なければないで何とかする
2018/01/13 00:00:01 |
医療ニュース |
コメント:5件
「なければないで何とかなる」ということもあれば、
「なければないで何とかする」ようにしなければならない場面も人生にはあると思います。
先日何気なくネットニュースを見ていたら、
ファミコン世代の私にとって非常に関心のあるテーマについての記事が書かれていました。
「カタカナは20文字だけ」「没アイテムで宝箱がカラッポに」 ファミコンハードの限界に挑んだ制作者たち
あの手この手で容量を節約。
[辰井裕紀,ねとらぼ]
(以下、記事より引用)
2018年現在、増加の一途をたどるゲームの容量。もはや1本で30GBを超えるようなソフトも当たり前で、例えば昨年発売されたPCゲーム「シャドウ・オブ・ウォー」に至っては、97.7GBもあります。
これに対して、昔のファミコンソフトの容量は微々たるものでした。全世界で4024万本が売れたという「スーパーマリオブラザーズ」はたった“40KB”。現在の携帯電話で撮影した写真が当然のように数MBあることを考えると、驚きの低容量です。
RPGの「ドラゴンクエスト」ですら、初代の「1」はわずか64KB。「2」が128KB。「3」が256KB、ファミコンでのラスト作であり、5章からなる「4」ですら512KBにすぎなかったのです(※1)。
いま考えると「絶望的に少ない容量」「貧弱なグラフィックと音の仕様」で、大冒険活劇を描ききった当時のゲームクリエイターたち。彼らは「その手があったか!」という工夫と、徹底した「データカット」で、限られたハード性能の中に厳選した内容を詰め込みました。
当時の伝説のクリエイターたちが語った“容量節約秘話”を、過去の文献などから見ていきましょう。
【ドラクエ1で使ったカタカナは20文字だけ!】
「ドラゴンクエスト1」が登場する前、PCではすでにRPGが楽しまれていたものの、それをファミコンで再現するのは不可能といわれていました。なぜそれを64KBで実現できたのでしょうか。
まずキャラに横や後ろを向かせると、その分の容量が使われてしまうので、常に前を向いています。そのため「カニ歩き」と揶揄(やゆ)される独特の歩き方になりました。
さらに使う文字を制限しました。カタカナはたったの「20文字」に抑えたのです。最初に呪文やモンスターへ自由に名前をつけて、使っているカタカナを洗い出し、頻度の高い方から20番目までの文字を選んで、そこに無い文字は別の文字に変更しました。
結局、使えたのは「イ・カ・キ・コ・シ・ス・タ・ト・ヘ・ホ・マ・ミ・ム・メ・ラ・リ・ル・レ・ロ・ン」の20文字。これに「゛」(濁点)と「―」(音引き)の組み合わせを入れ、さらにひらがなと似た「ヘ」や「リ」などをひらがなと共通にすることで、さらに文字数の削減を図ったのです。
(後略。引用、ここまで)
私はこの記事を読んで感動を覚えました。
私達がこどもの頃に楽しんだあのゲームに、このような陰の努力が隠されているということに。
今やレトロゲームと呼ばれるファミコンやスーパーファミコンなどのソフトには、
今でも十分楽しめる名作から、クソゲーと揶揄される難易度が超絶的に高くある意味楽しめるゲームまで幅広く様々な種類が世に出ています。
その時代から数十年が経過し、容量も画質も格段に進歩したはずなのに、
個人的には最新のゲームはあまり楽しめず、やっぱり古き良きレトロゲームが良いと思ってしまうのです。
それはただ単純に自分が年を取って若い世代のゲームについていけなくなっただけという可能性もあるのですが、
昔のゲームの少ない容量の中で、いかに必要最小限のエッセンスだけを選りすぐってゲームが作られたかによるという気もするのです。
特にドラゴンクエスト1でのカタカナが20文字だという設定の裏話からは多くのことを学べます。
ただ単に節約のためにカタカナをなんでもいいから20文字に絞ったのではなく、
こども達が見て親しみを持ちやすい「モンスターの名前」は不自然にならないように自由にカタカナを使い、
結果的に残った20文字の中で、不自然になっても支障のない「呪文の名前」をその20文字で構成するという方法で選んだわけです。
これは非常に効率的に無駄を省いた素晴らしい方法ではないでしょうか。
だからあの呪文はホイミで、あの呪文はベギラマだったのかとすごく感心した次第です。
はたして同じようなアイデアがほぼ無尽蔵に容量が使える現代のゲーム業界で生み出されるでしょうか。
ものが足りないから、足りない中で何とかしようとするという発想が生まれます。
そしてその工夫は時に足りている人達のレベルを優に凌駕し、完成品として美しささえ携えることがあります。
それがゲームの業界では実際に起こっているように思えます。
この発想は人生においてもとても大切なのではないでしょうか。
何でもかんでも手に入れれば幸せになるとは限らないということだと思います。
たがしゅう
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
No title
>ものが足りないから、足りない中で何とかしようとするという発想が生まれます。
>そしてその工夫は時に足りている人達のレベルを優に凌駕し、完成品として美しささえ携えることがあります。
個人レベルの身近な例ですが、
食材の買い物に行けなかった時、
やむを得ず、冷蔵庫の中に「あるものだけ」で料理します。
必然的に工夫するので、いつもと違う料理が生まれます。
上手くいった場合、新しい発見に喜びを感じます。
(反対に、数々のボツ作品も生まれますが・・・)
>この発想は人生においてもとても大切なのではないでしょうか。
>何でもかんでも手に入れれば幸せになるとは限らないということだと思います。
何もかも手に入れる幸せ。
制約の中工夫し、プラスαを生み出す幸せ。
「幸せ」は、どんな時、どんな状況でも転がってるのでしょう。
それを、どう料理するかは私達次第なのでしょうね。
改めて気づかされました。
Re: タイトルなし
御質問頂き有難うございます。
> ストレスで脈拍が早い場合に効く漢方はありますか?
それだけの情報では何とも言えません。
漢方は基本的に「望・聞・問・切」と呼ばれる東洋医学的診察を通じて処方される薬です。
自己判断で内服してもあまりいい事はないと思います。
それに脈拍88は一般的には異常と捉えられません。
「脈が速いのが気になる」という自覚症状に対してであれば加味逍遙散や半夏厚朴湯という漢方薬が私の頭には浮かびますが、それもネット上では断定できません。基本的に漢方薬は漢方医の下で処方してもらうべき薬と私は考えます。
自力で治そうというのであれば、ストレスマネジメントの方がはるかに重要だと私は思います。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
料理の例もわかりやすいですね。
足りないからこその着想はそうして生まれるものだと思います。
ストレスマネンジネント自分なりに考えてみます!
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