エビデンスなくても理屈で考える
2018/03/11 00:00:01 |
よくないと思うこと |
コメント:2件
今年パーキンソン病のガイドラインが改定されるとのことで、
それに関する製薬会社主導の勉強会に参加して参りました。
以前は「パーキンソン病治療ガイドライン2011」でしたが、
今回からは「パーキンソン病診療ガイドライン2018」になるということで、
今まで以上に包括的にパーキンソン病の治療の基本的方針を提示していきますよという意図が込められたタイトルとなっています。
しかし私に言わせれば今までとさして変わりのない内容に思えます。 結局ガイドラインの改定というのは、病院の建て増し作業のようなもので、
既存の構造がまずあって、その中である部分に何か付け加えたり、一部取り壊したりする作業です。
既存の構造自体に問題がある場合にはこのアプローチでは到底解決させることは不可能で、
一度ちゃぶ台返しのごとく全壊させるより他にないのですが、
エビデンスという名の制限的な根拠によって変に壊されることから守られてしまっている状況ではないかと思います。
言わば科学の妥当性が誤った形で用いられ裏目に出てしまっているように思います。
現行のパーキンソン病のガイドラインの何が問題なのかと申しますと、
まずは根本的原因に全くアプローチせず、ただひたすら対症療法に終始しているという点です。
そこに関してはパーキンソン病が「原因不明の難病」と位置付けられていることが、ある意味免罪符のように働いてしまっているところがあると思います。
原因不明と言いながらも、パーキンソン病の神経変性には「酸化ストレス」が関わってきていますし、
オートファジー機能不全があることも明らかにされて来ています。
それならば血糖値の乱高下からの酸化ストレスリスクを確実に減らす糖質制限や、
オートファジーを賦活させる断食または低インスリン状態にする運動を取り入れたりすることを、
たとえエビデンスがなかったとしても理屈で考えれば充分効果のあり得る治療として、もっと検討されるべきではないでしょうか。
しかし「パーキンソン病に糖質制限を」などと言おうものなら、ある意味糖尿病学会に糖質制限を認めさせる以上にハードルが高い状況に突き当たります。
そこに立ちはだかってくるのもまた「エビデンス」です。「糖尿病学会が認めていないものを当学会で認めるわけにはいかない」という話になるのは目に見えています。
では自分でエビデンスを作るか、と言えば、それはそれでまた別の壁が立ちはだかってきます。
学会に認めさせるような大規模なエビデンスを作ろうと思えば、小規模病院ではとても無理です。
また誰がお金を出すのか、製薬会社の協力はその性質上確実に得られません。
そもそも協力してくれるような患者さんが絶対的に少ない状況です。
何とか頑張ってお金と協力者をかき集めて小さなエビデンスを作ったとしても、
大きな学会にとっては風前の灯、特殊例として軽くあしらわれて終わりとなるのがオチです。
そんな不毛な活動に私の限られた人生の時間を使うのはもったいないと感じ、
かくなる上は学会とは全く関係のないところで自分の主張をインターネット上に公開し、
それに共鳴する人だけが自主的に私の方法を選んで取り組んでもらうという方法を取れば、
既存の学会主導のパーキンソン病診療と競合しませんし、もし私の方法が正しければ良い治療として残り、良くない治療は自然淘汰されていくはずです。
しかしそう簡単に行きそうにないと思うのは、パーキンソン病において最も重要なこととしてストレスマネジメントの問題があります。
当の患者さんの自己犠牲的あるいは他者依存的発想が根本的に変わらない限り、
糖質制限や断食を行うことがむしろ新たなストレスとして立ちはだかって酸化ストレスを介して神経変性を進行させてしまいます。
けれどたとえ受け入れられないものだとしても、パーキンソン病の学会とはまるで異なる別の治療選択肢を提示するというだけでも意義はあると思います。
それでもしも誰か一人でも患者さんをパーキンソン病から救うことができたのだとすれば、
私も生きていた価値があるというものです。
いつか私の治療方針をまとめて世に問いかける場を作らなければならないと思っています。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
Re: タイトルなし
コメント頂き有難うございます。
いつか患者さんが主導権を取り戻し、患者さんが医者を利用するのが当たり前になる時代が来ることを願って私にとって精一杯の情報提供を続けていきたいと思います。花粉症の原因に関しても考察がうまくいく事を願います。
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