たがしゅうの75g果糖負荷試験
2018/04/21 00:00:01 |
人体実験 |
コメント:6件
崎谷先生の書籍「砂糖は糖尿病を治す」という書籍の中で、
果糖摂取のメリットが再三にわたって述べられていました。
「糖の完全燃焼」という独自の概念の現象を成し遂げるのに良いというのがメインの理由であるようです。
理論的には突っ込み所が満載ですが、小難しい事を書き連ねるよりも百聞は一見に如かずということで、
私たがしゅう、果糖負荷試験なるものを敢行してみました。 「砂糖が糖尿病を治す」を意識して、砂糖で実験してみようかとも思いましたが、
砂糖の主成分「スクロース」=「グルコース(ブドウ糖)」+「フルクトース(果糖)」です。
グルコースの影響はすでに検証済なので、今回は純粋な果糖の影響を観察してみようということで、
ネットショッピングで果糖だけのものを取り寄せて実験してみることにしました。

果糖の量は75gブドウ糖試験に準じて75gとしました。
9時前に採血して9時に75gに測った果糖を水に溶かして一気飲みしました。
その後は、30分後、60分後、120分後、180分後、240分後、300分後、360分後にそれぞれ採血し、食前と併せて計8回採血を行いました。
ブドウ糖負荷試験と比較するためにていつもの血糖、インスリン、C-ペプチド、ケトン体、グルカゴンの5項目に加えて、
果糖は中性脂肪の合成に関わるという事が言われているので、中性脂肪も併せて確認することにしました。
ところが実験開始直後に「あっ!」と思ってしまったのですが、
崎谷先生の本に果糖の糖がストレスを和らげるという内容が書かれていましたので、
急遽コルチゾールも追加で測定することにして、今回は合計7項目を見ることにしました。
しかし気付いたのが9時過ぎだったので、食前のコルチゾール値は採取できませんでしたが、それ以降30分後からの採血ではコルチゾール値も加えて実験を行う事にしました。
ちなみに前日夜の私の食事は豚ロース肉のステーキを3枚、豆腐(木綿1丁)にふりかけ少々、醤油少々、それにレタス1玉でした。
実験してみての感想ですが、ブドウ糖負荷試験の時もたいがい甘かったですが、
果糖一気飲みした時はより甘く感じ、思わず「めっちゃ甘っ!!」と声が漏れるほどでした。
そして飲んだ直後から胸がほてるような違和感を自覚しました。9時50分になってもその胸部不快感は持続し、
10時10分にトイレに行き比較的通常の便を排出し、10時30分にようやく胸がか~っとなる感覚は治まりました。
しかし10時50分にもう一度トイレに行き、今度は水様下痢便が出て、そこからあまり間隔をあけずに3回トイレに行き水様便を排出するという出来事がありました。
まるで自分の身体が果糖の消化吸収を拒否しているかの如くでした。
11時50分にもトイレに行き、ようやく水様便は治まりました。
13時になぜかちょっと身体がだるいという感覚を覚えましたが、14時に再び元通りとなり、15時に実験を終了したという経過でした。
注目の結果は以下の通りです。
実測血糖(mg/dL) 実測3ヒドロキシ酪酸値(μmol/L)
食前 98 75.9
30分後 111 44.4
60分後 121 36.4
120分後 98 19.2
180分後 87 13.8
240分後 86 53.0
300分後 87 72.5
360分後 85 62.2
(血糖基準値:70~109mg/dL 3-ヒドロキシ酪酸基準値:85μmol/L以下 )
インスリン値(μU/mL) C-ペプチド値(ng/mL)
食前 14.5 3.02
30分後 37.4 4.92
60分後 67.2 7.04
120分後 30.4 4.72
180分後 14.7 3.01
240分後 8.1 2.12
300分後 9.4 2.31
360分後 8.2 2.18
(インスリン基準値:1.7~10.4μU/mL C-ペプチド基準値:負荷前0.61~2.09ng/mL)
グルカゴン値(pg/mL) コルチゾール(μg/dL)
食前 164 -
30分後 158 10.9
60分後 149 9.8
120分後 149 7.6
180分後 180 9.8
240分後 149 9.4
300分後 155 6.5
360分後 167 7.1
(グルカゴン基準値:70~174pg/mL コルチゾール基準値:3.7~19.4μg/dL)
中性脂肪値(mg/dL)
食前 96
30分後 94
60分後 82
120分後 79
180分後 102
240分後 103
300分後 102
360分後 109
(中性脂肪基準値:30~149mg/dL)
「たがしゅうの75gブドウ糖負荷試験」と是非並び比べて見て頂きたいのですが、
私の場合はブドウ糖負荷試験の時と同じくらい血糖値は上昇するということがわかります。
果糖は直接血糖を上げることはないというのが生化学的に言われていることですが、
