筋肉の機能低下はやがて肝臓へ
2018/03/20 00:00:01 |
素朴な疑問 |
コメント:2件
前回は「筋肉量が少ないとなぜ糖新生能が低くなるか」ついて述べました。
とは言え、糖新生の主戦場は肝臓です。本日はそのやせ型体質の人の中で起こっている現象を肝臓目線で考えてみたいと思います。
肝臓にとって筋肉は糖新生の材料を提供してくれるサポーターです。
そのサポーターが弱っている状況は、たとえるなら株主が少なくなった株式会社のようなものです。
株式会社は株主から集めたお金を元に会社を運営している構造となっていますが、
株主が少なくなれば、当然会社の資金繰りが難しくなってきます。
そうすると会社は少ない資金で何とか現場を立ち行かせるように今まで以上に頑張ります。これが糖新生機能の亢進です。 私流に言えば糖新生の「過剰適応」状態ですし、別の言い方をすれば材料が少なくなることによって起こったネガティブフィードバックとも言えるかもしれません。
肝臓という名の会社は、筋肉という名の株主に協力してもらうために一生懸命グルコースという名の製品でアピールしているような状況を表していると思います。
そんな会社の頑張りは長く続けば無理がきますので、いつかは経営破綻という事態を招いてしまいます。
これを私流に言えば糖新生の「消耗疲弊」状態ですし、またの名を「肝硬変」と言います。
肝硬変は糖新生ができないために糖質制限の禁忌病態でした。
では肝硬変の人に糖質制限がダメで食事はどうすればいいかと言えば、糖質をこまめに摂取し続けるしかありません。
糖質を摂った方が調子が良いというレベルではなく、糖質を摂らなければ確実に調子が悪くなるという所まで来ている状態です。
こうしてみていくと筋肉量が少なくて糖新生機能が低下した状態を、
そのままこじらせてしまえば主となる肝臓での糖新生機能までもが低下していく流れをイメージする事ができます。
そして今やせ体質の人に糖代謝賦活という名目で糖質をこまめに摂取し続ける方法がクローズアップされているかと思います。
摂取量がその人の処理能力のキャパシティを超えていなければよいですが、
もし超えてしまえば、やはり酸化ストレスを生じ筋肉や肝臓に無理をさせる事となり、
「糖質をこまめに摂取していれば調子がいい」から、いつの間にか「糖質をこまめに摂取していないと調子が悪い」という肝硬変状態に移行しないとも限りません。
その悪循環を経つためには、筋肉量を増加させること、
株式会社の株主を増やすための策を講じる事が必要不可欠なのではないかと思います。
そのためにはまず、なぜ筋肉量が増えないのかという事について考える必要があります。
そこには消化管が深く関わっているように私は思います。
消化管→筋肉→肝臓
やせ型の方が行う糖質制限を考える場合に、
この流れを意識しておくことは重要なことではないかと私は考えます。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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木剋土
木剋土を具体的な事象で説明すれば、土(つち)から木(き)が生えるということ。木は土の養分を吸収して成長しますが、養分を奪うだけでなく、木が根を張り成長していく基礎として土が存在するという関係。
今の時期、花粉症が杉花粉を原因として悪者に祭り上げられています。
木剋土から花粉症を考察すれば、糖質の過剰摂取で木が土を剋することが出来ず、相侮(そうぶ)の関係にあり、季節は冬(水)から春(木)へ移行する。冬に活発に活動していた体内の水分を木(肝)がうまく処理出来ず、溢れ出てしまう症状が鼻水や涙目と理解出来るかもしれません。
ただし、先生が以前より指摘される中医・漢方とも精製された穀物の過剰摂取についての観察と処方は蓄積されていないので、現代西洋医学の視点からの説明は必須と考えます。
国民病となった花粉症。実は糖質の過剰摂取に対する人体からの警告ではないかとにらんでいます。
Re: 木剋土
コメント頂き有難うございます。
木剋土(もっこくど)、木(肝臓)が土(腸管)を 剋する(良好な関係を築く)
別角度から考えたことが同じような結論に行き着いている事が面白いですし、東洋医学の方がより広い概念で捉えている印象ですね。花粉症にも応用できるのは東洋医学的解釈ならではと思います。
西洋医学的な解釈は対象を比較的明確に限定しますが、その代わり解釈も限定的です。東洋医学的に捉えれば広く把握できますが、その分対象の把握がぼんやりとしてきます。そのメリット、デメリットを理解しつつバランスよく学んでいく事が必要かもしれませんね。
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