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地道な普及がギャップを埋める
患者さんが抗生物質を出して欲しいと思っていた場合、その漢方薬での治療は患者さんにとって本当によい治療と言えるのでしょうか。
そんなことを考えていた折に、医療情報サイト「ケアネットニュース」で次のような記事が紹介されていました。
患者の満足度が一気に低下するのはどんなとき?
公開日:2017/12/21
HealthDay News
(以下、記事より引用)
ひと昔前まで、患者は医師の助言であれば仮に歓迎できない内容であっても受け入れるのが当たり前だった。
しかし近年、患者は注文の多い医療サービスの消費者となり、要望に応じない医師に対して不満を示すようになりつつあるようだ。
特に、新たな薬剤の処方や専門医など他の医師への紹介を要求して断られた場合に患者の満足度が一気に低下することが、米国の家庭医を受診した患者を対象とした研究で示された。
詳細は「JAMA Internal Medicine」11月27日オンライン版に掲載された。
この研究は米カリフォルニア大学デービス校(UCD)のAnthony Jerant氏らが実施したもの。
同大学傘下のクリニックの家庭医56人を受診した患者1,141人(平均年齢45.6歳、女性68.4%)に、受診ごとに医師に対する満足度を評価してもらった。受診件数は計1,319件だった。
その結果、全受診の68.0%(1,319件中897件)で患者から何らかの要求が示され、医師は全ての要求の85.2%に応じていた。
要求内容で多かったのは臨床検査の実施(34.0%)、他の医師への紹介(21.1%)、鎮痛薬(20.5%)や新たな薬剤(鎮痛薬や抗菌薬を除く、20.5%)の処方だった。
(引用、ここまで)
インターネット社会となり、患者側も努力次第で健康に関する情報はいくらでも集められる環境となりました。
この環境変化によって、不勉強な医師が勉強熱心な一般人に純粋知識量で追い抜かれるという事態は別に不思議なことではなくなりました。
従って、勉強熱心な患者の要望に不勉強な医師がついていけない結果、患者満足度が下がるということは今でも多くの医療現場で起こっていることなのではないかということが推測されます。
ただそれは逆もまた然りであって、
勉強熱心な医師の言葉は不勉強な患者へは届かず、その事が結果的に患者満足度が下がるという事も起こりえることです。
勉強したことを勧めた結果、逆に患者さんに感謝してもらえなくなるなんていうのは悲しい結末です。
しかし実はこの記事には続きがあって、次のようなことも書かれていました。
(以下、記事より引用)
なお、今回の研究では抗菌薬の処方の要求は少なく(8.1%)、
またこの要求に応じてもらえなくても満足度スコアは低下しないばかりかわずかに上昇することが示された。
この点について、Jerant氏は「抗菌薬の不適切な処方に起因した耐性菌の増加といった問題がようやく認知されてきたことが背景にあるのではないか」と考察。
「これは希望の持てる結果であり、鎮痛薬の問題についても広く周知されれば状況は変わってくる可能性もある」と期待を寄せている。
(引用、ここまで)
抗生物質乱用による害を伝え続けてきた感染症領域の先駆者の先生達が、
繰り返しこのメッセージを発信し続けてきて下さったおかげで、
その知識は一般にも周知されるようになり、医師と患者の知識のギャップが少なくとも抗生物質に関しては少しずつ小さくなってきています。
やはり地道な知識の普及活動は大切なことなのだろうと思います。
糖質制限指導をしていても、そのことについて勉強していない、あるいは勉強しようとしない患者さん達に、
いくら伝えても伝わらないどころか伝えようと思えば思うほど疎んじられるという事は今でも肌で感じています。
しかし諦めずに地道に身近に伝えるという行為を繰り返し続けていれば、
抗生物質でそうであったように、医師と患者の知識のギャップは次第に埋まってくるはずです。
そう信じて私は今日もブログを書き続けます。
たがしゅう
コメント
患者側も病気について本やネットなどで病気について勉強して知識を得ることも大事ですね。
よく薬をネットで検索します。
お医者さんと患者さんとギャップが埋まればいいなぁって私も思います。
お肉を食べるように心がけるようになりました。
2017-12-22 22:36 瀬川里香 URL 編集
Re: タイトルなし
コメント頂き有難うございます。
一度しかない自分の人生です。悔いなく過ごすために最も大切なものの一つが「自分で考える力」だと私は思います。それは医師であろうと患者であろうと同じ事です。
2017-12-23 00:01 たがしゅう URL 編集