どうやら間接的に血糖値の上昇に関与しているということが言えそうです。
また血糖上昇のピークはブドウ糖の時は30分前後にありそうでしたが、
今回の果糖負荷試験の血糖上昇ピークは60分前後と少しずれています。この辺りも間接的に血糖上昇に関与している様子を伺い知ることができます。
そしてそれと呼応するようにインスリン分泌のピークも60分前後にあり、自己インスリン分泌能を現すCペプチドのピークもほぼ同じ動きを示していました。
それに伴いケトン体の抑制効果も少し後ろにずれているという感じでした。
そもそも食前のケトン体値があまり高くないという点は若干気になりますが、
これは私の中でケトン体を効率よくエネルギーとして利用できるようになったためなのか、それとも前日の食事の影響でタンパク質によるインスリン分泌が多すぎたためなのかよくわかりません。
グルカゴンに関しては、多少の変動はあれど、概ね不変の印象です。
ブドウ糖負荷試験の時もそうでしたが、改めて糖そのものではグルカゴン分泌は刺激されないという事を示しているように思います。
急遽思い立ったコルチゾール値に関しては、これだけでストレスのすべてを表現できているわけではないので参考値ですが、
若干ストレスホルモンであるコルチゾールの値を下げている反応を示しています。
もともとが正常範囲なので一概には言えないかもしれませんが、ここに関しては崎谷先生の言うように「ストレスが和らぐ」方向にコルチゾールは動いていると言えそうです。
最後に、一番意外だったのは中性脂肪の数値です。
前述のように中性脂肪合成に関わると言われているはずの果糖ですが、
今回の果糖負荷試験では私の中性脂肪はピクリとも変動しませんでした。
果糖が中性脂肪合成に関わることは生化学的に言われていることのはずなのに、どうしてだろうと思っていたのですが、
実はこの後私は驚くべき事象と遭遇することになります。
それについては長くなるので次回の記事に回しますが、
ひとまずは今回の果糖負荷試験の結果をシェアさせて頂きたいと思います。
皆様からの御意見・御感想をお待ちしております。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
No title
数値にも個性があるのだと改めて思いました。
先日、それしか選べず、ゼロコーラを1年ぶりで飲んだ時、先生と同様の思いをしました。私は2口でギブアップでした。そんな体験後でしたので、それを飲みきった先生の実験への強い思いを感じました。
そして
「驚くべき事象」がとても気になります。
次回も楽しみにしています。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
体感は自分にとって一番正しい事を教えてくれると私は思います。
万人にとってどうかは別問題ですが、少なくとも果糖は私にとって安全な糖ではないということはわかりました。
驚くべき事象については2018年4月22日(日)の当ブログ記事を御参照下さい。
Re: タイトルなし
コメント頂き有難うございます。
もっともらしく聞こえる理論であっても、実際には間違っていることは世の中にはたくさんあると思います。
そういう時に一番信用できるのは自分の体感です。糖質制限は少なくとも私の体感にとって良い効果をもたらしている、その事が大前提にあり理論は二の次という位置づけです。その順番を間違ってはならないと私は思います。
No title
果糖は血糖値を上げない、つまりインスリン分泌も促進しないと多くの識者が確信しています。たしか、江部先生もよくこの話をされますよね?
この教科書的な知識の大元はどこだったのでしょうか。手元のレーニンジャー生化学は捨ててしまいましたが、最近になって書き換えられている可能性もありますね。
果糖はブドウ糖より糖化反応が強い、という結果がN◯Kの健康番組で示されていたのを視て以来、できるだけ避けていてよかったです。
ところで、崎谷氏の新刊出版は知っていましたが、読んでません。タイトルからして如何にもキワモノ臭が漂っていたためですが、実際に読んで真意を確かめようと思いました。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
真偽の程を判断するのが難しい健康情報に突き当たった時、参考になるのは「その行為が自然であるかどうか」を考えることです。
果物は太古の昔から存在していましたが、今ほど品種改良され糖度が高いものがしかも日常的に摂取できる状況は人為が加わる前の自然界には存在していなかったはずです。そう考えると、果糖の細かい代謝がわからなくても果物の常食習慣が多くの人にとってどうなのかがわかってくるのではないかと思います。そしてそれと同時に、果物自体が絶対悪というわけではないという事実も見えてくるのではないかと思います。
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