環境が潜在能力を変える
2017/12/20 00:00:01 |
読者の方からの御投稿 |
コメント:4件
ブログ読者のEtsuko さんより次のようなコメントを頂きました。
Etsuko さん、どうも有難うございます。
このコメントを見て思い出したのは、>人間は、その時代に合った(必要な)
>能力しか表面化してないのだと思います。
>例えば「テレパシー」
>規模は小さいですが、「以心伝心」が、その現代版だと思います。
>人類が、狩りを中心にしていた時代は、この能力が必要だったはずです。
>ヒトの連携プレー無くしては、大きな獲物を仕留める事は難しいです。
>言語の無い時代、コミュニケーションのツールとして、
>このテレパシー能力が表面化していたのではないかと思います。
>表面化していない能力を、簡単に引き出せるようになると、
>それはそれで、凄い事になりそうです。
>その時代に合った能力しか表面化させないという、
>理由があるのかもしれません・・・
12か国語くらい話せる人の脳画像の話です。
人間の脳はほとんどの場合左脳に言語野があるという事がわかっています。
中でもブローカ野とウェルニッケ野と呼ばれる場所が重要なわけですがその範囲は限られています。
12か国語をしゃべることができる人は言語野が12倍に大きくなっているわけではなく、
それぞれの言語を話している時に活性化する脳領域はむしろ12分の1です。
12分の1でも有効なコミュニケーションが図れるように神経回路が効率化しているということなのです。
しかしいかに効率化したとは言え、使える領域は12分の1です。
1か国語を存分に操る人と、12か国語のうちの一つとして言葉を操る人、
はたして同じパフォーマンスを発揮することができるでしょうか。
要は何かを手に入れたら、何かを失わなければならない構造があるということです。
Etsukoさんのコメントにもあるように、ヒトがまだ言葉を使えていなかった時代は、
その言語野は一体何に使われていたのかということを考えさせられます。
盲目のピアニスト、辻井伸行さんは視覚情報が得られない分、聴覚や共感覚を発達させていき今の地位を確立されていきました。
この事は有限の脳領域の中で何かが使えなければ、その分別の能力が高まる余地が上がるという事を示しているのかもしれません。
そう考えると言語がなかった時代、私達が現在考える以上に非言語的コミュニケーションが発達されていた可能性は十分に考えられます。
想像するに、風を感じる力、音を聞き取る力、あるいは振動を感じる力など、
研ぎ澄ましていけば遠くにいるものの気配を感じ取ったり、もしかしたらテレパシーに準じた能力を獲得しても不思議ではないかもしれません。
そして何の能力がどうやって開花するかは環境に委ねられます。
例えば私達ヒトの祖先は、約6500万年前にビタミンCを合成する能力を失いました。
なぜビタミンC合成能を失ったのかという理由についてはどうしても仮説の域を出ませんが、
その時、隕石の衝突という大きな環境変化があったという事はどうも確からしいです。
環境の変化は時として、それほど大きな潜在能力の変化をもたらしうるということです。
何だかスケールの大きい話になってしまいましたが、
環境を変えて潜在能力を引き延ばすという考え方は、
私達の日常生活においても、使い方次第で非常に有用となるのではないでしょうか。
そんな事を考えさせられます。
たがしゅう
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プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
私はやってみたことないので、やってみようかなって、挑戦したくなりました。
環境をかえて、失敗したらどうしようかって悩んで、怖くてできないです。
田頭先生、いつもブログ読んで勉強してます。更新ありがとうございます(^O^)
Re: タイトルなし
コメント頂き有難うございます。
> 失敗したらどうしようかって悩んで、怖くてできないです。
失敗は誰でもするもので、成長のために必要なものです。
大事なことは失敗を失敗のままにしないことだと私は思います。
No title
この度は、私のコメントを取り上げて頂き、
とても嬉しいです。ありがとうございます!
>何かを手に入れたら、何かを失わなければならない構造がある
そうでもしなければ、脳は常にビジー状態で、
やってられないのでしょうね。
自身を守る術なのでしょう。
「高速道路催眠現象」などが良い例です。
過剰すぎる情報(景色)から、脳の混乱を避けるため、
外周辺の情報(景色)を排除し、視野を狭く(主に前方の車)する。
脳は過剰な情報処理を、省エネモードにするため、
結果、眠くなる。
脳の、自主的な「働き方改革」だと思います。
この「働き方改革」が上手くいかないと、
心身に不調を招くのかもしれません。
不調を未然に防ぐ機能なのかもしれません。
しかし「高速道路催眠現象」に関しては、
脳の働き方改革が裏目に出ている気がします。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
> 「高速道路催眠現象」に関しては、
> 脳の働き方改革が裏目に出ている気がします。
これもまた面白い視点ですね。
本来は目まぐるしく変わる情報を正常に処理させるために一旦脳を休ませるよう惹起されたはずの情報が、
その目まぐるしく変わる情報の中に高速走行中という自然界では起こり得ない状況が加味されてしまい、超危険状態にあるにも関わらず身体は本能に従い眠くなってしまうというパラドックスとなっています。
ここから過度な人為はヒトを危険にさらすという教訓を学ぶことができますね。
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