身体はめぐるもの
2013/12/14 00:01:00 |
漢方のこと |
コメント:12件
糖質制限をしていると排泄機能に変化を感じます。
排泄機能とは、発汗、排尿、排便などのことです。
私個人の経験を語りますと、糖質制限前も後もよく汗をかきます。
ただ前はいわゆる汗ばむような塩気のする感じな不快な汗でしたが、
後ではサラサラ汗をかくといった印象です。
排尿に関しては、私は排尿回数が多くなったような気がします。
しっかり測っていたわけではないのであくまで印象ですが、いつもしっかりと尿を出している感じです。
排便については多少波がありますが、基本的にはしっかりとした形のある便が1~2日に1回出ることが多いです。
全体としてみると「排泄機能が活発に働いている」、そんな感じがするのです。 最近AGEとかアミロイドとか不要な蛋白質の存在が注目されていますが、
不要なものを排泄する、ということは恒常性を維持する上で大切なことだと思います。
それはあたかも、掃除・ゴミ捨てをきちんと定期的に行っている人の部屋がいつもきれいであるかの如くです。
また全く話が変わりますが、漢方に「気血水」という概念があります。
漢方独特の概念ですが、あえて言い換えるならば
「気」は生命エネルギー、「血」は「血液とそれによって運ばれる栄養」、「水」は「体液全般」を指します。
漢方では気のめぐりが悪くなることで、血と水にも悪影響が及ぼされるとの考え方があります。
例えば気のめぐりが悪いと元気が出なくなったり、声が小さくなったり、
血のめぐりが悪いと手足が冷えたり、しびれたり、頭痛がしたり、女性だと生理不順になったり、
水のめぐりが悪いと口が渇いたり、手足がむくんだりする、といった具合です。
「気血水」のどれが足りないのか、あるいはどのめぐりが滞っているのかを患者さんの様子や症状から判断して、
それに応じた漢方薬を選択するというわけです。
一方で糖質制限は精神に影響を与えます。
そして糖質制限を行うことで循環が改善し、冷えやむくみがとれます。
そして今回感じた排泄機能が高まるという現象。
「気血水」だけだと胡散臭く感じてしまうかもしれない理論ですが、
糖質制限の効果と併せて考えるとあながち間違っていないような気もしてきます。
はるか昔、まったく科学のない時代から出発した漢方の理論が、
数千年の時を経て一つの形に融合しつつあるような不思議な感覚を覚えます。
そして、その事がヒトとして向かうべき方向性を教えてくれているような気がします。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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糖質制限気になること
糖質制限をしてから今年の冬は全く冷えを感じなくなりました。いつもなら秋頃から寝る時は湯タンポが欠かせず春先まで(真夏以外はほとんど年中です)使用していたのが、今年は気づけばもう12月です、、湯タンポがなくても足はいつも暖かいです。
ただ、最近気になることがあります。
1.食後しばらく喉がとても渇きます。タンパク質をとりすぎると水分が欲しくなるのでしょうか?味付けはほとんどせず、素材の味を楽しんでいます。
2.糖質制限でチーズをすすめておられる先生がいますが、逆にチーズはカルシウムとマグネシウムのバランスが悪く浮腫やすく痩せにくいといわれる先生もいらっしゃいます。たがしゅう先生はチーズの栄養バランスについてどう思われますか。
3.毎日卵や乳製品をたくさんとっていると遅延型アレルギーになるとも聞きました。
糖質制限ではアレルギー改善するという意見もありますが、先生は遅延型アレルギーについてはどう思われますか。
お忙しい中、長々と大変申し訳ありませんが、宜しくお願いいたします。
発想が凄い!
またまた「一人抄読会」より・・・
「腸内細菌叢は自閉症スペクトラム障害の行動異常・生理的異常を調節している」
http://syodokukai.exblog.jp/20091592/
マウスでの結果ですが、こういう発想、凄いと思います。
やはり、なかなか難解ですが・・・(笑)
Re: 糖質制限気になること
御質問頂き有難うございます.
冷え症改善,良かったですね.私も糖質制限始めて冬は大分過ごしやすいです.
御質問についてですが,
> 1.食後しばらく喉がとても渇きます。タンパク質をとりすぎると水分が欲しくなるのでしょうか?味付けはほとんどせず、素材の味を楽しんでいます。
「口渇」のメカニズムには浸透圧が関わっています.
恒常性を保つために浸透圧を一定にしておくことが重要です.血液の中の浸透圧が高いと,それを薄めるために水が必要なので,のどが渇くというわけです.
その浸透圧は「2×Na (mEq/L)+ グルコース(mg/dL)/18 + BUN(mg/dL)/2.8」という式で計算できます.
蛋白質を摂りすぎるとBUNが上がりますので,高タンパクは一つ口渇の原因になっている可能性はあると思います.その他は塩分の取りすぎ,あと糖尿病(高血糖)の人が口渇があるのもこれで説明できます.
> 2.糖質制限でチーズをすすめておられる先生がいますが、逆にチーズはカルシウムとマグネシウムのバランスが悪く浮腫やすく痩せにくいといわれる先生もいらっしゃいます。たがしゅう先生はチーズの栄養バランスについてどう思われますか。
チーズは超低糖質なので優秀な食材だと思います.
チーズにはカルシウムが多いということですが,マグネシウムが全くないわけではありませんし,それほど栄養的に問題があるとは思いません.
