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片頭痛とケトン食

category - 普段の診療より
2013/ 09/ 11
                 
ケトン食は片頭痛に対しても有効性がある可能性が示されています(Kossoff,E.H.,Huffman,J.,Turner,
Z., and Gladstein,J.(2010).Use of the modified Atkins diet for adolescents with chronic daily headache. Cephalalgia 30, 1014–1016.).

先日の救急当番での症例をもう一人紹介.

20代女性.
元来頭痛がひどくすでに片頭痛の治療を受けているも,症状がひどくなったため臨時受診.
なかなか薬が継続して飲めずに,なくなったところで頭痛がぶりかえしたとのこと.

私もある事情で薬を継続して飲もうとしたことがありましたが,
仕事をしながらの世代はどうしても勤務が不規則だったり,帰るのが遅かったりで薬飲むのを忘れてしまいます.
だからこの気持ちはよくわかります.

食生活にも注目している私は早速彼女の一日の食事パターンを聞いてみることに.すると,

            

朝:某社の栄養補給系ゼリー
昼:某社の栄養補給系ゼリー
 15-16時頃 ごはんorうどん/野菜炒めもの
夜:気持ち悪くなって食べない

低カロリーかつ炭水化物メインの食生活です….
ゼリーで栄養が補えているという誤解.ここにも誤った栄養学の弊害が出ています.
しかも夜の気持ち悪さは機能性低血糖症の可能性すらある状況です.
直ちに炭水化物との付き合い方を見直さなければなりません.

やせ型の彼女は普通の食事があまりのどを通らないんだそうです.
私はいつもの薬を出すとともに,緩やかなケトン食について追加の指導を行いました.
特にそのゼリーは,例えばカップ茶わん蒸しに変えてみてはどうかと提案してみました.
あとは例によって,なぜ炭水化物(糖質)を控えた方がいいかを紙に書いてできる限り詳しく説明しました.

週に1回は頭痛に悩まされるという彼女.
とりあえず嫌でなければ2週間ほど緩やかなケトン食やってごらんと指導してみました.

これで彼女の頭痛が少しでもよくなってくれればよいのですが…


たがしゅう

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コメント

非公開コメント
        

No title
はじめまして、糖質制限で片頭痛が劇的に改善した者です。
今年3月から糖質制限をはじめ、週に2回倒れるほどだった閃輝暗点を伴う片頭痛が全くおこらなくなりました。以前はレルパックスとハイボンがよく効いていましたが、今は飲んでいません。私も拒食傾向が改善し、大袈裟ではなく、こんなに毎日食事がおいしいのは生まれて初めてです。
驚いたのは、ナッツ、チーズ、赤ワイン等のよく片頭痛を起こすとされている食材を糖質制限下で食べても頭痛が起きないことです。
こちらは夏井先生のサイトから知りました。糖質制限に詳しい神経内科の病院を探しても難しかったので、先生のブログは頼もしいかぎりです。
Re: No title
banquoさん

 参考になるコメント有難うございます.
 片頭痛,拒食傾向の改善,良かったですね.
 やはり実際改善された方の報告が一番説得力があります.チーズ,赤ワインで頭痛が出なくなるという話も非常に興味深いです.ここでも従来常識とされた指導内容を見直す必要がありますね.

 江部先生,夏井先生にも伺ってみましたが,確かに糖質制限推進派の神経内科医は少なくとも表面的にはあまり多くないようですね.微力ですが,banquoさんのお役に少しでも立てれば嬉しく思います.今後とも宜しくお願い申し上げます.
No title
舌を上顎にくっつけると首周辺の筋肉が緊張しなくなる、歯の噛み合わせも自然と良くなり、口呼吸もしなくなる、腰痛にも効果があるという本があります。
「背筋は伸ばすな」山下久明
人間の姿勢というものに進化論から真剣に向き合った本です、おすすめします。

またこれは私の体験談ですので確証も何もないですが、たまに顎がなるのも奥歯が痛くなるのも偏頭痛も全部右側でした。MTBで転ぶのもほぼ右側ってこれは余談か・・・
Re: No title
SLEEPさん

