患者感覚と医者常識とのギャップを埋める
2018/07/19 00:00:01 |
主体的医療 |
コメント:8件
主体的医療の本質は患者と医者との間の対等なコミュニケーションにある可能性が見えてきました。
しかしながら、患者が求めていることと医者が正しいと思っていることにしばしば食い違いが生じることがコミュニケーションの妨げとなっている側面があります。
先日のてんかん講演会でも、同じ安心・安全の医療でも医師にとってと患者にとってのそれが全く違うということが紹介されていました。
医者にとって安心・安全の医療は、科学的に理屈が説明できて標準的なガイドラインに載っている治療法を提供することかもしれませんが、
患者にとっては副作用があるのかどうかとか、担当医が信頼できるかということの方が安心・安全のための関心事ではないかと思います。 例えば私が患者さんとの信頼関係を構築していたとしたら、
もしもその患者さんの病気を、科学的には何故効くのかは分からないけれど、ホメオパシーを使って治したとしたら、
その患者さんは、理由が説明できずガイドラインにも載っていない治療を施したことに対して、患者さんは不安を感じて私へクレームを告げるでしょうか。
きっと私との出会いに感謝してくれるのではないでしょうか。
このように患者感覚と医者常識のギャップを意識してそれを埋め合わせることが、
良好な患者医師関係を構築し、主体的医療の礎となるのではないかと思います。
それは口で言うのは簡単ですが、
実際に実践するのは容易ではありません。
なぜならば患者感覚は人によって千差万別だからです。
例えば医者が血液検査を行って、その結果を説明するという場面を想像してみます。
人によっては細かい血液検査の項目をひとつひとつ説明するよりも、
全体を俯瞰して「大丈夫」の一言を言ってもらうことで満足する人もいれば、
やはり細かく説明をしてもらわないと満足できない人もいるのではないかと思います。
ここに患者の遠慮という概念が挟まれば、患者の満足度を高めるためにどうすればいいかについて医師は方向性を見失うことになりかねません。
意識のギャップを埋めるために対等かつ円滑なコミュニケーションをとることができれば、
主体的医療の真価が発揮されるのではないでしょうか。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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職場内でもいい人間関係を築いていきたい
良い関係が築けたら、それは素敵な事だと思います。
そのとおりです。しかし、現実には良い関係が築けてないことも多いように感じます。そしてそれは、医者と患者だけではなく、医者と看護師、医者と受付、医者とその他の医療スタッフとの関係にもいえることです。
まずは、職場内でもいい人間関係が築けていけるよう今日も頑張ろうと思います。
目線の高さ
私の腸の持病が最悪だった時の最悪の思い出話を一つさせてください。
藁にも縋る思いで専門開業医Iの診察を受けました。
診察室に入るなり、私を怪訝そうな顔で見る態度にまず第一印象からすでに最悪でした。
私「先日○○病院で検査を受けて、そちらの医師から、たぶん潰瘍性大腸炎だと思うから専門のI先生のところに行くといいよ、と言われたので来ました。」
I医師「誰?その医者知らんね。まぁ僕はこの業界では知られているから学会で知ったんだろうね。で、病変の画像は?」
私「病変?内視鏡ですか?はい持ってきました」
画像を見ながら・・・
I医師「いや~これはUCじゃないよ。詳しく見るから、次回うちで内視鏡撮って。はいじゃ予約して帰って」
触診もなく、看護婦に別室に促される私。
自分の体に何が起こっているのか、一気に不安に襲われた私は、振り返り・・・
私「今日でいいので見てもらえませんか?」
I医師「あ!?患者が多くて忙しいんだよ!慌てるな、治してやるから!」
と怒鳴られました。初対面の医師からです。
確かに待合室に多くの患者さんが居たので、納得することにして、その病院を後に。
それきりその病院は受診していません。
この一連のやり取り、全く脚色していません。
患者に対しての一抹の情は感じ取れるでしょうか?
