人を輝かせる指導法
2018/04/10 00:00:01 |
偉人に学ぶ |
コメント:4件
何気なくネットニュースを見ていたら、次の記事が私の目に止まりました。
ORICON NEWS 2018-04-04
“女子アナ育成請負人”としてのタモリ、愛され女子アナを育てる「頑張らない」働き方とは?
タモリさんと言えばお笑い界の大御所、ビッグ3の中でひと際落ち着きを払った存在で、
それでいて安定した笑いを取ることができる技術を持っていて、幅広い世代に支持されているタレントさんではないかと思います。
当ブログでも、「友達はいらない」という名言や、食べることには体力を必要だという点に注目する価値観などタモリさんの言動について以前から興味を持って取り上げてまいりました。
本日紹介するこの記事からもタモリさんの凄さを知ることができます。
(以下、記事より引用)
【“予定調和”を無視したタモリ流の進行が視聴者に“ドキドキワクワク感”を提供】
『ブラタモリ』はNHKで2008年より放送されているバラエティ番組で、
タモリとアシスタントがひとつの土地をブラブラし、その地域の魅力を再発見していくという紀行番組。
当初は試験的に行なわれていた番組だったが、2009年よりレギュラー化。
過度な演出をしない地味な番組ではあるが、35年以上続く『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)に勝るとも劣らぬ好事家ぶりを披露しジワジワと人気が過熱。
(中略)
【「アナウンサーであることを忘れなさい」女子アナを成長させるタモリの放任主義】
同番組で注目されているのはタモリだけではない。コンビを組んだ歴代のアシスタントたちが一様にアナウンサーとして飛躍すると話題になっている。
(中略)
現場をフォローする女子アナにしても、“タモリさんだから”と、力入りまくりで積極的にレポートするということはない。
逆にタモリは、『ブラタモリ』のレギュラー放送が復活する際、桑子アナに対して「アナウンサーであることを忘れなさい」などと心得を説いている。
さらに、「どんどん横道に逸れていい。番組の流れなんて無視してください。NHKのアナは自分で流れを作るという意識が強すぎます」と金言を披露している。
【リサーチ禁止、打ち合わせナシ、台本は渡さず…厳しい規制(?)で多くの愛されアナを育成】
そのため、『ブラタモリ』に参加する女子アナたちは、「事前のリサーチ禁止」、「打ち合わせなし」、
「アナウンサーには台本を渡さない」と言われる“厳しい規制(?)”の中で、非常にリラックスした雰囲気のまま参加しているように見える。
こうした経緯により、“NHKアナとしての自分“から解放された女子アナたちは、番組内で “素”の部分や、“おっちょこいちょい”な一面を披露することとなった。
これにより、普段のお堅いNHKアナとのギャップが視聴者にウケ、多くの愛されアナが誕生してきたのだ。
ただ、台本や打ち合わせがないからと言って、アシスタントとして楽かと言えばそうではない。
なぜなら、歴代アシスタント達は、あえて“自由気まま”に番組を進行するタモリと視聴者を繋ぐ役割を担わなければならないからだ。
(引用、ここまで)
NHKと言えばお堅いイメージの代表格で、
そこに勤めるアナウンサーも確かにいわゆる民放のアナウンサーに比べて堅い人が多い印象があります。
堅いということは言い換えれば安定、マニュアルを遵守、完璧主義的などという言葉に通じるものがありますし、
別の見方をすれば、思いがけないハプニングは起こりにくいということもできるかもしれません。
安定というのは秩序ある世界を作るためには大事な要素かもしれませんが、
面白さという観点において言えば、これほど面白くないことはないと言えます。
予定調和のストーリーを面白がる人がはたしてどれだけいるでしょうか。
タモリさんのアナウンサーに対する台本なしで自分をさらけ出すようにという指導は、面白さを追求するために必然的な指導だと私は思います。
そしてありのままの姿を出すことで人の心に響き、共感を生み出しやすくする側面があるのではないかと思います。
以前の記事で、指示待ちの看護師より指示を考える看護師になるよう指導する夏井先生のスタンスを紹介しましたが、
タモリさんがやっている指導もこの指導に通じると思います。
アナウンサーに対して「アナウンサーであることを忘れなさい」と言うってすごく深いと思いませんか。
