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コレステロール異常で受診する人への対応

category - 普段の診療より
2019/ 01/ 13
                 
健康診断でコレステロールの異常を指摘されて私のもとを受診される患者さんが時々おられます。

私はコレステロールの上昇に対して寛容で、基本的にはむしろ好ましい現象と捉えているスタンスの医師です。

また当然ながら、健診で指摘されるコレステロール異常を判定するための基準値は、糖質を普通に摂っている集団から導き出された数値です。

糖質制限の実践者ではコレステロールは、大きく分けて
「①速やかに正常化」
「②数か月から数年かけてゆっくり正常化」
「③長いことコレステロール上昇が続いたまま」

という3通りがあるかと思うのですが、

糖質制限を実践しているという前提が確かで、自覚症状が特にない場合は、①~③どのパターンでも私なら様子を見ます。
            

コレステロール上昇で自覚症状があるのはどういう時かと言いますと、

例えば狭心症を彷彿とさせるような発作的な胸痛があるですとか、

一過性脳虚血発作を彷彿とした一過性の半身脱力や呂律困難などの神経症状があるですとか、

あるいはまぶたやアキレス腱などにコレステロールの沈着物に伴う肥厚があるなどの状態をいいます。

そういう時は糖質制限実践者でも私は少量のスタチンを使うことをおすすめするかもしれません。

なぜならば、糖質制限での脂質バランス修復だけでは全く間に合わない状況だと考えられるからです。

私は、それがよいかどうかは別として、スタチンのコレステロール低下させる作用は認めています。

なので原因はともかく今まさにコレステロールだらけで、ゆっくり調整していく時間的余裕がない場合はとりあえず急場をしのぐ意味でスタチンを用いることも選択肢となります。

同様の理由でニコチン酸製剤(ナイアシン製剤)を用いることも考慮するかもしれません。

しかしながら、基本的には体調がよければ糖質制限実践者のコレステロール上昇は気にしないように勧めるか、

もしくは少し高いくらいが一番長生きというデータもあるので大丈夫と言って安心してもらうように説明したりします。

もちろん、そのデータを私が盲信しているわけではありませんが、あくまでも患者さんを安心させるための方便として用いています。

だからと言って決して嘘ではないので、時間のない外来でコレステロールのことを説明するには有効な手法だと私は考えています。


ただ私のもとにやってくる、別の病院の健診でコレステロール異常を指摘された患者さんのほとんどは糖質制限をしていない一般の方です。

こういう人に対するコレステロール異常は、「やはりそのまま放置してよい」のパターンと、

「これはやむなくスタチンを処方するより他にない」という大きく2パターンがあります。

その区別は、端的に言って、「コレステロール産生機構が破綻していそうかいそうでないか」で考えるようにしています。

もう少し具体的に言うと、例えば糖質制限を指導してもリアクションが悪い人は破綻と考えます。

あるいは糖質制限はしていないけれどコレステロールの異常値以外にさしたる異常も見当たらず、高血圧、糖尿病、肥満、高尿酸血症などの糖質過多が示唆される所見も伴っていなければ非破綻と判断します。

そういう人には糖質制限指導でいらぬストレスを与えてもいけないですし、ゆっくり説明する時間もなかったりするので「コレステロールはちょっと高いくらいが一番長生き」と言って安心して経過観察とするパターンが多いです。

逆にコレステロール異常以外の糖質過多所見が目立つ場合は、時間が押してでも糖質制限の話を一度はトライしてみると思います。

そんな感じで私の健診コレステロール異常対応は行われているのですが、

考えてみれば、今私が書いたような情報を患者さん自身が持っていれば、ある程度自分で健診結果を判断することも不可能ではなくなります。

けれどそんな自分で検査の結果を判定するなんてこと普通は怖がって誰もしたがらないと思います。

だから健診を受けた人は、必然的に病院の力に頼らざるを得なくなります。

「健診は主体性を奪う」とでもいえるでしょうか。

主体的医療の普及によって、今後誰もが健診よりも自分の体調を健診代わりにできる時代が来ればいいと思いますが、

それが叶わない今の状況においては、健診を受けたとしても気軽に相談できる医師の存在が求められているかもしれません。


たがしゅう

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