すべての症状を過剰適応か消耗疲弊かで考える

2018/06/25 00:00:01 | 素朴な疑問 | コメント:0件

基本的に下痢は過剰適応、便秘は消耗疲弊、という考え方を述べましたが、

この考え方に基づくと、すべての症状は過剰適応か消耗疲弊のどちらかに分類できるのではないかという考えに至るようになってきました。

例えば風邪を引いた際に認められる発熱や鼻汁、咽頭痛、咳・痰などの典型的な風邪症状は、

発熱は熱産生システムの亢進による過剰適応、鼻汁は粘液分泌システムの亢進による過剰適応、

咽頭痛は咽頭部における炎症反応の亢進による過剰適応、咳・痰は軌道の異物排泄システムの亢進による過剰適応、

というように一連の症状は過剰適応病態として起こっているという事がわかります。 一般的な風邪であれば多くの場合可逆的な過剰適応反応ということになりますが、

たまにいわゆる風邪をこじらせた場合には、咳が長引いたり、身体のダルさがとれなかったりする事があると思います。

この場合の咳のこじらせは咳という過剰適応反応から、倦怠感というエネルギー産生系低下による消耗疲弊病態へと移行しつつある様子がみてとれます。

このような調子で一般的によく見られる症状が過剰適応なのか、消耗疲弊なのかという目線でざっと考えてみようと思います。


急性痛→侵害・炎症に対する防御反応→過剰適応
慢性痛→侵害・炎症がなくとも疼痛系の亢進→過剰適応(より重度)
悪心・嘔吐→異物排出反応の亢進→過剰適応
食欲不振→食欲増進システムの機能低下→消耗疲弊
胸やけ→胃酸分泌亢進・胃蠕動不良→(どちらかと言えば)過剰適応
口渇→水代謝・水分排出システムの亢進→過剰適応
嚥下困難→嚥下反射の低下→消耗疲弊
出血→造血機能の亢進→過剰適応
 出血が進行すると→造血機能の低下→消耗疲弊
リンパ節腫大→リンパ節における炎症反応の亢進→過剰適応
肥満→消化吸収機能の亢進→過剰適応
やせ→消化吸収機能の低下→消耗疲弊
息切れ→呼吸機能の低下→消耗疲弊
動悸→自律神経機能の亢進→過剰適応
頻尿→膀胱機能の亢進→過剰適応
意識障害→覚醒システムの低下→消耗疲弊
チアノーゼ→酸素運搬システムの低下→消耗疲弊
胸水・腹水→循環血漿保持能の低下→消耗疲弊
しびれ→感覚機能の亢進→過剰適応
しびれ→感覚機能の低下→消耗疲弊
めまい→内リンパ液産生亢進→過剰適応
めまい→耳石の迷入による感覚器の強制的適応反応誘導→過剰適応
めまい→脳循環血液量の一過性低下→可逆的な消耗疲弊
めまい→平衡感覚を司る領域の機能低下(小脳梗塞など)→(不可逆的な)消耗疲弊
不随意運動→脳の運動調整領域の機能低下→消耗疲弊
不随意運動→脳の運動調整領域への薬剤による過剰刺激→過剰適応
痙攣→錐体路経路の機能亢進→過剰適応
筋萎縮→筋量増加システムの機能低下→消耗疲弊
・・・


他にもまだまだあるかもしれませんが、

このように様々な症状が過剰適応病態か、消耗疲弊病態かで分類できる可能性が見えてきました。

そして患者さんの訴える症状をそれぞれどちらかに分類し、その割合をみることによって、

今その患者さんがどのような病期のステージにいるかという事が見えてくるように思います。


セリエのストレス学説になぞらえれば、

①可逆的な消耗疲弊→②可逆的な過剰適応→③不可逆的な消耗疲弊→④死亡の順で病気は進行すると考えられますので、

病期の進行度がわかれば、どの程度ストレスマネジメントを加えなければならないのかの具合がわかります。

また個人的には西洋薬で対処できる段階は①、②が関の山だと思っており、

③不可逆的な消耗疲弊が主病態の認知症やパーキンソン病、ALSにおいては、

西洋医学主体の現代医療で基本的に打つ手なしとされているのはそのためだと私は考えています。

一方で漢方や鍼灸であれば、一部③へもアプローチできることができ、

最近ではホメオパシーにも、③までアプローチできる可能性を見出しつつあります。

まだまだ底の浅い、抜けのある理論かもしれませんが、

もう少し突き詰めてこの考え方を深めていきたいと思っています。


たがしゅう
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