尿酸を上げる薬がない理由
2018/05/24 00:00:01 |
素朴な疑問 |
コメント:2件
尿酸が高いと痛風になりやすいとまことしやかに言われ、
そういう状況の時には大抵の場合、通常の医療では尿酸を下げる薬が処方される事と思います。
しかし尿酸が高いこと自体はあくまでも痛風発作の必要条件であり、十分条件ではないというのが私の考えだという事は以前も述べました。
そんな中ふと思ったのですが、尿酸を下げる薬はあれど、尿酸を上げる薬はありません。
そう言えばコレステロールを下げる薬はあれど、コレステロールを上げる薬もありません。
一方で血糖値を下げる薬はあって、血糖値を上げる薬は・・・あります。薬剤性高血糖を起こすとされる薬がそれに該当します。
しかしそれらは直接血糖値を上げているというより、間接的に上げているという方が適切ではないかと思います。 この構造の違いから何かを学べないでしょうか。
そもそも尿酸を下げる薬も、コレステロールを下げる薬も、
生体の持つ尿酸を上げるという機構、コレステロールを上げるという機構をブロックする事によってその役割をはたしています。
このことは、生体としてはもともと尿酸やコレステロールを上げるというシステムが必要としているということを示していると思います。
これに対して血糖値を下げる薬は、血糖値を上げるシステムのブロックではなく、
もともと備わっている血糖値を下げる仕組み、もっと言えば結果的に血糖値を下げさせる栄養素を取り込むという仕組みをそのまま利用したり、
システムをそのものを強引に刺激するような方法でその役割を果たしています。
また逆に血糖値を間接的に上げる薬の数々は、もともとの血糖値を上げるシステムを過剰駆動させたり、結果的に血糖値を下げるインスリンのシステムをブロックしてしまう事によって血糖値を上げています。
つまり、いずれの薬においても、もともと生体が備えているシステムを利用するという点では共通しているのです。
ということを踏まえますと、尿酸を上げる薬やコレステロールを上げる薬がない理由として二つのことが考えられます。
一つはブロックすべき尿酸を下げる、コレステロールを下げる生体システムが存在しないということ、
もう一つは尿酸やコレステロールは低いことが望ましいというのが常識だから、誰も尿酸やコレステロールを上げる薬を開発しないということです。
しかし低尿酸血症や低コレステロール血症は度を超えると、運動後腎障害を起こしたり免疫力低下をきたしたりするデメリットも医学的に明らかになってきているので、
開発する人がいない説は無理があるように思います。きっと開発しようにも対象となるシステムがないから難しいのではないでしょうか。
ただ個人的には尿酸、コレステロールを上げる方法は知っています。それは絶食です。
私が3日間、5日間、8日間の断食に挑戦した時にはいずれも例外なく尿酸、コレステロール、ついでにケトン体が上昇しました。
これが誰にでも再現されるのかどうかはやってみなければわかりません。
しかし少なくとも生体内には尿酸、コレステロールを上げるシステムがしっかりと備わっているという事は確かだと思います。
遺伝子による先天性疾患は別として低尿酸、低コレステロールを解消したいならこれら自然に備わったシステムを利用するのが先決だと思いますし、
逆に言えば尿酸やコレステロールが高すぎて起こる問題の本質は、それらの数値そのものではなく、システムのオーバーヒートにあると私は考えます。
そしてもしかしたらそのオーバーヒートの原因を放置し続けることによって、
不可逆的なシャットダウンに移行して尿酸やコレステロールが絶食にも反応しない低値となってしまっているのだとすれば、
尿酸を上げる薬を開発することよりも大事な問題の本質が見えてくるはずです。
すなわち、何がシステムのオーバーヒートを引き起こしているのかということ、です。
私はその2大要因が糖質頻回過剰摂取とストレスだと考えています。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
- 2023/06 (2)
- 2023/05 (5)
- 2023/04 (7)
- 2023/03 (7)
- 2023/02 (5)
- 2023/01 (7)
- 2022/12 (5)
- 2022/11 (4)
- 2022/10 (11)
- 2022/09 (6)
- 2022/08 (6)
- 2022/07 (5)
- 2022/06 (6)
- 2022/05 (4)
- 2022/04 (5)
- 2022/03 (5)
- 2022/02 (4)
- 2022/01 (7)
- 2021/12 (14)
- 2021/11 (4)
- 2021/10 (10)
- 2021/09 (10)
- 2021/08 (8)
- 2021/07 (14)
- 2021/06 (11)
- 2021/05 (17)
- 2021/04 (9)
- 2021/03 (8)
- 2021/02 (9)
- 2021/01 (14)
- 2020/12 (9)
- 2020/11 (7)
- 2020/10 (6)
- 2020/09 (9)
- 2020/08 (11)
- 2020/07 (20)
- 2020/06 (22)
- 2020/05 (18)
- 2020/04 (22)
- 2020/03 (10)
- 2020/02 (7)
- 2020/01 (5)
- 2019/12 (9)
- 2019/11 (19)
- 2019/10 (31)
- 2019/09 (6)
- 2019/08 (7)
- 2019/07 (7)
- 2019/06 (13)
- 2019/05 (21)
- 2019/04 (9)
- 2019/03 (13)
- 2019/02 (15)
- 2019/01 (28)
- 2018/12 (9)
- 2018/11 (2)
- 2018/10 (11)
- 2018/09 (30)
- 2018/08 (31)
- 2018/07 (31)
- 2018/06 (31)
- 2018/05 (31)
- 2018/04 (30)
- 2018/03 (31)
- 2018/02 (29)
- 2018/01 (31)
- 2017/12 (31)
- 2017/11 (30)
- 2017/10 (32)
- 2017/09 (31)
- 2017/08 (31)
- 2017/07 (32)
- 2017/06 (31)
- 2017/05 (31)
- 2017/04 (31)
- 2017/03 (31)
- 2017/02 (29)
- 2017/01 (32)
- 2016/12 (31)
- 2016/11 (30)
- 2016/10 (31)
- 2016/09 (15)
- 2016/08 (11)
- 2016/07 (5)
- 2016/06 (10)
- 2016/05 (8)
- 2016/04 (5)
- 2016/03 (5)
- 2016/02 (10)
- 2016/01 (10)
- 2015/12 (7)
- 2015/11 (8)
- 2015/10 (7)
- 2015/09 (6)
- 2015/08 (6)
- 2015/07 (5)
- 2015/06 (5)
- 2015/05 (5)
- 2015/04 (3)
- 2015/03 (10)
- 2015/02 (28)
- 2015/01 (31)
- 2014/12 (31)
- 2014/11 (31)
- 2014/10 (31)
- 2014/09 (29)
- 2014/08 (53)
- 2014/07 (31)
- 2014/06 (30)
- 2014/05 (31)
- 2014/04 (30)
- 2014/03 (31)
- 2014/02 (28)
- 2014/01 (31)
- 2013/12 (32)
- 2013/11 (30)
- 2013/10 (33)
- 2013/09 (39)
カテゴリ
メールフォーム
スポンサードリンク
検索フォーム
ステップメール
リンク
QRコード

コメント
No title
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
副作用として尿酸値を上げる薬は確かにありますね。
利尿薬は溶媒を減らすことでの濃度上昇、ミゾリビンは腎障害をきたし尿酸の排泄を遅延させることで、いずれも結果的に尿酸値を上昇させます。
しかし主作用として尿酸値を上げるように作用する薬はまだ無いのではないかと思います。
コメントの投稿