生き物を生き物たらしめる「動き」

2018/12/07 12:30:01 | 素朴な疑問 | コメント:5件

ホメオパシーでは、「自己治癒力」に焦点を当てて治療計画が立てられますが、

今回は見えない自己治癒力と呼ばれるものについて、私なりに考察を深めてみたいと思います。

西洋医学的に言えば、生体恒常性維持(ホメオスターシス)を働かせているものの本質とは何なのかという話です。

いきなりですが、死体にタンパク質だの、ミネラル・ビタミンだのといった、

生体を構成する必要物質が集まった所で、その死体は生体として動き出すことはありません。

必要物質がそこにあるだけでは、生き物として成立するには不十分だということになります。 ということは、生き物を生き物たらしめているものははたして何なのでしょうか。

生きているものからは気配というものを感じます。

一方で死んでいるものからは気配は感じませんし、時間経過とともに冷たくなっています。

また死体にビタミンやミネラルなどの必要物質をいくら大量に投与した所で動き出す事は決してありません。

その違いは、そこに何かが動いているという現象がみられるかどうか、という所から来るのではないでしょうか。

つまり「必要物質」「動き」、これが生き物が生き物であるための必要十分条件なのではないかと私は思うわけです。

その動きという漠然とした言い方は、先日ホメオパシーのメカニズムを考える上で紹介した「振動(エネルギー)」という考え方とリンクするわけですが、

すべての物質の固有の振動数はあるわけですので、死んだものもその物質的な動きは存在しているはずです。

振動しない物質があるとすれば、私の知識の中では絶対零度、即ち-273℃というこれ以上下がり得ない温度の極限物質のみです。

ただ、死んだものが持つ振動エネルギーは鉱物などと同様、物質として形づくられるための単純な振動であり、

生き物が持つ振動エネルギーとは異質なものである印象を受けます。

この辺りは感覚的に語るしか方法がないのですが、

生き物の持つ振動は、様々な種類の物質と複雑なネットワークを形成しているものであり、

単に動いているのではなく、つながりを持って動いている所に生きているものの生きている所以があるように思えます。

つまり単に動いているだけではこれもまた生き者としての必要十分条件を満たさないということです。

では単に動くのとつながりを持って動くのとの違いは何なのかを考えていくと、現時点でよくわからないのですが、

少なくとも生命をみるという時に、そうした動きを意識するということは大切です。

西洋医学的に言えば、器質的なものに目を奪われるのではなく、機能的なものに目を向けよ、ということです。

「機能」「つながりのある動き」・・・その先に「自己治癒力」があり、

もしかしたらそのメカニズムは、私達の想定をはるかに超える複雑さをはらんでいるのかもしれません。

「必要物質」+「つながりのある動き」=「自己治癒力を備えた生き物」という考え方は、

過去に考察した、「欠乏」+「代謝障害」=「欠乏症」、

あるいは「鉄不足」+「鉄利用障害」=「鉄欠乏症」という考え方ともリンクします。

人という生き物を診るという時に、

目に見えないものの存在を決して忘れてはならないと私は考えます。


たがしゅう
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コメント

No title

2018/12/07(金) 19:46:47 | URL | Etsuko #-
久しぶりにコメントさせて頂きます。

>必要物質がそこにあるだけでは、生き物として成立するには不十分

必要物質(宇宙活動で生まれた原子)で形作られた塊に、
どういう理由で「意識」が生まれるのでしょう。
神秘の答えは、天文学や物理学にあると思います。
ホメオパシーも、天文学、物理学で近づく気がします。

宇宙の始まり、しくみを知ることは果てしなく遠回りですが、
ホメオパシーを理解するには必須だと思っています。
「目に見えないものの存在」を知る事にもなると思っています。

Re: No title

2018/12/07(金) 21:14:44 | URL | たがしゅう #Kbxb6NTI
Etsuko さん

コメント頂き有難うございます。

お休み頂いていてすみません。
しかしおかげさまで今後の自分が進むべき方向性がクリアに見えてきたように思います。今後のたがしゅうの活動にご期待頂ければ幸いです。

ホメオパシーにも一定の御理解を頂き有難い限りです。
疑わないこと。それが強さだ」私の好きな漫画、ONE PIECEでの一節です。

パースの思想

2018/12/08(土) 10:58:09 | URL | やまたつ #UoJDqtOY
今回の考察はアメリカの哲学者、パースの三項関係そのものですね。自然科学系からパースの思想(記号論)を展開した本として以前紹介させていただいた
生物記号論 川出由己著 を参照ください。
ちなみに先生の考察をパースの用語に対応させると
たがしゅう パース
必要物資 一次性
つながりのある動き 二次性
自己治癒力を備えた生き物 三次性
自己治癒力は生命現象の記述に重要な概念だと思います。自分の中に自分とは異なる自己が存在するという関係が、生物と物質とを大きく区別する基準だと考えています。
善と悪の関係は白と黒という対立する関係性(二次性)ではなく自分のなかに別の自己が存在する(三次性)という観点から生命現象と関連させて考察してみるのも面白いかと。

Re: パースの思想

2018/12/08(土) 21:07:24 | URL | たがしゅう #Kbxb6NTI
やまたつ さん

コメント頂き有難うございます。
いつもながら深い内容、大変勉強になります。

> 善と悪の関係は白と黒という対立する関係性(二次性)ではなく自分のなかに別の自己が存在する(三次性)という観点から生命現象と関連させて考察してみるのも面白いかと。

ただそこに存在する「一次性」、動く動かないに発展する「二次性」、その動きが複雑怪奇に発展した「三次性」といったところなのでしょうか。

考えてみれば一番最初に生き物が生まれたきっかけは何だったのかという所にも興味が湧きます。自己治癒力の起源についても同様です。生命の神秘はまだまだ分からないことだらけですね。

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2018/12/14(金) 14:24:36 | | #
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