私がどうしたいかを示す
2018/06/13 00:00:01 |
主体的医療 |
コメント:4件
自宅のトイレには私の好きな相田みつを先生の日めくりカレンダーを置いています。
トイレ中の短い時間で読むにはちょうど良い分量という事もあって、誤解を恐れずに言えば、トイレと相田みつを先生の詩はとても相性が良いように感じています。
とは言え、私は日めくりカレンダーを日めくりとして利用しておらず、気が向いた時にページをめくるという気まぐれな使い方をしているのですが、
今日たまたま見た相田みつを先生の詩は、詩の言葉とともにその言葉の英語訳が記されているというものでした。
「自己顕示 自己嫌悪 わたしのこころのうらおもて みつを」
という詩だったのですが、その言葉の英語訳は次の通りでした。
"self assertion
self hatred
both sides of my heart"
ここに「assertion(アサーション)」という言葉が出てきましたが、
実は私にとってはなじみのある言葉でして、以前「アサーティブな会話とは」というタイトルで、
自分の意見を主張をしつつも、なおかつ他人と軋轢を生まないようにするための会話のテクニックについて紹介した覚えがあります。
アサーティブの名詞形が「アサーション」となるわけですが、
この英語、日常生活の中であまり耳にする事がないためか、その日本語訳についてはあまり意識したことがありませんでした。
辞書でアサーションを調べてみても、「断言、断定、主張」という言葉は出てくるものの、
先ほど述べた会話技術としてのアサーションのイメージにあまりつながらないのでなかなか覚えられずにいました。
しかし今回、思わぬ形で再び出くわしたアサーションの日本語訳は「顕示」、すなわち「はっきりと示すこと」です。
何をはっきりと示すかと言えば、自分がどうしたいか、どう生きたいかという自分の身体の内側からの声であると捉えれば、
これは私が考える「主体的医療」の核心部分に位置する言葉であるように思います。
一方でこの自己顕示が自己嫌悪と表裏一体だと指摘する相田みつを先生の御言葉は、
「嫌われる勇気」を持ちなさい、嫌われたとしても自己をはっきりと主張しなさい、
たとえどんな結果になったとしても私が私であるためにそれらは必然なのだ、と言われているかの如く私には感じられます。
そう言えば話は急に飛びますが、以前取り上げた「和牛」という漫才コンビのお二方のネタで、
結婚式を抜け出して実は想いを寄せていた別の男性に告白するという美談として語られがちな行動をとった女性に対して、
それは結婚式の相手にも、このタイミングで告白された自分にも、どちらに対しても身勝手でわがままな行動だという正論中の正論をぐうの音も出ないほどその女性に対して主張し続けるというネタがあるのですが、
さんざん男性の正論を浴びた後、女性役の川西さんが「じゃあ、私どうしたらいいの!?」と怒って言う場面があるのですが、
それに対して言う男性役の水田さんのセリフが「そういうとこやで。どうしたらいいの?じゃなくて、どうしたいの?」というのがあります。
ここが漫才の爆笑ポイントの一つで、興味のある方は「和牛 漫才 結婚式を抜け出す」あたりで検索して動画を観て頂けたらと思いますが、
私はこのセリフを聞いて笑うというより妙に感心してしまいました。
医療においても多くの患者さんは「どうしたらいいの?」で動いていて、「どうしたいの?」で動いている人はほとんどいないのではないでしょうか。
そして「どうしたいの?」で動くのが私の目指す「主体的医療」の根本です。
過去からの考察がつながり、また一つ思考の樹が大きく育ったような感覚を得ました。
きっかけはトイレにつるした相田みつを先生の詩でした。
何がきっかけになるか人生わからないものです。
たがしゅう
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プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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自分がどうしたいかを示していないのは水田さんのほう。
私は和牛さんの漫才では花嫁の目線で見ました。
私が笑えるのは、最後のオチで、
花嫁 「こわい、こわい、こわい」
水田さん 「....じゃあ、結婚しよう」
花嫁 「するか!(怒)」
のところです。
(お笑いを論評するのは無粋ですが、好きなので、私解釈)
花嫁は、自分がどうしたいかを十分伝えていて、
それを伝えていないのは水田さんのほうです。
花嫁が、「じゃあ私、どうしたらいいの!?」の意訳は、「あなたは私にどうしてもらいたいと思ったの。あなたの意志を伝えて。」
そう言われても水田さんは答えない。
理詰めで評論家のように、さんざん花嫁へのダメ出しを続けるだけ。
最後に水田さんは花嫁を一番に好きだと言うのだけれども、
それでは、今まで、好きな女性が他の男性に持っていかれそうになっても自分からは何も行動しなかったの。
勇気を出して気持ちを伝えてくれた花嫁にはダメ出しするばかり。
「そんな男、こっちから、いらんわ!」=百年の恋も冷める花嫁の心の声。
勇気を出したのに、相手はタルイ男だった。トホホ。/そこがおかしいのです。
自分がどうしたいかは、お互いに伝えなきゃいけませんね。
Re: 自分がどうしたいかを示していないのは水田さんのほう。
コメント頂き有難うございます。
> 花嫁は、自分がどうしたいかを十分伝えていて、
> それを伝えていないのは水田さんのほうです。
なるほど。目から鱗です。
指摘している本人が実は「どうしたいか」を伝えていないとは皮肉な話であり、哲学的とも思います。
> 自分がどうしたいかは、お互いに伝えなきゃいけませんね。
本当にその通りだなと思いました。
それにしても笑いは深いです。
この漫才のネタは現実で想像したらただの喧嘩になるだけのやりとりなのに、
漫才で披露されると不思議と笑いの種となる。誇張しているのが面白いのか、本質をついているのが面白いのか。
しかも同じように笑っているように見えて、男性と女性とでは着眼点が違っているという。
考えれば考えるほど、笑える面白さって何なのかと、また考えてしまいます。
No title
「和牛 漫才 結婚式を抜け出す」
あたりで検索して、動画を観てみました。
大笑いの機会をありがとうございます。
面白かったです。
想定外の受け答えって、
単純に面白くて好きです。
ずいぶん昔、さんまさんの番組で、
「ご長寿クイズ」というコーナーがありました。
簡単なクイズに、ご長寿が答えるものです。
たくさんの珍回答に大笑いました。
<司会者>
時代劇でお馴染みの、「遠山の金さん」
金さんの肩にある、入れ墨の模様は何でしょう?
<ご長寿>
無地!
ご長寿あっぱれです。
想定外、バンザイです。
ブログの内容から、
少し横道にそれたコメントになりました・・・
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
御長寿クイズ、知っています。
確かに私も以前家族だんらんの時間に観ていて楽しんでいた事を思い出します。
ほんわかした雰囲気の中、思いがけず想定外の答えを連発される解答者の皆さんの姿に癒されていました。
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