興味深い本の御紹介有難うございます。
進化の過程まで遡ると真実が見えてくるという視点は、糖質制限、湿潤療法に通じる部分があるので大変興味深いです。早速手に入れて読んでみたいと思います。

片頭痛って「片」というくらいだからSLEEPさんのように片側だけに起こるものかと思われがちですが、実際には両側痛がられる片頭痛患者さんも結構おられます。
おそらくは生まれ持っての脳の優位性からくる違いではないかと思っています。
逆です
私は逆です。糖質が切れると片頭痛になります。
普段からケトン体質で、低糖質の食事をしたり食事時間が空くと片頭痛の発作がおきます。
ですからケトン食は危険なこともあります。
Re: 逆です
えか さん

 コメント頂き有難うございます。

> 私は逆です。糖質が切れると片頭痛になります。
> 普段からケトン体質で、低糖質の食事をしたり食事時間が空くと片頭痛の発作がおきます。


 低糖質に切り替えはじめて間もない頃は糖質の離脱症状で頭痛が来る事があります。

 しかしアルコールの離脱症状がそうであるように、時間が経てば離脱症状は必ず和らぎます。

 それまでがどうしても我慢できないようであれば、弱い糖質制限から少しずつ進めていくというのも一つのやり方かと思います。ご参考までに。
違います
よく「離脱症状がでる」とか言って、精神科医が「薬止めると危険」等と言いますが、片頭痛の発作が「離脱症状」だから糖質制限続けろと言って、片頭痛患者の苦しみが分からないようでは無責任です。片頭痛は長年患っていて、「離脱症状」なわけありません。

注意してほしいのですが、人によって糖質制限は危険なこともあります。

糖質制限の本質は、断食ですから、肉食べて断食の代わりにはなりません。
食べたいだけ食べたらカロリーが高くなって太るし、腎臓を傷めるし、肝臓にも負担がかかります。
Re: 違います
えか さん

> 注意してほしいのですが、人によって糖質制限は危険なこともあります。

 それは確かにそうですが,脂質代謝異常など稀なケースです.多くの人にとって糖質制限は安全です.

 私はえかさんのブログコメントから病態を推測しただけで,食事内容を詳しく聴取したわけではないので,

 えかさんの頭痛の原因が糖質制限のせいなのか,糖質からの離脱症状のせいなのか,はたまた血糖の乱高下のせいなのか正確に判断することはできません.

 無責任とおっしゃいますがここは,実際に診察していない医師のブログのコメント,という性質を御理解頂きたいです.あくまで参考意見程度にして下さい.

> 糖質制限の本質は、断食ですから、肉食べて断食の代わりにはなりません。
> 食べたいだけ食べたらカロリーが高くなって太るし、腎臓を傷めるし、肝臓にも負担がかかります。


 この点に関しては私とは全く考えが違います.

 えかさんがその理由で糖質制限が危険だとおっしゃっているのであれば私はそれには同意できません.

 まずケトン食療法には疑似絶食療法としての位置付けがあります.絶食時に産生されるケトン体が産生されるという意味で断食に準じた治療効果が期待できます.

 また糖質を実際に制限している人間ならわかりますが,食べたいだけ食べるといっても自然に食欲が抑制されるのでカロリーオーバーになりません.その事はDIRECT試験という有名な疫学研究でも証明されています(Shai I, et al. Weight loss with a low-carbohydrate, Mediterranean, or low-fat diet. N Engl J Med. 2008 Jul 17;359(3):229-41. doi: 10.1056/NEJMoa0708681.).

