Post
真に寒さに強くなる
室内にいればその寒さを感じることはあまりありませんが、
ひとたび外に出ると強烈な寒波が身体を襲う寒い季節となりました。
私のような肥満を経験している人間は、「脂肪が天然の防寒具」などと冗談混じりに言いながら、
おそらく他の人より寒さに強い方だと思っています。
しかし糖質制限をするようになってからというもの、
今まで以上に冬が過ごしやすくなったように感じています。
やせて防寒具だと思っていた脂肪が減ったにも関わらず、です。
これは一体どういう仕組みなのでしょう。
今日は糖質制限でなぜ冷えが改善するのかを考えてみます。
まずは最近NHKで冷えの特集をやっていましたので、ホームページの文章から引用します。
NHK きょうの健康
2013年12月26日(木)放送
運動で健康「真冬の冷えを改善!」
〜引用、ここから〜
冷えには大きくわけて3つの原因があります。
まずは生理現象。寒さを感じると体内の熱を外に逃がさないようにするため末しょうの血管が収縮、体が緊張状態になり、冷えにつながります。
次に、血行が悪いと体内の熱を末端までうまく運べず、手足に冷えを感じるようになります。
また、筋肉の量が少ない人は、体内で十分な熱がつくられず、体の芯から冷えを感じるようになるのです。
〜引用、ここまで〜
番組ではここから冷えを改善するための運動の方法について紹介されていましたが、
私の興味はあくまで「冷えの原因」です。
上記の内容をまとめると、冷えの原因としては以下の3つです。
「①生理現象」
「②血行不良」
「③筋肉量不足」
まず①ですが、身体は恒常性を維持することを基本としています。
周囲の環境が寒かろうと厚かろうと、身体は深部体温を一定にしておきたいので、寒い場合は熱を逃がさないように血管を収縮させ、暑い場合は熱を放散させるために血管を拡張させます。
①があることはきちんと身体が機能している証拠です。糖質制限が①を邪魔することはしないでしょう。
むしろ自律神経の働きを介して①をサポートしている可能性さえあります。
次に②ですが、血液の流れが悪くなれば血液が行き届きにくい末端部分が血流不足で冷えを感じます。
糖質制限をするとグルコーススパイクを防ぐことで代謝が安定し、多くの場合血流が改善しますので、糖質制限は②の原因を改善している可能性があります。
そして③ですが、これは冷えの大きな原因を占めているのではないかと私が考えている事ですが、
まず「食事誘発性熱産生」という現象があります。
簡単に言うと「食べたものの栄養素によって基礎代謝が上がり熱を産生すること」です。
これは栄養素の種類によって熱産生量が異なり、糖質だと摂取エネルギーの約4%、脂質だと摂取エネルギーの約6%、
そして蛋白質だと摂取エネルギーの約30%エネルギーを消費し熱を産生します。
そしてその熱を産生する場が主に筋肉であるわけです。
糖質制限では蛋白質の摂取量が増えますので、純粋に食事誘発性熱産生が増加しますし、
筋肉の原材料である蛋白質(アミノ酸)をしっかり摂取することで長期的にみれば筋肉は増えていきますので、熱を産生する場自体も増えることになります。
以上のことから糖質制限が冷えを改善し、それゆえ冬が過ごしやすくなっているのだと思うのですが、
実はさらにもう一つ冷えの原因として「④糖質の摂りすぎ」があると思います。
というのは糖質を摂取することは水分をためこむことにもつながり、冷えのみならずむくみの原因になります。
さらに糖質を摂るとインスリンが分泌され、脂肪を貯めこむ方へ代謝が回り、脂肪が燃えなくなり熱を産生しにくくなります。
言い換えれば、せっかくの「天然の防寒具(脂肪)」が有効に使えなくなるということです。
もちろんこの④に対しても糖質制限が有効ですので、
糖質制限には冬を過ごしやすくする多重のメカニズムがあると感じた次第です。
たがしゅう
コメント
寒さに強くなりました!
昨日、読めなかったので、1日遅れのコメントになります。
以前カルビンチョ先生のブログで、糖質制限を始めた冬、霜焼けに悩まされた旨のコメントを寄せられていた方がいらしたので、私の場合、10キロの天然の防寒着を脱ぎ捨てたので、きっと今年の冬は「寒いんやろなぁ~?」と半ば覚悟していましたが、なんのなんの、結構寒がりの私が、周りの者が「今日は、寒い寒い」と言っている日でも「それほどでもない」と感じるようになっています。ここ数年下半身の冷えが気になっていたのですが、今のところ、それも感じません。
わたしは最近、ほとんど運動と言う運動はしていませんので筋トレによる筋肉量増加は見込めないと思われますので、タンパク質摂取量増加による食事誘発性熱産生及びそれによる筋肉量のアップと糖質制限による①・②の改善効果が複合的に作用して寒さに強くなっているんだろうと実感しています。
またひとつ、糖質制限による効能の実体験が増えそうです。
2014-01-13 11:46 haru URL 編集
Re: 寒さに強くなりました!
