限られた時期の運動は人為的であってよい
2018/06/07 00:00:01 |
読者の方からの御投稿 |
コメント:3件
私は運動をするなとは言いません。
運動はしてもいいし、しなくてもいいものだと思っています。
こう言ってしまうと、0か100かの二元論に聞こえるかもしれませんが、
動物として生きている限り、運動していないと言いながらも、何かしらの運動をしています。
その量が人と比較して多いか少ないかという問題であって、「運動をしてもしなくてもいい」という考えは、
「糖質制限をあまり厳格化しない」という発想と似ていて、本人の心地よさを重視するという考えに通じます。
そうした考えの中で運動習慣のない人が運動が好きでないのに無理矢理に運動習慣を作る必要はないという意見を述べたわけですが、
かならずしもそうとは限らないと考えさせられる御意見をブログ読者のkazukou1508 さんから頂きました。 生まれつき身体の弱い子が自らの生きる力を高めるために、
決して心地よいと思えずとも、運動を習慣づけることによって、その後明らかな恩恵を受けているので、
きついと感じる運動を行うべき場面もあるという御意見です。
確かにこの例においてはその通りだと思いました。一方で私の考えたことはどこが間違っていたのだろうと思い直してみた所、
そこには「成長」という条件を考慮していなかった事に気付きました。
即ちひとしきり成長し終えた大人においては、代謝が完成しているので、
一定の運動条件の生活によってもたらされる身体活動はある程度の幅を持って定まっているのであって、
運動の恩恵を受けようと思えば、生活そのものを変えない限り単なる付け焼刃的な行為でしかなく、
場合によっては運動そのものがストレス源となる可能性だってあるという理論は成立するのではないかと思いましたが、
今この時期に積極的に行うことで、後からは取り返しがつかないくらいの運動による恩恵を受けることができる「成長期」における運動は、
成人になるまでの運動条件を形づくるための、言わばボーナスステージのような時期であるので、
この時期には多少のリスクを負ってでも、たとえつらいと感じていたとしても、自分にとって高強度の運動を行う意義はあるように思います。
なぜならばこの時期を逃すと、後で同じ運動量を加えても同じ恩恵が受けられなくなるからです。
同じことは外傷にも当てはまりそうです。
例えば骨折をした後に、一時は安静にすることで筋肉が廃用性萎縮を起こします。
廃用性萎縮というのは筋肉などを何らかの理由で使用しない時間が続くことで、時間とともに機能が低下しひいては不可逆的な機能不全に陥っていくプロセスのことです。
そのような状況でもしもつらいからと言って心地よい運動しかしなくなれば、
時期を逃すと安静によって低下した筋力が元に戻らなくなってしまうために、もともとの運動条件が下がってしまいます。
それを防ぐために多少つらいと感じたとしても、今この時期を逃さずに高強度の運動負荷を加えることで、廃用性萎縮による損失を回避することができます。
両者に共通するのは「特定の期間しか恩恵を受けられない時期の運動」という点です。
そういう状況において人為的な運動負荷を加える価値はおおいにあると思います。なぜならば今しかないからです。
逆に言えば、そうした時間的制約のない運動に関しては心地よさ重視で考えられるべきではないでしょうか。
特に健康的でありたい場合はそうだと私は考えます。
ちなみにスポーツで勝ちたいとか、異性にもてたいとか、
そういう目的での運動はまた別の問題と思います。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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ケトン体ダイエット
Re: ケトン体ダイエット
御質問頂き有難うございます。
身長175cmの方の標準体重は計算上67.4kgくらいです。
じわじわ増え始めたとしてもその近辺の数値なのであればむしろ理想化の道をたどっていると思いますし、
運動習慣に伴って必要な筋量増加の結果起こっている体重増加かもしれません。
体調が悪くないのならあまり気にされなくてよいように思います。
私や森美智代さんとはおそらくパターンが違うのではないかと思います。
私は増え切った脂肪細胞の数分の体積以下には減らないし、消化管からの栄養の吸収効率が異様に高まっているパターンですし、
森美智代さんの場合は夏井睦先生の書籍「炭水化物は人類を滅ぼす」からの仮説になりますが、断食後の菜食を繰り返した事で腸内細菌叢が草食動物のものに適応変化を起こし、少量の青汁だけを材料に腸内細菌が短鎖脂肪酸などのエネルギー源を十分量作り出すことができるというパターンだと思います。
ケトン体
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