自然なホルモンバランスを人為で乱さない
2018/03/08 06:00:01 |
医療ニュース |
コメント:2件
性差というものに注目すると病気の新たな一面が見えてきたり、
私達の健康の本質について気が付かされたりすることがあります。
私はヒトの基本は女性にあり、男性は女性のオプションのような位置付けと考えており、
基本的に女性の方が長生きである事は必然的な結果だと解釈するに至っています。
そんな中で女性に多い病気にはその理由について注目すべき点があります。
いつも見ているケアネットニュースには今回次のような記事が紹介されていました。
女性の脳卒中リスクを高める要因とは?
提供元:HealthDay News公開日:2018/03/07
(以下、引用)
女性は男性と比べて脳卒中を発症するリスクが高いことが分かっているが、
女性の中でも特にそのリスクが高い人にはどのような特徴があるのだろうか。
米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のKathryn Rexrode氏らは、これまでの研究論文のレビューに基づき女性の脳卒中リスクを高める因子を特定し、「Stroke」2月8日オンライン版に掲載された論文で報告した。
(中略)
そのリスク因子とは、
「初経が早い(10歳未満)」
「閉経が早い(45歳未満)」
「デヒドロエピアンドロステロン(DHEAS、男性ホルモンの一種)の分泌量が少ない」
「避妊用ピルの使用」
「更年期障害に対するホルモン補充療法(経口エストロゲン製剤)」
「妊娠中/周産期」
「妊娠糖尿病」
「妊娠中の高血圧/妊娠高血圧腎症」などだった。
Rexrode氏は「これらのリスク因子がある女性は珍しくないが、
このうち1つあるいは2つ以上の因子があったとしても、実際に脳卒中を発症する女性は極めて少ない」と強調。
ただし、医療従事者に対しては「こうしたリスク因子がある女性は注意深く経過を観察すべき」とした上で、
「本人にもリスクが高いことを認識してもらい、高血圧リスクを低下させ脳卒中を予防するために健康的な生活習慣を身につけるよう促すことが望ましい」と助言している。
(引用、ここまで)
一般に男性よりも長寿であることが知られる女性において、
長寿の妨げとなる脳卒中が女性の方でリスクが高いというのは少々意外な感じがするかもしれません。
本来であれば、この研究論文の妥当性について原著に当たって確かめるという行動がフェアなのかもしれませんが、
その作業には大変パワーの要るので、よほど必要性に迫られた状況でなければ実行するのはなかなか難しいというのが正直な所です。
ただ今回の場合は出てきた結果から得られる私の考察が、私が今までしてきた考察と照らし合わせても矛盾はないので、
おそらくこの研究結果は正しいのではないかと個人的には感じています。
まず初経が早く、閉経が早いということですが、
本来想定される月経期間が早めに始まって早めに終わるというような状況となりますが、
あたかも何らかの要因でドーピング的に月経初来を刺激し続けたがために月経維持機能が早めに枯渇してしまったような状況が想定されます。
ドーピングと言えば糖質摂取との関連が私の頭をよぎりますので、
これらのリスク因子の本質には糖質摂取の関与が隠されている可能性があります。
次にデヒドロエピアンドロステロン(DHEAS)の分泌量が少ないという事についてですが、
DHEASはコレステロールから女性ホルモンを合成する代謝経路の途中で出現する中間代謝産物ですが、世間では若返りホルモンなどと注目されています。
その真偽についての私の考察は長くなりそうなので今回は置いておくとして、
DHEASが少ないという事は女性ホルモンを作る代謝経路に支障をきたしている傍証になるという事は言えるのではないかと思います。
さらには避妊用ピル、更年期障害に対するエストロゲン補充療法についてですが、
ピルは月経痛の軽減や避妊目的など様々な用途で用いられますが、その中身は少量の女性ホルモンです。
女性ホルモンを人為的に加える事によって月経を起こすために絶妙な調整をしている人体のホルモンバランスを崩し、
それによって月経を起こさせないようにして月経にまつわる不快症状を軽減させたり、妊娠させないようにしているのがピルが行っていることです。
外部からの女性ホルモン補充という意味ではピルも更年期障害へのエストロゲン補充療法も本質的には同じという事になります。
そしてそれらの行為が結果的に脳卒中のリスクを高めるのだとすれば、外部から女性ホルモンを投与する行為とはいかがなものか、という話が見えてきます。
最後に妊娠中、妊娠糖尿病、妊娠中の高血圧についてですが、
おそらく妊娠自体が脳卒中のリスクという話ではないと私は思っています。
もし妊娠が脳卒中リスクだとすれば、生命のシステムとして致命的な欠陥となってしまうからです。
確かに妊娠中には様々な生理的変化が起こります。血圧が上昇したり、循環血液量や腎血流が増えたり、
基礎代謝が上がったり、白血球が増加したり、血液凝固系が亢進したり、換気量が増加したりといった変化が起こります。
しかしそれらは全て生まれ来る赤ちゃんを守るために起こっている適応反応です。
ところがこの適応反応が何らかの原因で過剰に作動してしまい、機能がオーバーヒート(過剰適応)してしまう事があります。
その状態がここで言うリスク因子の「妊娠中」「妊娠糖尿病」「妊娠中の高血圧」という事だと思うのです。
特に「妊娠中」というのは正確に言えば「過剰適応した妊娠中」の事だと私は思います。
しかしその事を知らずして何も考えずに妊娠中の脳卒中現象を捉えていると、
「妊娠した人に一定の確率で脳卒中は起こる」→「妊娠(自体)が脳卒中のリスク」という誤った認識を持ってしまいかねません。
従って妊娠自体は脳卒中のリスクではなく、真犯人は妊娠の適応反応をオーバーヒートさせている何らかの要因だと私は考えます。
それではその適応反応をオーバーヒートさせている何らかの要因とは何なのでしょうか。
ここまでの考察を振り返れば答えはおのずと見えてくるのではないでしょうか。
ドーピング的な反応を起こす刺激、コレステロールから女性ホルモンの合成をブロックする因子、外部からのエストロゲン補充・・・
糖質頻回過剰摂取、ストレス、西洋薬・・・
結局突き詰めれば、「自然の女性ホルモンバランスを乱すもの」とまとめられるような気がします。
いくら女性ホルモンが生命を維持する本質的なものであっても、それを外部から投与する事はよろしくないという話も非常に示唆的ではないでしょうか。
女性の生命としての素晴らしさは、女性ホルモンのバランスが保ててこそなのではないかと私は思います。
その事から極力不要な人為を加えずにあるがままで生きていく事の大切さを学べるように思います。
たがしゅう
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
生活が乱れると女性ホルモンも自然と乱れる気がします。
女性ホルモン崩れてるなって自覚がないからよくわからないです。
Re: タイトルなし
コメント頂き有難うございます。
> 女性ホルモン崩れてるなって自覚がないからよくわからないです。
女性ホルモンがすべてではありませんが、
女性ホルモンが乱れている時には何らかの体調不良が現れていると思います。
それは必ずしも生理痛などの月経関連のトラブルに限りません。皮膚のトラブル、精神のイライラなど自覚できるポイントはいくつかありますが、総じて言えば「体調がいいかどうか」です。
食事、運動、ストレスマネジメントなど体調を整える行為が、結果的に女性ホルモンを整える行為へとつながると私は思います。
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