向学心と情報収集
2018/08/30 00:00:01 |
主体的医療 |
コメント:5件
主体的医療を行うためには自分の頭で考えることが不可欠です。
野生動物は五感を中心とした自分の感覚のみが判断の頼りでした。
しかし人間は高次脳機能が発達し、言語、思考、概念を通じて文化的価値観を独自に形成してきた動物です。
そうした社会性の中で判断を求められる場合に必要不可欠なものは「情報」です。
人間の世界のみに生じた様々な問題をどう解決すべきかを考える時にはどうしても五感だけでは太刀打ちできないことが出てきます。
だから主体的医療に取り組むためには自分から情報を集めにかかる必要があります。 そして自分で集めた情報を元に自分の頭で考えて自分の中で消化して取り入れる作業が必要です。それを繰り返すことで思考の樹が育ちます。
そしてその思考の樹こそが主体的医療を行う上での大切な基盤となるわけです。
逆に言えば、この思考の樹が育っていない人は残念ながら主体的医療に参画するのは難しいでしょう。
自分の頭で考えられないという人はおそらく情報が足りていません。そして「なぜ?」にこだわる姿勢も足りていないのではないかと思います。
例えば、「糖質制限がいいと友達から聞いた。薬は飲みたくないけど、どうしたらいいか分からないから糖質制限を推奨する先生のところに来てみた」というのでは自分の頭で考えたことにはなっていません。
何も考えていない姿勢は変わらずで、直感的に信用する対象が西洋医学中心派から糖質制限推進派に変わったというだけで、構造上はどっぷりとした受動的医療なのです。
何かを考えられるようになるためには、「なぜ?」を考え続け、その答えを出すための知識を求め続けることです。
だから「素人だからわからない」「先生にお任せします」と諦めた時点で、
その人は主体的医療の恩恵は受けられず、良くも悪くも人工的な自然の流れになされるがままの人生を生きることになるでしょう。
もし自分ががんになったら皆さんならどうしますか。
「先生にお任せします」コースに乗れば、十中八九、西洋医学中心医療のレールに乗ります。
幸い私はそのレールに乗ったら多くの人がどうなるかということについての情報を持っていますので、レールに乗らないという選択肢を主体的に選びます。
しかし「お任せ」コースで「素人だから」と自分で情報を集める努力を怠っている人は、
その事実を知ることなく、「きっと先生が立派な治療を施してくれるに違いない」と揺れ動く感情を何とかうまくおさめようとします。
そして最後まで自分で主体的に動くことを放棄し続けた人は、
遅かれ早かれそのレールの終着点へと運ばれます。そこがどういうところかは皆さんの想像にお任せしますが、
要するに主体的にならないことは、流れに流されて必ずしも自分の行きたいところに行けるとは限らなくなるということなのです。
がんとは何か。
がんになるのはなぜなのか。
がんに対して今自分はどう向き合うべきなのか。
そうしたなぜ?を考え続ける向学心、
そして考えるための情報を収集する努力を続ける人のみが、
主体的医療を通じて自分の行きたい所へ進んで行くことができるのではないかと私は思います。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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No title
さて8/30の記事「向学心と情報収集」で
「幸い私はそのレールに乗ったら多くの人がどうなるかということについての情報を持っていますので、レールに乗らないという選択肢を主体的に選びます。」とありました。
そのレールに乗らない選択肢とは、具体的にどうしようとお考えなのかお教え頂きたいのです。
お願いいたします。
No title
ところで話は変わりますが、昔医師から「一般的によく使われている薬だけど、効くかどうかは人によって違うので出来るだけ早くまた病院に来るように」と言われたことが有りました。
その時は「随分心配性の先生だな。もしかして自分に自信が持てないのかな?...」と思いましたが、今にして思えば素敵な医師だったなと思います。
Re: No title
御質問頂き有難うございます。
> そのレールに乗らない選択肢とは、具体的にどうしようとお考えなのかお教え頂きたいのです。
一言で言えば糖質制限+ストレスマネジメントを基本におき、必要に応じて自然を重視する漢方薬やホメオパシー、断食などの治療を適宜利用する方法です。あくまでも私が主体的に考えて導いた方針で、万人に勧めるものではありませんが。
2017年7月4日(火)の本ブログ記事
「がんに対する不安はない」
http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-1017.html
も御参照下さい。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
> 「一般的によく使われている薬だけど、効くかどうかは人によって違うので出来るだけ早くまた病院に来るように」と言われたことが有りました。
> 今にして思えば素敵な医師だったなと思います。
そうですね。医療に絶対はないということを自覚されている謙虚な先生ではないかと思います。
忙しくても、自信があっても、頭の隅で「自分は間違っているかもしれない」という謙虚さを持ち、いつでも軌道修正できる余地を持っておくことが医師に限らず万人にとって大切なことではないかと私は思います。
No title
先生の今までの毎日の記事と、8/31の記事で
何をおっしゃりたいかが良くわかりました。
今後も期待しつつ読ませていただきます。
御礼まで。
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