主体的医療を行うためにすべきこと
2018/05/27 00:00:01 |
読者の方からの御投稿 |
コメント:6件
ブログ読者のEtsuko さんから頂いたコメントを参考にして、
主体性の具合で患者を以下の4グループに分ける発想について思考を深めたいと思います。
・Aグループ(主体性8~10割、受動性0~2割):患者が治療法を提案し、医師と相談しながら治療法を決定する「患者主導・医師パートナータイプ」
・Bグループ(主体性5~7割、受動性3~5割):医師が複数の治療法を説明し、患者と相談しながら治療法を決定する「医師主導・患者パートナータイプ」
・Cグループ(主体性3~5割、受動性5~7割):医師が治療法を決定し、患者に説明し同意を得る「医師主導・説明同意ありタイプ」
・Dグループ(主体性0~2割、受動性8~10割):医師が患者にとって最良だと考える治療法を、説明や同意を経ずに決定する「医師主導・説明同意なしタイプ」
こうして整理すると目指すべき主体的医療と現在の医療との関係性がよくわかるように思います。 例えば、ひと昔前の医師の権力が絶対的だった時代の医療に対して、世の中の患者さんのほとんどはDグループに属していたのだろうと察することができますし、
インフォームドコンセントだの患者の権利が主張されるようになった現在の医療においても、患者はCグループに属している人が多いのであろうと思います。
なぜDグループとかCグループに患者の大半が属するのかと言えば、医療を提供する病院やクリニックがCグループやDグループの医療を推進する派であるからです。
何も考えずに既存の医療に従うだけの人は、医療機関が提供する側のスタイルで医療を受けることになります。
そういう意味では今も昔も何も変わっていません。患者側の受動性が高いが故にそれで成立してしまっているのです。
それで皆が健康になっているのかと言われれば、そうではないことは当ブログの読者の皆様であればおわかりだと思います。
今でも良心的な病院やクリニックであれば、従来の西洋薬中心医療以外にも糖質制限指導や漢方薬治療、あるいはもっと様々な種類の代替医療を提供してくれている所もあります。これはBグループの医療だと思います。
しかしこれとてまだ医師主導の医療です。主導権が患者にない限り、所詮は「変わったことをやってくれるクリニック」どまりであり、
様々な治療法を患者自身が知り、患者自身がどれを選ぶか考える主体性を持つことで、初めてAグループの医療に昇華させることができるわけです。
誤解を恐れずに言えば、今現在の医療体制でも患者自身が強い主体性を持てば、主体的医療の実現は可能だと思います。
しかしそれを行うにはあまりにも世の中の体制がCグループやDグループの医療を提供する所ばかりで、Aグループの医療を希望する患者さんは肩身の狭い思いをしてしまうことになります。
その不具合を解消するために、ネットをうまく利用するという事が必要不可欠になってくると私は思います。
そして私達医療者はAグループの医療を提供できるようにするために体制を整えるべきです。
従来のように西洋医学一辺倒で、効果も上がっていないのに、「治らなくて当たり前」という考えにあぐらをかくのではなく、
患者さんがどんな治療を選択したとしても対応できるように幅広く知識を備える努力をし続けるべきです。
勿論一人の人間がすべての医療の知識を一度切りの人生で習得することなど不可能なことです。だからこそ様々な医療者が広大なネット空間に向けて自分が提供することができる医療を明示し、
患者はその中っから自分に適合する医療を主体的に選択し、その中でマッチングした患者と医療者との間で医療を展開することができるようになれば、
きっと双方にとって満足度の高い、きっと今よりも良い医療が展開できるようになるのではないかと私は考える次第です。
たがしゅう
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プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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患者の権利と義務
"特定医療法人茜会 昭和病院"のホームページに
『患者の権利と義務について』とあり(私的には"患者さん"ではなく"患者"と
しているのに何故か好感が持てました。)、
