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白血病と糖質制限 〜なぜ誰も語ろうとしないのか〜

category - 糖質制限
2019/ 02/ 18
                 
水泳の池江璃花子選手が白血病であることを公表されたというニュースが話題となっています。

若くて才能もある彼女の心中は、部外者の私が想像できるよりもきっとはるかに辛いものがあるのではないかとお察しする次第です。

でも部外者ながらも、何とか身体へのダメージを残すことなく乗り越えてほしいと切に願うばかりなのですが、

ここでふと、糖質制限と白血病の関係については、あまりどの場所でも語られていないということに気付きます。

試しに「白血病 糖質制限」で検索してみても、それがメインの情報は全く引っかかってきません(※2019年2月17日現在)。

それにはいくつかの理由があるかと思います。結論から言えば、「語りたくても語りにくい」からではないかと私は思うのでが、

そんなタブーを振り払って、今日は白血病と糖質制限について私なりに考えてみたいと思います。
            

まず、白血病と糖質制限について誰も語りたがらない最大の理由は、白血病がいわゆる現代の標準治療で根治しうる病気だからだと思います。

白血病は「血液のがん」だと言うと比較的イメージが湧きやすいと思いますが、ともあれがんの一種です。

がんと糖質制限ということであれば、がんはほとんどのエネルギー源を糖質に依存しているので、

糖質制限をすれば、完全に兵糧攻めとまでは行かずとも、がん細胞に不要な栄養を与えずに済み、

かつ糖質を制限することで産生が促される脂肪を燃焼することで作られるケトン体という物質が、ミトコンドリアという細胞内小器官を介してエネルギー源として利用されるようになり、

がん細胞はミトコンドリアが破損している細胞なので、がんにはエネルギーを与えず、正常細胞には十分なエネルギーを与えることができるので、

がん治療に糖質制限は非常に安全で効果的な治療だということは随所で様々な方々が語っておられると思います。

なのに同じがんにカテゴライズされる白血病がこの話の流れに出てこないのかというと、治療法がすでに確立していることに加えて、

血液の病気を扱う血液内科という診療科が、内科の中でも非常に専門性が高いということが関係していると思います。

変な話、一般的な内科医をしていればがんそのものにはそれなりの頻度で遭遇するのですが、

白血病などの血液疾患は比較的頻度が少ないことに加えて、その発見はほとんどの場合、何かの機会で採取した血液検査でのデータ異常が示されることでなされる場合がほとんどです。

内科医はそれを見て何を思うかと言えば、「これは大変だ。急いで血液内科の先生へ紹介しなくちゃ」と思うのです。

他の心臓とか肺とか腎臓とかの病気でもそういうことはあるわけですが、

血液疾患以外の病気であれば専門科で何かしらの診断と治療方針が決められて、病状が落ち着いた時点で再び内科医のもとへ逆紹介され、専門医が指示する処方を継続するという流れが一般的です。

ところが血液疾患の場合は、そういうことも全くないわけではありませんが、内科の中でも専門性が高く、薬を微調整する必要があったり、病状が悪化した際にすぐさま入院が必要だったりと、

なかなかハンドリングするのが難しい病気でありますので、紹介した後もそのまま血液内科専門医の下でフォローアップされるというケースが珍しくないのです。

ここで言えることは、ほとんどの内科医は血液疾患診療の実情をあまり知らないということです。

私は医者になって最初の2年間のスーパーローテーションと呼ばれる時代に血液内科で研修させて頂き、実情を少し見たことがあるくらいです。

ともあれ標準治療として、治癒しうる、正確には「寛解」しうる治療手段が確立されているのだから、

もしも白血病に糖質制限を勧めて、その標準治療を受ける機会を患者から奪ってしまうこととなり、

万が一にも糖質制限で病状が悪化するという事態になろうものなら目も当てられません。

だから誰も糖質制限が白血病に効くとは大手を振って言えないのだと思います。

ただし私個人の医師としての見解では、白血病にも糖質制限は有効と考えますし、

その寛解させるという標準治療というのも完全に委ねるには一考の余地がある治療だと思っています。

この辺り、詳細について語ると長くなってしまいます。

このシリーズ、あえて血液疾患の専門家ではない私の視点から、

何回かに分けて考えてみたいと思います。


たがしゅう

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