自らが発している専門用語や横柄な態度に気づいていないのかもしれません。
その姿勢は、その道のエキスパートだという自負心の裏返しなのかも知れませんが、患者は医師の自信よりも自分の安心を欲していると思います。
その後漢方医と出会い体調は良くなりましたが、自分の体は自分で治すことを気づかせてくれた出会いだと前向きにとらえています。
長文失礼しました。
Re: 職場内でもいい人間関係を築いていきたい
コメント頂き有難うございます。
御指摘のように何も医師と患者だけに限った話ではありませんね。
共通の目的がある時に、そこに向かって良いパフォーマンスを発揮するには良好な人間関係に裏付けられて互いの主体性を出し合うことではないかと私は思います。
Re: 目線の高さ
コメント頂き有難うございます。
お辛い経験でしたね。お察し申し上げます。
逆になぜそんな横柄な医師の診療に多くの患者が集まっているのかということを考えてみるとどうでしょうか。
それこそ「受動的医療」がベースにあり、患者の主体性が発揮しにくい環境があるからに他ならないと私は考えます。
②医師の態度の件、診察の可視化があれば、医師にとってもメリットがあるのでは?「はいわかりました」を連発しながら改善がない患者への対応研究など。ただ非常に重い個人情報の管理責任が難しいです。処方箋薬局で「どのようにご説明受けられましたか」との薬剤師の確認の際の患者発言を適切にフィードバック出来れば良いなと思います。長期療養の家族がいたころ、医師・訪看・薬局の三者の連携がよく、それぞれが補足説明や、他者へ家族の気持ちを伝えるなどしてくれ、互いの誤解の早期解決など助かりました。
③糖質制限食とストレスコントロールで、医療機関受信者大幅減少し、治療のファーストチョイスが漢方、湿潤療法等となり、ホメオパシーの適切な実施等により医療費大幅削減と、医療関係者労働時間大幅減少、ゆったりした医療の実現!とかなったらいいなぁと思います。
Re: タイトルなし
御意見を頂き有難うございます。
①は検査会社との連携も不可欠ですね。
病院間・組織間のネットワーク連携が進めばあるいはとも思いますが、
ネットワーク構築に関して医療は後進領域です。電子カルテも病院ごとが各自に別々のものを導入しているような状況で連携とは程遠い実情があります。以前いた病院で数か所の限られた病院間で互いの電子カルテ閲覧ができるシステムを利用していた経験がありますが、その時も同意書や説明書など書類作成作業が多くて大変でした。2,3個の病院をつなぐのにこの苦労なのであれば、すべての病院がつながるという日などいったいいつになったら来るのやらというのが実感です。
②診察の可視化は大きなポイントだと思いますが、それを嫌がる医師は多いと思います。
逆に言えば、それだけ閉鎖的環境に慣れているということです。ごもっともなご意見ですが、これもまた実現に遠そうな印象です。
ちなみにオンライン診療のシステムによっては診察場面が記録に残ったりすることもあるようですので、今後その状況は少しずつ変わっていくかもしれません。
③糖質制限+ストレスマネジメントは勿論、御指摘頂いた漢方のファーストチョイスについても私は前向きに考えてもらいたい問題だと思っています。なぜならば西洋薬に安易に頼ることは自己治癒力を弱める側面があることに私は気付いているからです。これについてはいずれ記事にしたいと思います。
Re: タイトルなし
コメント頂き有難うございます。
> 病院への不満は時間がかかる事がトップ、まだ会計等時間がかかるので医師に質問はしない。しても、説明がよく理解できないし、したところで処方は変わらない、順番待ちの人の冷たい視線もある。服薬後改善なければ病院を変えればいい、と。
貴重な御意見です。
「遠慮の塊」とも見えますが、我々の改善行動のヒントとなる「クレームの宝庫」と受け止める事もできます。
・会計など時間がかかるので医師に質問はしない
→会計時間の短縮化。あるいは都合のよい時に会計できるようにする(オンライン診療)
→医師は気軽に質問できる雰囲気を作るべし。事前問診表を利用する(対面・オンライン診療)
・質問しても説明がよく理解できない
→原因を追究する。医学用語を多用していないか。価値観の相違がないか。
・質問をしたところで処方が変わらない
→処方を変えてほしいニーズを鋭敏に察知する。
→場合によっては医師にとってベストな処方でなくても、本人が望むならストレスマネジメントの観点から処方を変更する
・順番待ちの人の冷たい視線が気になる
→完全予約制を導入する。オンライン診療であれば他人の目線も気にならない。
・服薬後改善なければ病院を変えればよい
→服薬後改善なければ改めて同じ医師に相談できるような良好な患者医師関係を構築する。
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