快に従うストレスマネジメントの可能性
2018/01/19 00:00:01 |
ストレスマネジメント |
コメント:2件
在宅医療の現場では、病院医療では考えられないことがしばしば起こります。
とある在宅専門クリニックの見学に行った際には、病院で余命数ヶ月と宣告されていた末期がんの患者さんが、
最期の時間を自宅で家族と過ごしたいと切望して、覚悟の上で環境を整えて在宅退院してもらったところ、
結果的に数年間、しかも比較的良い状態で生き続けることができていたという話を稀でなく聞きました。
別に糖質制限をしたわけでもありませんし、ビタミンを大量に投与したわけでもありません。
それなのに現代医学でもはやなす術のない末期がんに対し良い状態での延命を成し遂げられたわけです。 それは「自宅で家族に看取られる」という行為に心地よさを感じ、
その希望に従って行動することができたというストレスマネジメントが功を奏したのではないかと私は思うわけです。
ストレスマネジメントなんて目に見えませんし、
糖質制限に比べて理屈で語るのが難しい側面があり、きちんと行ったとしてもその効果は知れているのではないかと思われる人も多いのではないかと思いますが、
私は生きたいように生き抜くことができた人が、糖質制限関係なしで健康長寿を成し遂げている有様を知る度に、
ストレスマネジメントの価値は、糖質制限と同等、もしくはそれ以上なのではないかと考えさせられます。
そう言えば、タバコをたらふく吸っていても結構長生きされているという人も稀にいますね。
健康被害を上回る程のストレスマネジメントはやり方次第で出すことができるという可能性をそこから私は感じます。
在宅の現場の魅力は末期がんの延命に限りません。
在宅専門クリニックで診ておられる患者さんを往診チームと一緒に同行し見学させてもらった際に、
どの患者さんも本当に満足そうに日々を過ごしておられる様子がひしひしと伝わってきました。
本人が不快と感じる病院生活であって、その気持ちに正直に従って退院して、一点の曇りもなく心地よいと感じる在宅生活へと移ることができた。
そう感じられたからこそ患者さん達は満足し、健康効果も及ぼされたのではないでしょうか。
そして素晴らしいのは在宅専門クリニックの患者さんがほぼ例外なくそのような経過をたどっているということです。
俄かには信じられない、きっとうまく行かない症例を公表していないだけのことだという批判もあるかもしれません。
しかし仮にこの表面的な部分だけをみて、「なるほど在宅に返せば、末期がんは延命され、患者の満足度は上がるのか」と考えて病院患者を無理に在宅へ帰したとしても同じ結果はきっと出ません。
なぜならば、「在宅に帰りたい」と考える人を在宅に帰さなければ、本人の快に反する行為を与える事になってしまうからです。
在宅専門クリニックの患者さんが皆幸せそうなのは、「在宅に帰りたい」という人だけをクリニックが診ているからだと思います。
本人の快に従って医療を提供するというのは一見当たり前のように思いますが、
こうした事例を目の当たりにすると、いかに疎かになっているかということを痛感させられます。
自分が提供している医療は、はたして患者さんが本当に求めているものなのかどうかを、
少し立ち止まって考えてみる時間も必要なのかもしれません。
自分の快が何であるかを知ることも大事ですが、
相手の快が何であるかを察することも、こと医療においては非常に大切なことなのだと思います。
それでは相手の快が何かを知るためにはどうすればよいでしょうか。
明日はその事について考えてみたいと思います。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
おはようございます
心が穏やかで、笑顔でいる人ほど、延命率も高くなるみたいですね
ストレスフリーなのが1番の治療薬なんだと思います
ガン細胞も小さくなったり、ガン細胞が消えたっていう人もいるようですよ
Re: おはようございます
コメント頂き有難うございます。
> ストレスフリーなのが1番の治療薬なんだと思います
同意見です。
ストレスマネジメントの必要性は高いと私は考えています。
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