いなくなって初めてわかる存在感

2018/08/29 00:00:01 | ふと思った事 | コメント:2件

ワイドナショーというワイドショー番組を好きでよく見ています。

この番組はお笑い芸人の松本人志さんがレギュラー出演されていて、

同じくお笑い芸人の東野幸次さんと女性アナウンサーの司会の下、週替わりのゲストコメンテーターとともに、

普段ワイドショーで取り上げられることの多い芸能人がワイドショーについて語り合うというコンセプトのもとトークが繰り広げられる異色のワイドショー番組です。

老若男女様々な立場のゲストが様々な視点で独特の意見を述べられる様子も見ていて面白いのですが、

やはり一際目を引くのは、レギュラー出演されている松本人志さんのコメントです。
松本人志さんと言えば、おそらく多くの人が天才と認めるほどのお笑いの才能の持ち主だと思いますが、

松本さんの才能はこの番組でも如何なく発揮されています。というよりも松本さんなしではこの番組は成立しないのではないかとさえ思えます。

難しい話題から小ネタのような話題まで様々な話題を取り扱いますが、

深刻なテーマの時にも、その中で空気を壊さないよう間合いをみながら笑いの要素をうまく織り交ぜてられたり、

一見すると突拍子もない斜め上を行くような意見に聞こえても実は本質をついているコメントを述べられたりと大変勉強になります。

例えば、中学生のいじめ自殺問題を扱った際に松本さんが言った「(自殺する前にバラエティ番組の)『探偵!ナイトスクープ』にはがきを送ったらいい」というコメントは、冗談のように見えながらも実は真理をついている意見です。

要はいじめの中で生きていくしかないと世界を狭めてみてしまっているその中学生に、「世界はそこだけじゃない、その世界に救いがなければそこではない世界に逃げ込めばよい」と教えてくれているのだと思います。

そんなワイドナショーですが、先日珍しく松本さんが体調不良で欠席されるという回が放送されました。

もともと松本さんのいたワイドナショーに慣れていたということもありますが、松本さん不在のワイドナショーは実に違和感が大きくて、

決してまったく面白くなかったわけではないのだけど、見終わってなんとなく不完全燃焼の感がぬぐえない感となりました。

それはつまり松本さんが番組内でやはり大きな存在感を示しているということの裏返しなのではないかと私は思いました。


ところ変わってこれまた私が好きなNHK Eテレの「100分de名著」という番組、

こちらもレギュラー出演している伊集院光さんが8月の放送回は夏休み子どもスペシャルということでお休みとなり、

代打で明治大学教授の斎藤孝さんが伊集院さんの代わりを努められて進行されていましたが、

こちらも伊集院さんがいないことでの物足りなさを感じざるを得ませんでした。

名著の解説はいつもながらわかりやすかったですし、斎藤さんも要所要所でためになるコメントを述べられていたと思います。

さりとて伊集院さんのわかりやすくかみ砕く力、身近な話題に置き換えて理解する力には及ばない印象は否めませんでしたし、

伊集院さんがもたらすわかりやすさに、さらに親しみやすさが加わってこの番組は非常に魅力的に映っていたのだと、

皮肉なことに伊集院さんがいない回を見て感じさせられました。


このようにいなくなって初めて、偉大な人が身近にいたのだという事に気付くことってあると思います。

自分もいつかそんな人間になれればと願うばかりですが、そうなるためには何をどのようにすればよいでしょうか。

おそらく特別なことは何もなく、ただひたすら良い仕事をし続けることではないかと私は思います。

それは自分ができることの中で最大限のパフォーマンスを発揮することです。

松本さんや伊集院さんと同じようなことをしようと思ってもきっと無理で、そうではなくて自分にしかできないことを一生懸命やり続けるのです。

そうすれば気が付けば自分がいなくなった時にその存在感を感じてもらえるのではないでしょうか。

いなくなって存在感を感じてもらうのが目的ではなく、

存在感を感じてもらえるくらい良い仕事ができるように、

私も日々の仕事を頑張っていきたいと思います。


たがしゅう
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コメント

残念ながら

2018/08/29(水) 16:39:10 | URL | m.kurimoto #-
いつも多方面に渡る面白い考察ありあがとうございます。

伊集院光氏は私も大好きでTBSラジオの番組はよく聴きます。私も彼のような非凡な分析能力には憧れますが、なかなか難しいです。たがしゅう先生のような非凡な才能(文章力とか人間力とか知識量とか)にもとても憧れますが、やはり私には難しいですね。私は私のできる事をコツコツと高望みせずにこなす毎日です。
たがしゅう先生自身では松本人志氏や伊集院光氏のような誰もが知っている天才には遠く及ばないという感覚なのでしょうけど、私から見れば、たがしゅう先生も明らかにそっち側の人間ですよ・・・残念ながらと言うか何というか。
これからも私の様な凡人の行く先を照らす灯台の役割を全うされますよう、心より応援しております。

Re: 残念ながら

2018/08/29(水) 18:16:17 | URL | たがしゅう #Kbxb6NTI
m.kurimoto さん

コメント頂き有難うございます。

過分な御評価に恐れ入りますが、私には天才側の人間である自覚は全くないです。
それはおそらくm.kurimoto さんと同じくらいの感覚ではないかと想像します。
ただ人それぞれ生きてきた背景が違うので、その人なりの天才性を発揮する場は人それぞれあるのだろうとは思います。皮肉なことに当の本人はそれになかなか気がつかないものなのかもしれません。

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