常に納得し、いつでも軌道修正できる
2018/08/31 08:00:01 |
主体的医療 |
コメント:13件
先日の記事は読む人によっては、私が視野狭窄に陥っているイメージを与えてしまったかもしれません。
何でもかんでも西洋医学を忌避させるような記事を書くのはいかがなものか、と。
早期がんで早めに手術を受けて助かった人もいるし、それを受けずに代替療法に走った結果死期を早めた芸能人もいるのだから、と。
西洋医学中心医療で恩恵を受けている人も確かにいるのだから、西洋医学の終着点がまるで地獄のように表現するのはよろしくないと。
すべては、その人が事実をどのように解釈するかという点に尽きると思います。
早期がんを手術や内視鏡で切除できた状況は、多くの人は進行がんになる前に命が救われた望ましい状況と解釈されるかもしれませんが、
私にとっては「さしたる症状がないにも関わらず、人為的外傷を加え臓器欠損がもたらされた状況」と解釈します。 私は早期がんこそ手術をすべきではないという考えを持っています。
それは私ががんとは何か、がんはなぜできるのか、がんと自分はどう向き合うべきかのかを考え続けて達した私の中での現時点での考えの到達点です。
西洋医学中心主義が善とする文化的価値観が多くの人の心の中に地層レベルでしみ込んでしまっている中で、理解されないのも無理はありませんし、
自分の考えた治療の方へ患者さんを無理に誘導するつもりもありません。
ただ私自身は、私が自分の頭で考えた結果、自分の行きたい方向へ行くこの治療方針で心底納得をしているので、
誰に手術を勧められようとも、早期がんで手術を選択することはないでしょう。
がんは先天的に発生したものを除いて、
基本的には内因性の代謝の乱れから生じた産物です。
平たく言えば自分の生き方が形として表れているものであり、生き方に歪みが生じていることをわかりやすく示してくれています。
糖質過剰により糖代謝がオーバーヒートしているのかもしれませんし、ストレスマネジメント不足でストレスホルモン過剰となりがんが育ちやすい代謝環境を作っているのかもしれません。
従ってまだ早期がんの段階であればあるほど、糖質制限+ストレスマネジメントで異常代謝環境を是正し、代謝を正常化させることでがんが消失する可能性は高いと考えます。
進行がんになればもはやオーバーヒートが著しくて、冷水をかけようが、消火器を使おうが燃え盛る火は治まりきらないかもしれません。
それを強制的に物理的に排除するという目的で唯一手術の出番は残っているかもしれませんが、
基本的にはがんになった原因を自分の外側に求めるのではなく、自分の内側に求めるのが私の考え方の特徴です。
多くの人は「がんになってしまった。先生なんとかしてくれ」という心境なのではないでしょうか。
私の場合は「がんになってしまった。怠けたり忙しさにかまけて自分の身体の声を聞かずにここまで来てしまった。生き方を見直そう」なのです。
そのような考えを自分自身で導いていることのもう一つのメリットは、
「いつでも自分の考え方次第で軌道修正できる」ということです。
主体的に決断していれば、一度決めた方針であっても、やってみて間違っていると思えばいつでも見直すことができますが、
これが他人に決めてもらった受動的な決断となれば、様々なしがらみから軌道修正しようと思っても難しい場面は多々あります。
一度「先生にお任せ」して抗がん剤治療をした後で、様々な副作用を体感してやっぱりおかしいと思ったとしても、「先生にお任せ」してしまった以上、治療方針を変えてもらうよう頼むのは難しいのではないでしょうか。
自分の納得した治療を受けられ続けるようにするためには、常に治療選択の主導権が自分にある主体的医療が必要だと私は思います。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
患者側も勉強して治療を選択しないとですね。
私はすぐにどっちがいいか悩んでしまいます
Re: タイトルなし
コメント頂き有難うございます。
決められないから人に任せるのも自分、大変だけど自分で考えて決めるのも自分、何事も自分次第です。
初カキコミ
もちろん、たがしゅう先生のブログも参考にさせていただいています。
