ストレスマネジメントの問題は大きい
2018/03/14 00:00:01 |
読者の方からの御投稿 |
コメント:6件
「何でもかんでもストレスマネジメントで片付けないで」というコメントを読者の方から頂いたことがあります。
おそらくその方にとってはストレスマネジメントという具体的ではない治療方針が私がその人の悩みを煙に巻くというか、お茶を濁しているように受け止められてしまったのだと思います。
しかし私はおそらく多くの方が思っている以上にストレスマネジメントの問題を重要視しています。
なぜならばストレスマネジメント不良は、時として糖質制限を実践してもらおうと促す時の最大の妨げとなりますし、
糖質制限によって起こるはずの糖代謝優位から脂質代謝優位への代謝変更を、糖質制限を行なっていたとしても起こさせない程強力に糖代謝へ傾ける原因となり得るからです。 少し前までは糖質制限とストレスマネジメントは同列的に認識していましたが、
今はもう糖質制限以上にストレスマネジメント大きな問題であると認識していますし、
だからこそ神経変性疾患のように消耗疲弊形の病気には糖質制限の治療効果が及ばないとの考えに至りつつあります。
前にも少しだけ述べましたが、ストレスマネジメント不良は究極の人為だと私は思っています。
全生物の中でヒトだけが利用可能な言語を生み出し、
それによってコミュニケーションが発達しただけでなく、同時に非物質的な観念を生み出すことに成功しました。
しかしその便利さの反面、それまでの自然界には存在し得なかった非物質的ストレスを多種多様に生み出すことへとつながってしまいました。
不安、恐怖、妬み、恨み、抑圧、服従、束縛、貧困……、
動物であればただの交感神経緊張状態で済んでいたことが、否定的で観念が言語化されることで意識されストレスは増幅します。
その結果、人類はかつてなく繁栄して便利な文明を手にしつつ、それと引き換えにストレス病にまみれた世界を生み出すこととなった側面があるのではないかと私は思うのです。
しかし言語という人為によって出現した問題であれば、人為によって解決することができるのではないかというのがストレスマネジメントの発想の起点です。
そのためにはそもそものストレスがいかなる観念化によってもたらされたのか、個人個人の詳細な背景を読み解いていく必要があります。
はっきり言ってそんな大変な作業をどれだけ丁寧に問診したところで、他人の医師が完璧にこなすことは困難ですし、
ましてや本人にさえ気付かれていない深部にまで問題が至っている場合はなおさら困難です。
そうなると本人でさえストレスを認識するのは困難な状況かもしれませんが、
それこそがまさにストレスマネジメント不良がこじれて不可逆的となった状態だとも言えると思います。
そうなる前にストレスマネジメントという改善の為の人為を意識しなければなりませんし、
そうなったとしてもこじれたストレスマネジメント不良を元に戻せる最も可能性の高い人物は本人以外にはいないと思います。
なぜならば本人が本人の情報を最もたくさん持っているからです。
だからこそストレスマネジメントは他人が教えるのではなく、自分で考えてもらうのが最も良い結果をもたらすと私は思います。
糖質制限に関してもどう捉えてどう取り組むかということは、
ストレスマネジメントの観点から糖質制限の成否の鍵を握っていると私は思います。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
No title
現代社会が糖質過剰であると共にストレス源が過剰・多大であることは周知の事実ではないかと思います。
むしろ糖質を断つ(避ける・減らす)ことよりもストレス源から離れる方が社会生活的にはずっと難しい。
ということはストレス源から受けるストレスを上手くマネジメントする術をなんとか身につけないと、心身の不調に大きく関わってくるということですね。
やはりストレスも糖質も、ただじっと我慢するだけではなく自分自身に適応するやり方を積極的能動的に求めることが必要な気がします。それこそすなわち「マネジメント」ではなかろうかと。
糖質制限そのものがストレス源になってしまったらそれこそ洒落にもなりませんね^^;
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
> 糖質を断つ(避ける・減らす)ことよりもストレス源から離れる方が社会生活的にはずっと難しい。
> ということはストレス源から受けるストレスを上手くマネジメントする術をなんとか身につけないと、心身の不調に大きく関わってくるということですね。
御指摘の通りです。
人為で出現した問題なら人為で解決できるはずだと私は思います。
今の気分はどう?
「末期癌に罹り、思い出に世界一周旅行して帰国したら癌が消えていた」「癌が消えていくイメージを毎日繰り返したら消えた」「宗教に入信して祈り続けたら治った」など。
一見眉唾にも聞こえますが、私は実際ありうると思います。
ストレスのかかり方も解放の手段も人ごとに千差万別で、しかも今自分がどちらの状況に位置しているのか気づかない。
だから厄介。
何がストレス源になっているかが一発で判明するツールでもあれば、病人は劇的に減るのでしょうけど。
「今の気分はどう?」
私の場合、折に触れこう自分に問いかけて生活することが、私のストレスマネジメントになっています。
朝起きた瞬間、ご飯を食べている最中、通勤途中、、、
起床して寝床につくまで「今この瞬間が楽しい」と感じる工夫を自分なりにアイデアを浮かべ実行しています。
昔に比べストレスは感じなくなってます。
Re: 今の気分はどう?
コメント頂き有難うございます。
難病克服者の経験は私もおおいにあり得る話だと思います。
いずれも今まで生きてきたのと同じくらい真剣にストレス源と向き合いマネジメントできた人だと思っています。
> 「今の気分はどう?」
> 私の場合、折に触れこう自分に問いかけて生活することが、私のストレスマネジメントになっています。
大変参考になります。
まずは身体からの声を気にかけてあげる事は大事ですね。
私も仕事でため息をつくなど疲れを感じたと自覚できた時は、切迫した状況でない限り軽い休みの時間を意識的に挟むように心がけています。
No title
スタート地点にも立っていないのでマネジメントしようもない状態で常にいるのかもしれません。
誰かが私のストレスで、私も誰かのストレスの可能性もある。
現職場でキツイなぁと思う事をストレスだとすれば、感じないふりは対処療法、辞めるのが根本的な解決なのかと思います。
無人島にでも行かなければ人間関係は続くもの。もしかしたら無人島でも違うでも何かをストレスと感じるかもしれない。
どちらにしても耐性をどうつけていけるか、考えてみようと思います。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
確かにストレスは目に見えないので認識しにくいと思います。
しかしストレスを感じていない人はいません。誰しも怒りや恐怖を感じれば、血圧は上がり心拍数は上昇し呼吸数が早くなる反応が起こります。それがいわゆるストレス反応です。
ただストレス反応自体は決して悪いことではないのです。
そうやって血圧、心拍数、呼吸数が変化してくれるおかげでストレスフルな環境を乗り越える事ができるからです。
身体に起こるストレス反応を意識し、感謝する事によってストレス反応を速やかに終息させる事ができるという研究もあります。離れるばかりではなく、そのストレスをどう捉えてどう処理するかがストレスマネジメントという事だと思います。
2014年5月30日(金)の本ブログ記事
「ストレスの本質を知る」
http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-288.html
も御参照下さい。
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