糖質は毒か否か
2014/01/04 00:01:00 |
ふと思った事 |
コメント:15件
皆様は毒と聞くとどのようなものを思い浮かべますか.
青酸カリ,トリカブト,フグ毒など,毒と呼ばれるものはいろいろあります.
今回は毒について書かれた以下の本を読んでみました.
この本の中ではもっとも端的な毒の定義を「人に害をなすもの」としています.
一方,薬とは「苦しみを和らげ,命を永らえさせるもの」です.
よく言われることですが,「毒と薬は紙一重」です.同じ物質でも量が少なければ薬,多ければ毒ということがあるわけです.
さて,釜池先生の糖質ゼロ食では糖質を毒ととらえ,あくまでゼロにすることを目標としています.
はたしてこの「糖質は毒」というとらえ方はどうなのか,について考えてみたいと思います. この本での「人に害をなすもの」という定義で言えば,確かに糖質は毒になるでしょう.糖質は確実に人に害をなします.
ところが,この定義で言えば水も大量に飲めば人に害をなす(例:水中毒)ので,水も毒ということになってしまいます.
そこでもう少しこの本を読み進めてみると「少量で健康を害するもの」というより狭義の定義が書かれていました.
一般的には15g以上食べないと死なないものは,毒とは言わないそうです.従ってこの定義に沿えば,水は毒ではないということになります.
糖質は「ゼロが理想的で人体に害を及ぼすけれど,15gくらいでは命に支障をきたさないもの」なので広義の毒で,狭義の毒ではないということになるでしょう.
一方,もう一つの観点は「母乳に糖質が含まれる」という事実です.
もともと自然界に存在するものかどうかということは毒かどうかを判断する材料になると思いますが,
今のように糖質まみれでなかった狩猟採集時代であっても母乳中には糖質は存在していました.
五訂日本食品標準成分表によると,人乳は100gで、65kcal、糖質が7.3gくらい、脂質が3.5gくらいだそうです。
子どもから大人になるまでの間というのは,旧型エンジンであるブドウ糖―グリコーゲンシステムが,新型エンジンであるケトン体―脂肪酸システムがきちんと機能するまでの間はある程度一定の役割を持っている可能性があります.
そうなると糖質が毒と捉えてしまっていると,生まれてすぐに毒を摂取せざるを得ない状況,という変な状況になってしまうので,やはり私は糖質を完全に毒と言い切るのには違和感があります.
しかし少なくとも成人にとってみれば糖質はなくてもよいもので,理想的にはゼロを目指すべきだと思います.
ただしいろいろな食品を摂っていると,それを達成するのは事実上かなり困難です.糖質がある程度入ってきてしまうのはやむを得ない状況があると思います.
従ってそうした糖質の本質を理解した上で,糖質の量を制限し,管理していくという姿勢が大事であるように思います.
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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間違いだらけの栄養学
栄養学に間違いが有るように思い自分のからだで臨床を始めて3ヶ月になりました
まだ途中結果ですが最初2ヶ月間 1日 3000カロリー 糖質は10㌘ 野菜は白菜一枚だけ 鶏肉 豚肉 レバー等1キロ その他オリーブオイル30㌘ ココナッツオイル10㌘ チーズ3個 納豆 卵3個 1日に二回に分けて2ヶ月間同じメニューで生活しました。
結果 身長174 体重60は変わらず 血液検査も問題なしでした。
その後1ヶ月間全ての食事量を半分の1500カロリーにしましたが 体重は変わらず 身体の調子すごくいいです。
1月1日からは1000カロリーで生活してます。
今のところ問題ないです。
途中報告です。 カロリーてなんなんでしょうか?
糖質とカロリーと体重 奥が深そうです。
栄養学の本とハーパーの生化学とにらめっこしながら エネルギーとは何か臨床をしつつ記録をとり考え勉強し自分の本をかいてみたい。三年はかかりそうですが、
途中報告です。
毎日同じ食事は思った通り厳しく大変です。
いろいろ発見もあり楽しくも有り。
またコメントします。
Re: 間違いだらけの栄養学
コメントを頂き有難うございます。また実験の経過報告感謝申し上げます。
> カロリーてなんなんでしょうか?
> 糖質とカロリーと体重 奥が深そうです。
同感です。私の体重推移もカロリー理論では全く説明がつきません。
私も試行錯誤の人体実験を続けて参ります。興味深い事がわかれば是非情報共有していきましょう。
現代の食品の危険性
糖質の量に加えて、現代の食品の、過剰加工・添加物・遺伝子組み換え・食材偽装・放射能汚染など、さまざまな問題が絡み合っていると思います。
なるべく素朴で、自然な食材を摂取したいですね。
例えば、肉は、放牧さりていて、穀物ではなく、安全な牧草で育った牛。
ブロイラー状態で、さしの入った牛は嫌ですね。
魚は、汚染されてなく、新鮮なもの。
着色された「たらこ」などは嫌ですね。
卵も、生で食べられるようなもの・・・
現代人は、不健康なものを異常に多く食べていると思います。飲み物も含めて・・・
記事と関係無いものですが・・・
先日はアドバイス頂きありがとうございました。
ところでご存知かもしれませんがこんな著書を見つけました。
炭水化物が人類を滅ぼす~糖質制限からみた生命の科学~ (光文社新書)
http://ddnavi.com/review/178066/
実際に読んだわけではないのですが一般の方のツイッターの反応を見る限り批判的な意見が大多数です。
やはり日本人に米を食うな麺を食うなはかなり受け入れがたいものだということを改めて痛感しました。
いつの日か糖質制限が一般受けする時代が来るよう願っています。
Re: 現代の食品の危険性
コメントを頂き有難うございます.