( https://www.akanekai-showa.com/showa-hospital/rights-and-obligations/ )
そこには『患者の権利』として
『患者は、自分の病気についてわかりやすい言葉で十分な説明を受けた後で、
自らの意思で検査や治療方法を決定できます。』とあり、
また『患者の義務』として
『患者には、病気や医療を十分理解するように努力する義務があります。』
『患者には、正確な情報を提供するとともに、医療スタッフと円滑にコミ
ュニケーションをとり、明確な意思表示を行い、診療行為に参加する義
務があります。』とありました。
これは"Bグループ"に分類されるのかな?と思いました。
それにしても、患者の権利を標榜している医療機関は数多あれど、
患者の義務を明確に標榜しているのは珍しいのでは?と思いました。
No title
私のコメントを取り上げて頂き、恐縮です。
>患者自身が強い主体性を持てば
患者が「考える力」を持つ。重要ですね。
これだけ多くの情報を得られる世の中だからこそ、
私達患者も「知らない。よろしく。お願い。」は、
避け、自分で考えたいものです。
しかし、近い(?)、遠い(?)、将来、
「考える」必要が減るのではという思いもあります。
いずれAIが、医療分野はもちろん、
日常生活に密着するのは必至です。
人工知能(AI)に頼る方が、楽だし、正確。
治療法は、AIに委ねる方が良いのか・・・
現実にそんな時代が来たら、
「考える」を放棄し、楽な方へ流されそうな気もします。
Re: 患者の権利と義務
コメント頂き有難うございます。
御指摘のように、こちらの病院に通えばBグループの医療が実践出来そうです。
しかし医療機関側の努力で提供できるのはここまでです。
Aグループの医療へ押し上げるためには患者自身が意識を変えることが必要不可欠となっていきます。
即ち患者は医療機関が与えた選択肢の中から治療を考えるのではなく、広大な情報の海の中から自分に最適と思われる治療方法を、自分の頭で考えて選択するということです。
それに伴い、医療機関側に求められる態度は、西洋医学に限らずあらゆる医療情報を集め、全てを扱えるかどうかは別として、少なくともそれらの治療に対して理路整然とした自分なりの見解を持つよう努力することです。間違ってもエビデンスがないからという理由で患者の希望を踏みにじることのないように、柔軟な対応で患者と議論できるようになる必要があると思います。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
Etsuko さんのコメントのおかげで、思考を深めることができました。深謝申し上げます。
> 人工知能(AI)に頼る方が、楽だし、正確。
> 治療法は、AIに委ねる方が良いのか・・
残念ながらAIになったところで、受動的な治療には変わりないので、
構造上はCグループ、Dグループの医療のままです。いくらAIが優れていても、限られた情報の中で健康へ導くことは難しいですし、ましてや西洋医学ベースだと真の意味での健康は決してなし得ないと私は思います。
Re: Re: 患者の権利と義務
広大な情報の海を航海するには、出逢った情報を科学的に考え取捨するのが羅針盤になるのかな?と思いながらネットを見ていたら、下記のサイトにぶち当たりました。
『「科学的」であることは万能ではない』
( http://www.sci.kyoto-u.ac.jp/ja/academics/programs/scicom/2015/201602/01.html )
で、科学には限界がありますし、個人の思考にも限界があるので、結局はいろんな人達の意見や主張に耳を傾けながら、科学や思考の陥穽を地道に埋め合せてゆく作業が必要になるということではないかと思いました。
Re: Re: Re: 患者の権利と義務
コメント頂き有難うございます。
> 科学には限界がありますし、個人の思考にも限界があるので、結局はいろんな人達の意見や主張に耳を傾けながら、科学や思考の陥穽を地道に埋め合せてゆく作業が必要になるということではないかと思いました。
同意見です。
科学だけを羅針盤にすると思考は偏ります。
さりとて個人の考えだけでは迷いは不可避です。
科学を頼りにしつつも、科学では見えないことをも意識することがとても大切だと私は感じています。
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