 少なくともⅢa期より前の腎障害なら糖質制限で腎機能が悪化することはありませんし,それ以降の腎不全でも蛋白制限を加えることで対応可能です.また糖質制限を行うことで脂肪肝やNASHといった肝障害の多くはむしろ改善します.
ケトン血性嘔吐症
すみません。ケトン体質に反応してしまいました。
ケトン血性嘔吐症とか周期性嘔吐症とかいう病気が以前はあって、(もちろんこどもの)疲れて夕飯を食べないで寝てしまった後に朝方から腹痛と嘔吐がはじまる、こどもは肝臓にグリコーゲンの貯えがあまりないので、すぐ枯渇してしまい、血糖を上げるために、体の脂肪を分解してケトンが出る、これが血液中に入ると嘔吐中枢を刺激して吐きまくる、
と説明されていました。
でも変なんです。まず腹痛の説明にならない。悪心、嘔吐より、多くの子は腹痛がメインなんです。
あと元気な時に尿検査しても、ケトンが出ていることがある、ゲーゲー吐いている子の尿ケトン陰性も結構ある。
嘔吐している子も1本点滴して、寝てしまうと大体落ち着きます。
寝ると治る、で自分が持っている片頭痛にえらく似ているじゃあないか、と思っていたら、このごろ腹部片頭痛のお仲間に分類されるようになりました。
私の片頭痛は更年期に入ったら無くなりました。これは成書にも書いてあって、おそらくホルモンの関係でしょう。
片頭痛の原因はストレスです(なんてあいまいな表現!)。機能性低血糖もストレスになると思います。
一部の代謝異常のかたを除き、糖質制限をはじめたら具合が悪くなる人は、ゆっくりはじめたらいかがですか?やめるという選択肢もあると思います。
それはどんな食事療法も同じですよね。
あとは理論の裏付けがどれだけあるか。それが一番の判断材料になるはずです。いろいろな栄養素が足りなくてあるいは多くておこる病気はいっぱいあります。昔から食べていたから大丈夫ではないのだということは確認しておいた方がよいと思うのです。
Re: ケトン血性嘔吐症
にこ さん

 コメントを頂き有難うございます。

 ケトン血性嘔吐症については理解の足りない部分があったので教えて頂いて有難いです。
 
 腹部片頭痛という位置づけになってきているのですね。

> 一部の代謝異常のかたを除き、糖質制限をはじめたら具合が悪くなる人は、ゆっくりはじめたらいかがですか?やめるという選択肢もあると思います。それはどんな食事療法も同じですよね。
> あとは理論の裏付けがどれだけあるか。それが一番の判断材料になるはずです。いろいろな栄養素が足りなくてあるいは多くておこる病気はいっぱいあります。昔から食べていたから大丈夫ではないのだということは確認しておいた方がよいと思うのです。


 全く同意見です。

 ブログの情報をどのように利用するかは各人が考えるべきことです。

 その上で危険だと考える方は、やめればよいと思います。
No title
実際に糖質制限で片頭痛が悪化する人もひとりやふたりではないのに、「稀なケース」と断定し、
そういった人たちのことを無視して持論を押し通そうとするのは本物の医者ではありません。
ニセ医者か非科学論者、もしくはたんなる宗教家でしょう。
自分の主張を押し通して、被害を拡大するのは止めたらどうですか?
Re: No title
えか さん

 私が糖質制限を知って以降の2年以上の診療経験からは,糖質制限をして悪化したという人はやはり「稀なケース」です.

 また私が医学的見地から糖質制限の片頭痛への有効性について記載するのは言論の自由であり,決して誰かに押し付けているものではありません.

 もう一度述べますが,情報をどのように受け止めるかは各々が考えればよい事だと思います.
参考になれば・・・
いつもありがとうございます。
江部先生のブログに(2008年8月13日付)
糖質制限と頭痛のタイトルでコメントありました。
 えかさん、お辛いでしょうね。私もひどい頭痛で長年病んでおりました。言葉にできないくらい、辛いですよね。他人事とは思えずコメントしてしまいました。普段から抵糖質のお食事をされてるとのこと。糖新生がうまくいってないのではと勝手に憶測してしまいました。間違ってたらごめんなさい。ド素人が口をはさむのはよくないですよねぇ。すみません。でももしそれが原因なら頭痛改善の道はあると思います。
私自身、糖質制限の初期の時、空腹になると、めまいやいつも以上の頭痛で悩みました。低血糖状態かなと思い、そのような症状が表れたときは ものすごくしんどくなる前に散歩したり体を動かしました。すると調子よくなりました。どの方法が良いのかわかりませんし、人それぞれ合ったやり方というものがあります。言葉がたりなくて申し訳ないです。少しでもお役にたてたら幸いです。
Re: 参考になれば・・・
あーちゃん さん

 コメント頂き有難うございます.