結局、自分の頭で考える指導が人を面白くするし、
人を魅力的にするということなのではないかと私は思います。
ただ、これが何も知らない人がいきなり自分の頭で考えるというのではダメで、
最初はお堅かろうが、マニュアル的であろうが、自分の頭で考えるための材料を集めていく作業は必要だと思います。
安定を得た上で、安定から離れて形を崩す。
これは守破離の概念にも通じます。
優れた指導者は、人を輝かせるために大事なポイントのみならず、
そのタイミングまでも自ずと身につけている人達なのかもしれませんね。
たがしゅう
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
素で生きたい
タモリさんの決断は、長年の経験と勘がなせるもので、どんな世界においても通用する指導論ではないでしょう。
「アナウンサーであることを忘れる」とは、簡単に言えば「素のあなたを出しなさい」とも言えます。
「素のあなた」
世の中で、会社で、街角で、「素」を出せる人はそういないでしょう。
人は社会の中で、本人も気づかぬまに何かしら格好をつけて生きています。
格好つけすぎて「虚勢を張る」にまで肥大化してしまう人まで中にはいます。
そう見抜いてか、タモリさんは社会通念に浸りすぎたアナウンサーは「面白くない」から「素を出しなさい」といったのでしょう。
「友達はいらない」という持論も「皮をかぶった友達はいらない」という意味であろうと私は理解しています。
素が素敵な方というのは、情の深い方。
人前でも、一人っきりの時でも変わらず人の心を推し量ることのできる人。
自分の欲のためだけに推し量る「忖度」とは別物であることは言うまでもありません。
Re: 素で生きたい
コメント頂き有難うございます。
> 「アナウンサーであることを忘れる」とは、簡単に言えば「素のあなたを出しなさい」とも言えます。
とてもわかりやすい解説を有難うございます。
御指摘のようにタモリさんは、やみくもに「素を出しなさい」と言っているのではなく、そのメッセージを出すべき相手や場所、タイミングをすべて、まるで体感的にわかっているかのようです。
いつでもどこでも素を出していいのなら、それはまるでこどものようです。
社会という人と人とのつながりがあり、集団生活のルールが定められ、そのおかげで秩序が守られているという空間で、自分の思うままに素を出していればよろしくないという場面も実際には多々あることでしょう。
しかしあまりにも抑圧された社会環境の中で、素を出せないあるいは素を出してはいけないという事を無意識下に植え付けられてしまっていると、社会生活の中で形成される人為的なストレスが知らず知らずのうちに溜まって病気になっていってしまう、という流れへとつながりかねません。
タモリさんのような偉人は、社会の中での人とのつながりを大事にしながらも、こどものように純粋な気持ちで素の自分を出すことの大切さを忘れず、それらのバランスを取りながら生きていきなさい、ということを教えてくれているのかもしれません。
No title
>安定というのは秩序ある世界を作るためには大事な要素かもしれませんが、
>
面白さという観点において言えば、これほど面白くないことはないと言えます。
>予定調和のストーリーを面白がる人がはたしてどれだけいるでしょうか。
共感します。
「想定外」の出来事は、刺激的です。
面白かったり、感動したり、恐怖を覚えたり。
無意識に持っている「○○○像」を壊され、
「想定外」に遭遇する事は、とても刺激があります。
「糖質制限」についても、
過去に学んだ栄養バランスからすると「想定外」でした。
しかし、「糖質制限」に関する書籍が、
「想定外」を教えてくれました。
無意識に持っていた「栄養バランス像」が壊されました。
刺激的で、面白い、感動しました。
「想定外」バンザイ!です。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
よく考えれば、水戸黄門やドラえもんのように予定調和を楽しむ文化もありますが、新規性は予定調和の中からは生まれません。
現状が満足いっていれば新規性を求める必要もありませんが、そうではないのであれば求められるのは「想定外」だと思います。医療の世界もテレビの世界も、その辺りは共通するのではないでしょうか。
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