> 糖質の量に加えて、現代の食品の、過剰加工・添加物・遺伝子組み換え・食材偽装・放射能汚染など、さまざまな問題が絡み合っていると思います。
> なるべく素朴で、自然な食材を摂取したいですね。
そうですね.
自然な食材を追い求めれば求めるほど入手が困難になりますし,一般のスーパーで食品を入手するのは便利である代わりに御指摘のように過剰加工・添加物などによる安全面のリスクを背負うことになります.
とはいえ理想を高く持てば持つほど,実生活が困難になるところもあります.何処に落としどころを置くかは個々人がそれぞれ考えるべき問題です.
Re: 記事と関係無いものですが・・・
コメントを頂き有難うございます.
> 炭水化物が人類を滅ぼす~糖質制限からみた生命の科学~ (光文社新書)
> http://ddnavi.com/review/178066/
私も読了しました.間違いなく良書です.
賛否両論があるとのことですが,否定するのは従来のパラダイムから逃れられていない人だと思います.
2013年12月24日(火)の本ブログ記事
「炭水化物が人類を滅ぼす書評」http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-130.html
も御参照下さい.
「世にある色々な研究は一般人が対象。つまり糖質を普通に摂取している人が対象だから、世の中の色々な研究を寄せ集めてきて、くっ付けたら良いという訳ではない」というのを信じたいと思います。
No title
カロリーというのは熱量です、物を燃やしたときに取り出せる熱エネルギーですね。問題は人間は別に体内で燃焼でエネルギーを取り出してるわけではまったくないということです。これは体内で起きている現象が良くわかっていない時代に仕方なく近似値のような形で理解しようとした先人の知恵なのでしょう。これが批判されることなく完全に正しいものとして皆が信じてしまったことが悲劇ですね。
太ってるやつや糖尿病患者は自分をコントロールできないだらしない奴だと糾弾するのは健康人からすると娯楽かもしれませんね。今のいじめ問題や人種差別と似てますね。
糖質0、カロリ-も0
こんにちは。まるでアルコールメーカーみたいなタイトルですが、以前の私は釜池先生の影響を強く受けていましたので糖質=毒だと思って、徹底的に排除しようとしました。そうするとどうなるかというとなかなか実践が難しくて失敗してしまう訳です。普通ならそこで挫折して終わりってことになるんですが、私の場合は体の調子が悪い主原因は糖質にあると思っていたので諦めきれず、面倒なので糖質も0、カロリーも0なら問題解決だろうと素人的な発想に至りました。つまり、断食や絶食です。しかし、断食はそう長くはできないのでそれに近い効果があるケトン食に興味が移りました。いろいろやってきて、基本的にはたがしゅう先生のスタンスに極めて近い考え方になってきています。しかし、釜池先生の糖質は毒だ!!はすごくインパクトがあるし、そう言い切ってしまう方がシンプルで分かりやすい面もあると思っています。釜池先生はおそらく様々なことを理解された上での主張だと思います。釜池先生の言葉は深いですね。そんなことを言っていると釜池先生には叱られてしまうでしょうね(笑)
Re:
コメント頂き有難うございます.
人にはそれぞれ事情がありますので,糖質制限の勧め方も臨機応変に変えていく必要性を感じています.
知らない人にまずは選択肢があることを知ってもらいたいですね.
Re: No title
いつもコメントを頂き有難うございます.
おっしゃる通りです.カロリー自体を否定するのではなく,カロリーの概念を人体にそのまま当てはめようとする行為に誤りがあるという本質を見失なってはいけないですね.
Re: 糖質0、カロリ-も0
コメント頂き有難うございます.
様々な情報を元に,自分自身の見解を作り上げていく必要性を感じています.
釜池先生の見解は一つ非常になる見解の一つです.
SLEEPさん
私もそうだと思います、されば 人間はどれくらいの 脂質、たんぱく質、その他栄養素が必要なのか 自分の身体で実験をしてみようと思っています。
また、いろいろ教えてください。
たがしょう先生のブログで勉強していきたいです。
No title
私はゆる~い糖質制限と薬物治療を併用している2型糖尿病患者です。
個人的には、「糖質は過度に摂取すると人体に毒である」と捉えていますが、これが「糖質は人体に毒である」という論理に飛躍するのは教条主義すぎると考えています。
素人考えですが、糖質は効率的なエネルギーで人体はこれを効率良く利用するようにできているのではと考えています。そうでないと糖新生などは、わざわざ毒物を生成するメカニズムが人類に備わっているというおかしな論理になってしまうと思います。
つまりは、「糖質を適度に摂取」することが人類生存の大きな要因だったが、この適度というのが個人差が大きいのだろうと思います。
いずれにしても最終的にはその人が自分で判断するしか無いのでしょうかね。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
> 「糖質は人体に毒である」という論理に飛躍するのは教条主義すぎると考えています。
同感です。
良い悪いの価値観はヒトが勝手に決めているものであり、物質はただそこに存在しているだけです。
良い悪いを抜きにして、フラットに捉える事で見えてくる光景もあると思います。
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