受容と保留

2018/06/27 00:00:01 | ふと思った事 | コメント:0件

前に不安のスパイラルから抜け出すには保留力が重要という話をしましたが、

ひとつ、保留のように見えて実は保留ではないという行動に注意しておく必要があります。

ある医師アンケートで糖質制限に対して賛成でも反対でもないと答えている人が過半数近くいるとの話を聞いたことがありますが、

この「賛成でも反対でもない」というスタンスは「保留」にしている状況と言えるでしょうか。

言える場合もあると思いますが、内情をよく見ると実質保留ではなく、それは「非受容」であると思える場合があります。

例えば少数派の医師で、糖質制限を推奨しているのを止めはしないが、自分は関わり合いになろうとしない姿勢の医師は、

それは保留にしていると言えばしていますが、受容していないという要素の方が強いような気がします。 新しいものと接した時、私達の行動は受容軸と保留軸の二軸を使って、

2×2の4通りのパターンがありうると私は考えます。

①受容-非保留パターン
 :新しいことを受け入れて、それは真実だと自分の中で理解できている
②受容-保留パターン
 :新しいことを受け入れるが、それが本当かどうか見極めている
③非受容-保留パターン
 :新しいことは受け入れられないが、拒否すべき対象かどうかは迷っている
④非受容-非保留パターン
 :新しいことを受け入れられないし、拒否すべき対象だと自分の中で決定している


冒頭で述べた糖質制限に対して賛成でも反対でもない積極的ではない医師は③のパターンになると思います。

しかし、本当に保留力を発揮させるのであれば、③よりも②のスタンスへ移行するのがよいと私は思います。

つまり、糖質制限に対して賛成か反対かは現時点では判断できないけれど、

それを見極めるために糖質制限に関する情報を集めたり、勉強会に参加してみたりするというスタンスです。

そうすれば、その方が思考停止に陥ることなく、他人の言動に惑わされることなく、自分の中での世界を新たに広げていく可能性が高まるのではないでしょうか。

ちなみに私の現時点でのホメオパシーに対してのスタンスが②となります。

すでに何度かホメオパシーについて学ぶ勉強会へと参加して、自分の頭で考える作業を繰り返してきており、

この医学が世間で言われているようなインチキ医学のイメージとは程遠い、しっかりとした基盤を持った治療体系であることがまずわかりましたし、

紹介される症例でも単なるプラセボ効果として片づけることのできない劇的な効き方をするものも少なくありません。

ただ私は基本的に自分の目で確認しないと気が済まないタチです。

自分の治療技術を高め、レメディと呼ばれる薬を上手に選択できるようになって、

希望のある患者さんに試して効果を得てはじめて、私のスタンスは②から①へと移行することとなります。

そして、言うまでもないことですが、糖質制限に対する私のスタンスは①です。

対して、糖質制限を実践することなく、旧来の常識に従って糖質制限を批判し続ける人達が④ということになります。


せっかく保留力を発揮しようにも③のスタンスでは、

それが世の中の常識とならない限り、その人がその新しさを受け入れることは決してないでしょう。

言い換えれば、悪い意味での保留、すなわち「思考停止」へとつながってしまうのではないかと私は思います。

またそれが常識化するまでにものすごく時間がかかる可能性もあり、

③の非受容-保留パターンだと、自分が生きている間に新しさの恩恵を受けられずに、そのまま人生を終えてしまうこともやむなしです。

新しさの介在しない現状に満足している人は③でもよいかもしれませんが、

そうではないのであれば②のスタンスをとるべきです。

②の受容-保留パターンとなってはじめて自らの「保留力」が光り、

新たな道を切り開く礎となるのではないかと私は思います。



たがしゅう
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