またチーズに限らず一つの食材ですべてをまかなおうと考えてしまうと,それは栄養バランスが悪くなってしまいますので,いろいろな低糖質食材をバランスよく食べるのがよいのではないかと思います.
> 3.毎日卵や乳製品をたくさんとっていると遅延型アレルギーになるとも聞きました。
> 糖質制限ではアレルギー改善するという意見もありますが、先生は遅延型アレルギーについてはどう思われますか。
遅延型アレルギーについては日常診療の中で調べないので正直よくわかりません.おそらくものすごく見過ごしてしまっているのだろうとは思います.
ただ「毎日卵や乳製品をたくさんとっていると遅延型アレルギーになる」というのは,高糖質社会での話であり,糖質制限をベースとした食事ではまた変わってくると思います.
実際,糖質制限を続けて遅延型アレルギーが改善してきている方の話を聞いたことがありますので,卵や乳製品でアレルギーにつながるというのは必ずしも正しくないと私は思います.
Re: 発想が凄い!
貴重な情報を頂き有難うございます.
> 「腸内細菌叢は自閉症スペクトラム障害の行動異常・生理的異常を調節している」
> http://syodokukai.exblog.jp/20091592/
これ興味深いですよね.「腸が脳を支配している」とでも申しましょうか.
さらに日々裕々というサイト(http://sansetu.exblog.jp/21631324/)で次のような論文も紹介されていました.
•極端な食事は腸内細菌を速やかに変え得る
ScienceNOW
Extreme Diets Can Quickly Alter Gut Bacteria
11 December 2013
http://news.sciencemag.org/biology/2013/12/extreme-diets-can-quickly-alter-gut-bacteria
そうすると脊髄小脳変性症を克服された森美智代さんが青汁だけで生活できるようになったのに,腸内細菌叢の変化が関わっている可能性も示唆されます.
ヒトが苦境に立たされた時に発動するメカニズムには,我々の想像をはるかに超えるものがあります.非常に興味深いです.
管理人のみ閲覧できます
Re: 毎回毎回 勉強になります
コメントを頂き有難うございます.
体調の改善良かったです.こちらこそ今後とも宜しくお願い申し上げます.
先生のおかげで糖質制限に対しての不安がすっきりしました。
何より長年悩まされていたひどい冷え性が改善されてることに自信を持って、これからも健康のために糖質制限を続けていきます。
先生のブログはとても励みにもなります。
今後も宜しくお願いいたします。
ありがとうございます。
先生のおかげで糖質制限に対しての不安がすっきりしました。
何より長年悩まされていたひどい冷え性が改善されてることに自信を持って、これからも健康のために糖質制限を続けていきます。
先生のブログはとても励みにもなります。
今後も宜しくお願いいたします。
No title
動物性脂肪で参考になるのはなんといってもフレンチパラドックスではないでしょうか?アメリカ人よりフランス人のほうがたくさん動物性脂肪を摂取してるのに肥満も血管性疾患も少ないわけです。なんせフランス料理といえば脂っこい食事の総本山ですから。
いくつ論拠はあるのですが、チーズのような発酵食品はわが国の味噌のようなものでけっこう馬鹿に出来ないパワーがあるんじゃないか、と思います。特に臭ければ臭いほど、ブルーチーズや納豆みたいな他国民からすると二の足を踏むようなものほど。
どうしても気になるようでしたらオリーブオイルはどうでしょうか?自分の持病のハウスダストアレルギーもオリーブオイルを摂取するようにしてからさらに良化した気がします。
Re: No title
貴重な御意見、また御経験を教えて頂き有難うございます。大変参考になります。
遅延型食物アレルギーについて
遅延型アレルギーの原因は 未消化(つまり抗原になりうる形を維持したまま)たんぱく質が 腸の粘膜細胞の隙間から入ってしまうために起きると考えられています。通常の消化吸収経路ではない入り方をする時が問題です
胃腸が健常の方が糖質制限食を開始する際にはあまり気にしなくてもよいのですが、低血糖症がきっかけで糖質制限食を開始した方やピロリ菌感染がある方は注意が必要です。同じものを繰り返し食べないで出来るだけバリエーションを作った方がよいと思います。
糖質摂取の有無と遅延型アレルギーに関しては次のような仮説を持っています。
胃や腸の粘膜の状態は たんぱく質やビタミン、ミネラルの摂取量のほか腸内細菌も関係しています。糖質過多の時期にはカンジダなどの有害菌が増やすいこと、腸粘膜の強化に必要なビタミンAやグルタミン、亜鉛などの摂取量が少ないことなどからより脆弱な腸粘膜になりやすいようです
ですから 糖質制限前に自分の胃腸の状態が悪く、開始してからも何か不調がある場合には遅延型アレルギーを予防する注意をされたらいかがでしょうか?
日本でも複数の医療機関や施設で遅延型食物アレルギー検査を受けることが出来ます(自己負担です)
Re: 遅延型食物アレルギーについて
貴重な情報を頂き誠に有難うございます。
糖質制限導入がうまくいかない人にはそのようなパターンもあるのですね。
対策としてはただ慣れるのを待つだけではなく、
食品のバラエティを増やす、慢性胃炎の原因となるピロリ菌の有無チェック、そして遅延型アレルギーの有無を確認する、という事ですね。実践的な御助言で大変勉強になります。
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