 実体験された方のコメントが一番説得力があり,大変参考になります.
No title
>実際に糖質制限で片頭痛が悪化する人もひとりやふたりではないのに、「稀なケース」と断定し、
そういった人たちのことを無視して持論を押し通そうとするのは本物の医者ではありません

糖質制限を実際に片頭痛持ちの方に実施してもらい統計を取った医師にしか、稀であるか否かは判断できないと思います。
ですから、私はたがしゅう先生の言葉に信憑性があると思えるのです。


しかし、ケトン体質というのは血液検査をマメに行って出した結論なんでしょうか?
何を根拠にケトン体質なんでしょうか?

自分自身も気をつけないといけないなと思うのですがインターネットで情報を集める時にどうしても自分がそうであろうと思っている結論に結びついている言葉で検索をしてしまいがちです。
そうすると思った結論になるような情報しか集められないんです。
自分自身で考えて情報の精査をしないと、誰かが思いつきで書いた言葉に振り回され続ける事になります。

糖質制限が功を奏さない症例だって当然あるでしょう。でも、いままでの治療法で治らないなら新しいものを試すしかないのだと思います。
Re: No title
ヤシロ さん

 コメント頂き有難うございます.

> 自分自身も気をつけないといけないなと思うのですがインターネットで情報を集める時にどうしても自分がそうであろうと思っている結論に結びついている言葉で検索をしてしまいがちです。

 そうですね.確かにそういう心理はあるようです.

 私達も気を付けないと自分に都合のよい情報しか目を向けないという事になってしまいますので,反対派の意見や批判論文にも真摯に向き合っていく必要があると思います.

 そしてそれらを総合して,最終的に新しい治療法を選ぶかどうかを判断するのは他ならぬ自分自身,それでよいのだと思います.
古い記事にコメントしまして…
最近、片頭痛の事をテレビで見まして…

まず、以前ガッテンで片頭痛の予防薬で楽になったと言ってました。
調べたら、薬はカルシウム拮抗薬、β遮断薬、抗てんかん薬、抗鬱薬などでした。

そして、先日仰天ニュースで
一時間程の簡単な心臓の手術で劇的に改善されたとのことでした。
見なかったので、後でネットで知りました。
手術とは、卵円孔を塞ぐものです。
心房中隔にある小さな孔は、出生後間もなく閉じるべきところ、閉じなかったひとが20パーセントほどいるそうです。
静脈血に多いセロトニンが卵円孔を通じて動脈から脳に達して片頭痛が起きるのではないか?
それを塞いだから治ったのではないかとのことです。
その見解は、推測なのかもしれませんが…

薬はなるべく飲みたくないですから
片頭痛の人には朗報だと思います。

片頭痛と精神疾患を併存している人も多々いるらしいです。

もしかして、精神疾患の人がたまたまこの手術を受けたら、精神症状が劇的に改善する可能性があるのではないかと思いました。

片頭痛は、手強いです。
そして、精神疾患も手強いです。
Re: 古い記事にコメントしまして…
Pinoco さん

 コメント頂き有難うございます。

 確かに前兆のある片頭痛に卵円孔開存が関わっているとする報告はありますが、絶対的なものではなく、卵円孔開存がなくても片頭痛をきたす方は大勢いらっしゃいます。

 確かに卵円孔開存がある人は閉鎖術が治療の一つの選択肢となりうるとは思いますが、片頭痛の基本病態は脳血管収縮→拡張をきたしてしまう何かであり、食事の要素がもたらす影響は大きいと私は考えています。

 2015年3月3日(火)の本ブログ記事
 「共通点と相違点から病態を考える」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-592.html
 も御参照下さい。

 また片頭痛には共存症がある事も多く、その中には精神疾患もあります。血糖値の乱高下が精神状態に影響を与える事を考えますも、片頭痛にも精神疾患にも食事による共通因子があるという考えにも合点が行きます。
 
 ちなみに精神疾患以外にも気管支喘息や心疾患も片頭痛に共存する事が知られています。

 2014年3月29日(土)の本ブログ記事
 「片頭痛と気管支喘息の関連性」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-225.html
 も御参照下さい。
 
ご丁寧にありがとうございます
ちょっと私の言っていることは

風が吹けば桶屋が儲かる的なところがあるのでしょうね。

まあ、何と言いましょうか?

溺れるもの藁をも掴む。