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主体的医療の観点でみる認知症

category - 認知症
2019/ 01/ 22
                 
本日は認知症という病気に対する私の捉え方についてまとめてみたいと思います。

アルツハイマー型とかレヴィ小体型とか様々な細かい分類はありますが、

外傷や脳梗塞でいきなり罹患する場合を除いて基本的に認知症の病態は「神経変性」と呼ばれる現象が基本です。

ある人では側頭葉や頭頂葉と呼ばれる脳領域を中心に。

またある人は脳幹や大脳辺縁系と呼ばれる脳領域を中心に神経変性が起こってくるという進行パターンの個人差はあれど、

とにかく認知症では「神経変性」という現象が起こってきているのです。
            

で、その「神経変性」というのは「神経細胞の不可逆的な機能低下」のことを指します。

私の言葉で言えば「消耗疲弊」病態です。

生理学者ハンス・セリエ博士のストレス学説にならえば、不可逆的な「消耗疲弊」というのは、

1〜3まであるストレスによる身体の変化を表すステージング分類の第3期、疲憊(ひはい)期と呼ばれる終末像です。

要するに認知症というのは、「神経細胞に不可逆的な機能低下が現在進行形で起こり続けている状態」を示すいうことです。

その原因はアミロイドだとかタウなどといった異常蛋白の蓄積だとか、

最近ではミエリンの異常が原因だとかも言われてきていますが、

私はそのもっと上流に食事とストレス対処の問題があると考えています。

「食事は物質的なストレスマネジメント、ストレス対処は機能的なストレスマネジメント」だということもできるかもしれません。

いずれにしても、厳しい言い方をするようですが、この2点が疎かであり続けてきたために、

ストレス学説の第1期「警告反応期(休めば元に戻る時期)」

第2期「適応期(休む+αのことをしないと元に戻らない時期)」を経て、

第3期「疲憊期(もはや休んでも+αをしても元には戻らない時期)」へと進行してしまったのが、認知症だと言えると思うのです。

私は糖質制限+ストレスマネジメントが病の根治を目指せる治療法だと主張しますが、

このいずれの実践においても主体性があることが不可欠となります。

なぜならば糖質制限にしても、ストレスマネジメントにしても、

放っておけば誰かがやってくれる治療ではなく、

自分が動かない限り実践できない治療法であるからです。


ところが認知症の方に糖質制限だのストレスマネジメントだの言ったとしても、

もはやその主体性を期待することはできないことがほとんどでしょう。

つまり認知症とは主体性を放棄し続けた結果、主体性の低下が不可逆的になってしまった状態だとみることもできます。

根治につながる糖質制限+ストレスマネジメントという手が使えないわけですから、

私は認知症を根治するというのは基本的に無理だと考えています。


ちなみに主体性なしで糖質制限を無理矢理させることに私は否定的です。

散々糖質を摂取し続けた身体に、いくら理論的に正しいからと糖質制限食を無理に食べさせたら、

糖代謝から脂質代謝へと急激に代謝のハンドルが切り替えられることになり、身体はストレスを感じる可能性が高いです。

特にやせ型の患者さん、太っていてもサルコペニア肥満の患者さんは要注意で、

もしどうしても行う場合でも、いわゆる緩やかな糖質制限を本人の反応を見ながら負担に慎重に行う必要があろうかと思います。


でも認知症コウノメソッドを中心に実臨床で認知症の症状がよくなる実例があるではないかと思われる方もいらっしゃると思います。

その理由は大きく2点あります。一つは西洋薬の副作用という可逆的な増悪因子を取り去ることで見かけ上改善したように見えること。

もう一つは、不可逆的に機能低下している中でも、少ないながら残っている機能を邪魔しないような上手な薬の使い方をしているということです。

上手な薬の使い方というのはシャープに効く西洋薬や一部の漢方薬の最小限使用と、

過剰摂取したとしても大きな問題の起こらないサプリメント類の有効活用です。

西洋薬というのはほとんどすべてと言っていいほど対症療法です。

つまりは根本的な原因に対処せずにとりあえずの状態をよくしているだけの治療です。

だから副作用の出ない程度に西洋薬をごく少量だけ使えば良くなるように見えますが、

残念ながらこれもまた見かけ上の改善なのです。

一方でサプリメント類も物質補充系がほとんどでこれも根本原因に対処していないという意味で対症療法となります。

残り少ないながらも物質を補充する消化吸収・代謝機能が残っている限りは有効性を示しますし、

西洋薬と違って過量投与したとしてもさしたる副作用を出さないという点で優秀ですが、

その裏で進行するもはや自律的には元に戻せなくなっている細胞の不可逆的な機能低下が進行していけば、

いずれサプリメントを補充してもそれを利用することができなくなる時期がやってきます。

そういう意味でこれも見かけ上の改善だと言えるのではないでしょうか。


根治という意味では、私の考えでは認知症は時すでに遅しの状態ですが、

そういう方へはせめて有害因子を最小化し、リスクの低いサプリメント類を中心に使うことで天寿をまっとうさせてあげたいと思います。

その一方で、病態が不可逆的になる前に手が打てるように、

主体的医療の普及を引き続き推進していきたい考えです。


たがしゅう

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コメント

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たがしゅう先生おはようございます。
私の叔母(84歳)は70代後半で認知症になりました。叔母のストレスの原因だと思っていた姑が亡くなって、さぞかしや旦那さんと楽しい生活をしているだろうと思いきや段々とボケはじめ、最終的には旦那さんが亡くなった時にもそれが分からないくらいボケていました。もしかして、姑がいるときの方が悪口を言い合えてストレスマネジメントが出来ていたのかもしれませんね。今では排泄も1人では出来ないのでデイサービスを利用しているそうです。
糖質制限を勧めようと思いましたが、認知症になってからも食事では必ず白御飯を欲しがるそうなので止めました。
叔母を見て、糖質制限+ストレスマネジメントの重要性を痛感しました。

Re: タイトルなし
あっぴ さん

コメント頂き有難うございます。

> もしかして、姑がいるときの方が悪口を言い合えてストレスマネジメントが出来ていたのかもしれませんね。

非常に考えさせられお話ですね。
確かに事情の知らない周囲からみれば、姑さん不在の方がストレスマネジメントしやすいのではと考えてしまいます。

しかし当事者どうしにしか分からない問題がある、ということなのだと思います。
聞こえのいいアドバイスが常に正解とは限りませんし、こういうことがあるからこそ問題の解決に際して主たる判断は自分が下すべきで、他者はその領域へ土足で踏み込まない方がよい、ということなのではないかと思います。