コメント頂き有難うございます。
冷え症で悩んでおられる方は多いと思われます。是非とも選択肢の一つとして知って頂きたいですね。
また冷えが改善するけど、だからといって夏に暑くてたまらないということになるわけでもない、というのも糖質制限のよいところですね。おそらく①がしっかりと働くためだと考えています。
2014-01-13 18:09 たがしゅう URL 編集
霜焼け、その後
これ、おそらく私のコメントですね。もしかしたら、これから糖質制限を始めようと考えている方々に不安を覚えさせるようなコメントだったかもしれないですね。すみませんです_(._.)_。
二度目の冬を迎える前、また霜焼けになるかどうか少々気にはしておりましたが、現在のところ全く問題なく過ごしています。1年の間にどうやら体の方が自然に適応してくれていたようです。
「糖質制限して霜焼けになった」というコメントをほとんど見かけたことがありませんので、どうやら私のケースはかなり特殊なものだったのではないかと想像されます。「このような例外的な副作用もありうるが、一年も経てば自然に解消される」一つのケースと捉えていただけばいいかと(^^;;。ま、たった一例ですから、「統計的有意差」検証の材料にはならないでしょうが、一つの参考例になれば幸いです。
そのような「副作用」はありましたが、それ以外の体調改善の効果は大きく、また、体重減少も素晴らしかったので(体重は約18~9kg減少。現在BMIは、おおむね20前後をキープしています)「いずれ体の方が適応するのではないか」と思いつつ、また、理論的にも納得できたので、糖質制限を継続してきました。
あくまでも素人の想像なのですが。私は糖質制限開始前は、歯を磨くたびに歯茎からひどく出血するのが常でしたが、糖質を減らし始めてから、この出血が嘘のようになくなりました。糖質を減らしたことによって、血管や粘膜の状態が改善されたものと思われますが、おそらく以前の血管の状況は相当ひどいものだったのではないかと思います(改めて考えてみると恐ろしいですね)。もしかしたら、一年間で血管の状態が改善したことが、この冬は霜焼けにならずに済んでいる要因かもしれません。
でも、糖質制限を実行して、たまたま私のような副作用が出た場合、一過性のものであっても「糖質制限をすれば血行が良くなって冷え性が改善されるというけれど、かえって手足が冷えて霜焼けになってしまった。やはり、ちゃんとご飯(主食)を食べないのは健康に良くないのだ(糖質制限は危険)」と考えてしまう人もあるのではないかと危惧します。
その点からも、多くの実践者の体験(良かった点も悪かった点も)を、具体的に集めることは重要かつ有意義なことだと思います。糖質制限による体調の変化は個人差が大きいでしょう。便秘・冷え・筋肉の攣りなど、様々な体調変化が報告されていますが、そうした情報を幅広く集積することでデータベースが構築され、それぞれの副作用の原因や回避方法も、次第に明らかになってゆくだろうと思います。
(なんだか、素人ながら新しい研究領域の最前線に触れている、みたいなワクワクするような気分を感じています)
2014-01-16 06:50 Toshi URL 編集
Re: 霜焼け、その後
貴重な経験を御報告頂き有難うございます。
糖質制限やり始めにトラブルを起こす方はたまにいらっしゃいますが、
大体やり始めというのは完全に理論を理解してやっている人は少ないのではないかと想像します。とりあえず「ごはんやパンを減らせば良い」という感じで。
その場合私のように肥満があって蓄積エネルギーが十分ある人はそれを使えるのでいいですが、そうでもない方は注意しないと摂取量不足になります。糖質以外のもので十分栄養を得ているかが重要になります。
2年目、3年目になってくるとその辺りの注意点などもわかってきてそうしたトラブルが減ってくるのだろうと思われます。
> 多くの実践者の体験(良かった点も悪かった点も)を、具体的に集めることは重要かつ有意義なことだと思います。糖質制限による体調の変化は個人差が大きいでしょう。便秘・冷え・筋肉の攣りなど、様々な体調変化が報告されていますが、そうした情報を幅広く集積することでデータベースが構築され、それぞれの副作用の原因や回避方法も、次第に明らかになってゆくだろうと思います。
同意見です。
医学の発展の始まりは一例報告からです。気づいた事を粛々と共有していきましょう。
2014-01-16 07:30 たがしゅう URL 編集