そのなかでも、今日の記事は、『ヒトは、主体的に考えるのが望ましい』『がんも含めて、多くの病態は、「過剰適応」から「消耗疲弊」に至るものだ』という考えをお纏めになったものだ、と感じられ、とても合点がいったので、初コメントを書かせていただきました。
私は東京在住なので、なかなか、たがしゅう先生にお目にかかる機会はないと思いますが、ブログは、ほぼ毎日見ていますので、これからもお続けいただけると嬉しいです(ちなみに拍手はほんとに合点がいったときだけです)
No title
私は糖質制限を始めて、めまい・便秘気味・痛風になりましたが、糖質制限をこのままつずけていこうと思っています。痛風についてはなぜ起こるのかまだ理解できていませんが、先生から学んだ「わからないことをわからないままで一旦保留にしておける能力」、保留力を身につけて乗り切りたいと思っています。
ただ、自分がもし早期ガンだとわかった時に、主体性を持って対処できるかは自信がありません。まだまだ修行が必要ですね。
がん
と前置きもありますが、がん患者さんの体験記を拝見しても先生のように、
>私の場合は「がんになってしまった。怠けたり忙しさにかまけて自分の身体の声を聞かずにここまで来てしまった。生き方を見直そう」なのです。
客観的というか突き放すような思いには私はなれません。現に、大量の飲酒、頻繁な喫煙、大量の糖質摂取、をしてもがんにならない人もいます。
例えばがんの部分を肥満に置き換えるとどうでしょうか?
「肥満になってしまった。怠けたり忙しさにかまけて自分の身体の声を聞かずにここまで来てしまった。生き方を見直そう」
がんに較べて肥満は見た目体重の数値で解りますね。よく、なぜそんなに太るまで気付かない?とか肥満者を揶揄する言葉もあります。
先生は以前、肥満者に対する差別を感じ憤るというようなことを書いていたと思います。そこには、先生の肥満に対する誰も好きで太ったわけじゃないんだから差別はやめてほしいそういう目で見ないでほしいという吐露があったと思うんです。差別という強い言葉をたがしゅう先生が使っていたのでかなり気にしていたのだなと感じました。
検査を受けて気をつけてもがんになる人はいます。怠惰な生活を送っていてもがんにならない人もいます。
体の声をきけるとかそういうことではないと私は思います。
体の声というと概念的な印象しかありません。
No title
体の声を聞くとか、抽象的な言い方はかえって困惑します。
人間の体は未だに未知の部分のほうが多いと言われています。もっともっと複雑なものではないでしょうか?
Re: 初カキコミ
コメント頂き有難うございます。
また私の意見を参考にして頂いて有難く思います。
「早期がんこそ手術をしない」という発想についてですが、
がんが基本的に過剰適応病態で、その過剰適応を正常化するための基本が主体性です。
そうすると手遅れの消耗疲弊病態に陥る前のできるだけ早い段階で主体性を持って過剰適応病態を是正する方が代謝は是正されやすいということになります。その辺りを御理解頂けたのではないかとお察ししております。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
主体的に行動するのはなかなか勇気のいることです。
主体的に動くことの方がストレスを感じてしまい、結果的に受動的に任せる方を選んでしまう人が多いのはある意味仕方のないことだと私は思います。人間は基本的に楽な方向に流れたい生き物だと思っているからです。
しかし楽な流れに身を任せる人生は、必ずしも自分が望む方向に進めるとは限らないということも頭の隅においておくとよいかもしれません。
Re: がん
コメント頂き有難うございます。
がんになったのはすべて自分のせいかの如く言われているのが到底承服できない、という御意見だと思います。
お気持ちは理解できますし、だから見捨てないできちんと患者と向き合ってほしいと思われているのではないかと思います。
しかし誤解してもらいたくないのは、私は突き放しているのではなく、むしろ様々な治療選択肢を持ってサポートしたいと思っています。ただし、サポートするためには患者さんが向かいたいと願っている方向、すななわち主体性があることが不可欠だということです。
そうすれば私のサポートが患者さんにとって何倍もの力にもなりえます。これが主体的医療、
そうでなければ私のサポートは患者さんをあらぬ方向へ導いてしまうおそれがあります。これが受動的医療です。
