上、白血病に糖質制限が効くかどうかは自分の頭で考えるしかありません。

ならば現時点で私のできる範囲で白血病に対する糖質制限の可能性について考えてみたいと思います。

まず白血病は遺伝子の異常が深く関わっている病気です。

前回の白血病の概要を示した記事でも出てきたBCR-ABL異常遺伝子はその一例ですが、

それ以外にも、白血病のタイプによって様々な遺伝子や染色体の異常がある事がわかっています。
            

白血病細胞の詳細を調べるのに骨髄という所を調べるという話は前回記事でもしましたが、

その骨髄にある白血病細胞の調べる方法は、顕微鏡で白血病細胞の形態をみるだけではなく、

その中に含まれる染色体の異常、さらには遺伝子の異常まで細かく調べるということで白血病の細かい分類や治療法が定められる流れとなっています。

ではなぜ遺伝子の異常が起こるのかに関しては、一般的には放射線の曝露や、過去の抗がん剤の投与歴、有機溶剤(ベンゼンなど)への曝露歴、大気中の化学物質の曝露、あるいはウイルス感染などが関係しているなど様々な事が言われていますが、

これってひと口で言えば酸化ストレスだと私は考えます。

生活習慣の中では喫煙が白血病の発症率を高めるという報告があったり、妊娠中の飲酒が小児急性骨髄性白血病の発症率を上げるとの報告もあります。

ただし十分な検証ができているとまでは言えないそうですが、これらも酸化ストレス源とまとめてよいように思います。

ちなみに食事、運動については、現在のところ白血病との関連性は示されていないと言われていますが、

酸化ストレスという観点で見れば、食事で言えば血糖値の乱高下、それから運動で言えば自分のキャパシティを超える強度の運動ならば食事、運動も遺伝子異常の原因となりえると私は思います。

見方を変えれば、酸化ストレスがかかる状況というのは身体が異常な環境にさらされている状況なので、

遺伝子をエピジェネティックに、すなわち環境に適応できるように後天的に、変化させることによって過酷な環境を克服しようとしている適応反応が起きやすい状況だということもできるかもしれません。

ともあれそうした酸化ストレスがかかり続けた結果、発生した遺伝子異常が白血病において起こす現象は、「未熟な白血球細胞の異常増殖」という現象です。

糖質制限が効くかどうかに関しては、白血病細胞にミトコンドリアがあるかどうかが重要です。

なぜならば、糖質制限で産生されるケトン体はミトコンドリアを持つ細胞で利用されるエネルギー源ですが、

もしも白血病細胞にミトコンドリアがあれば糖質制限でのケトン体を白血病細胞も利用することができて、決して兵糧責め的にならないからです。

そう思って調べてみると、どうやら白血病細胞は他のがん細胞と違ってミトコンドリアが残存しているという情報がありました。

ただし、こうも書かれていました。「白血病細胞のミトコンドリアでは、脂肪酸の酸化によって細胞の酸素が消費され、アポトーシスに欠かせないタンパク質の活性化が阻害される」と。

つまりかみ砕くと、「白血病細胞は酸化ストレスがあることで異常増殖を可能にしている」ということです。

そう考えると、白血病に対して糖質制限は兵糧攻めにするほどのインパクトはないけれども、

酸化ストレスを減らすことによって白血病細胞が異常増殖という名の暴走をするのに対して一定の抑止力にはなる可能性があるということです。

ところが前述の記事にはこうも書かれています。「脂肪酸の酸化を阻害すると白血病細胞は細胞死を引き起こす薬剤に対し脆弱になる」と。

すなわち「糖質制限をして酸化ストレスを減らしている状況で白血病細胞を殺す作用のある薬を使えば白血病細胞は死にやすい」ということではないかと思います。


私はすべての病気は正常細胞の機能が過剰に働き過ぎて起こる「過剰適応」と、正常細胞の機能が衰えることで起こる「消耗疲弊」の二種類で説明可能だという考えを持っているのですが、

白血病のみならず「がん」というのは過剰適応の極致だと思っています。完全にブレーキが壊れて異常に増殖し続けているわけですから。

そこへ来てここまでの考察を踏まえると、白血病という相手は中でも指折りの過剰適応病態という気がします。

すなわち、そういう相手に対しては、増悪因子を止めるだけでは暴走は止まらないのです。

必要最小限の化学療法を行って、多少の儀性を払ってでも一旦強引にリセットさせる所から始めないと、暴走は治まり切らないのではないかという気がいたします。

まるで大火事が起こっている状況に対して、火種を止めるだけでは不十分で、消火器や放水車を使わなければ火事が止まらないかの如くです。

だから白血病に対して糖質制限単独で挑むのはおそらく十分ではないのでしょうけれど、

ベースに糖質制限を行いながら、体調に十分に注意して、必要最小限の化学療法を併用する、

あわよくば、なるべく副作用の少ない全細胞攻撃型でない治療法を受ける
ことができれば、

最小限のダメージで白血病細胞を元の正常細胞のみの状態に戻すことができるのではないかと私は考える次第です。


私の力では今のところここまで考えるのが精いっぱいですが、今後も考え続ける努力は続けたいと思います。

血液疾患と糖質制限に詳しい方からの補足があれば大歓迎です。勿論異論・反論も甘んじてお受けしたいと思います。

ともあれ、この記事が少しでも池江璃花子選手をはじめ白血病に悩む人達の役に立てることを願っています。


たがしゅう

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コメント

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堀ちえみさん
堀ちえみさんのステージⅣの舌がん、厳しい状況ですが糖質制限は有効でしょうか?
さらに人類700万年の歴史の中で癌が出てきたのはいつ頃からでしょうか?炭水化物の摂取と大きく関連していますか?
Re: 堀ちえみさん
ジェームズ中野 さん

 御質問頂き有難うございます。

> 堀ちえみさんのステージⅣの舌がん、厳しい状況ですが糖質制限は有効でしょうか?

 私個人の見解としては有効と思います。

 ただ糖質制限はあくまでも最低限の必要条件で、ステージ4のがんを元の状態に戻すには、心の在り方を抜本的に変える必要があると私は考えています。うまくいくかどうかはそこが大きく関わってくると思いますが、少なくとも「がんと闘う」という発想があるうちは難しいのではないかと個人的には思います。
Re: タイトルなし
ジェームズ中野 さん

 御質問頂き有難うございます。

> さらに人類700万年の歴史の中で癌が出てきたのはいつ頃からでしょうか?炭水化物の摂取と大きく関連していますか?

 いつ頃から出てきたかについて正確な情報はないと思います。
 ただし、理論的にも実際的にも炭水化物の摂取比率の上昇と癌発生率の上昇とは関連していると考えてよいと私は思います。
戦わないで生きる、なかなか凡人にはできることでは無いかもわかりませんが、もし私自身がこれから先癌にかかっても先生がおっしゃったことを肝に銘じたいと思います。