糖質過剰、過剰喫煙、過剰飲酒、それで病気にならない人は確かに実在します。しかし世の中を見渡す限り、病気になる人の方が圧倒的多数です。そういうリスクがあるという事をわかった上で、自分は糖質過剰、過剰喫煙、過剰飲酒の道を主体的に選ぶという人は、それはそれでよいのです。その上で病気になった時に自分はどうしたいのかという主体的な考えもあるのなら、私はその想いを最大限サポートします。例えば、それがもしも手術を希望するということであれば、それを実施できる望ましい病院へ速やかに紹介状を作成します。見放すわけではないのです。
問題は「病気になったのは自分のせいではない。だから先生が何とかして下さい」という主体性の欠如です。100%ではないにしても必ずやあるであろう自分の中の要素に病気の原因を感じ、それに対して自分がどうしたいかを考えるという作業が大切だと私は思っています。
> 先生は以前、肥満者に対する差別を感じ憤るというようなことを書いていたと思います。そこには、先生の肥満に対する誰も好きで太ったわけじゃないんだから差別はやめてほしいそういう目で見ないでほしいという吐露があったと思うんです。差別という強い言葉をたがしゅう先生が使っていたのでかなり気にしていたのだなと感じました。
以下の記事のことでしょうか。
2013年11月19日(火)の本ブログ記事
「肥満者の苦悩」
http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-93.html
この記事で言えば、「肥満に対する差別を感じ憤る」という趣旨の内容ではありませんし、「差別」という言葉を使って記事を書いた記憶もありません。私の趣旨としては「肥満を改善する手段があるのに肥満者に受け入れられないという実状がやるせない」という感想を通じて、糖質の中毒性について伝えたかった内容となっています。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
> 体の声を聞くとか、抽象的な言い方はかえって困惑します。
> 人間の体は未だに未知の部分のほうが多いと言われています。もっともっと複雑なものではないでしょうか?
複雑であるが故に「身体の声を聞く」という対応の仕方が必要だと思います。
そして私は「身体の声を聞く」という作業は抽象的どころか、極めて具体的なプロセスを総称した呼称だと思っています。
つまり肩の緊張が増していないか、腰が痛くなっていないか、眠った後に疲れが残っていないか、下痢や便秘が続いていないか、などの様々な身体のモニタリングの総称が「身体の声を聞く」です。
「身体の声を聞く」ということを、うさんくさいごまかしと思うのか、鋭敏に不調を検出するバロメータと思うのかは、解釈する人次第だと思います。
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遺伝と体質
例えば、「親族に大腸がんが多くいるから自分も大腸の『疾患』になる確率が他の臓器より高い」という具合に。
「うちの家系は気管支が弱くて」とか聞いたことがありますし。
ガンには一部遺伝的要素もあるようですが、もし上述の関連性があるならば、「ガンという消耗疲弊に至る前に、何らかの形で弱い臓器には異常が現れるはず」で、そうであればむしろ「ガン以外の疾患は身体への警鐘」と捉え、「やはり自分はその体質を受け継いでいたか、、、」と素直に受け入れて、その後の生活習慣改善への布石になり得ないでしょうか。
その「受け入れる」姿勢を持てるか?
主体的な感覚でなければ、容易くありませんが。
Re: 遺伝と体質
御質問頂き有難うございます。
> ある特定の臓器だけ「他の臓器に比べて疾患にかかり易い」のような、臓器別の遺伝的関連性はあるのですか?
その御質問に答える明確な根拠を私は持っておりませんが、
自分の経験値から考えれば、そういうことはありそうな印象を持っています。
ある人は肝臓の耐久性が低く、酸化ストレスなどにより真っ先に肝臓に異常が現れやすい、またある人は大腸の耐久性が低く、障害が大腸に現れやすい、といった類いです。
どんな体質であろうと、糖質制限+ストレスマネジメントで全がんリスクを下げることが基本対応になると私は思います。
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