糖質制限とストレスマネジメントの共通性
2017/12/17 00:00:01 |
糖質制限 |
コメント:7件
ストレスをマネジメントするために適切に休む必要性について触れましたが、
この話を糖質制限に対して応用してみます。
ここでストレスを糖質摂取、休むことを絶食に置き換えて考えてみますと、
糖質摂取によるトラブルをマネジメントするためには適切に絶食すべし、という方向性が見えてきます。
そして休む間もなく働き続け、あるいは気を遣い続け、
ストレスを溜め込んで身体に無理をさせてしまいやすい現代社会と同じように、
適切に絶食することができなければ、糖質摂取の影響が蓄積して身体のトラブルが起こってしまいやすいということだと思います。 糖質制限を実行する際の難しさは、ストレスマネジメントの難しさと共通するところがあって、
物理的にそれを実行することは可能であっても、社会の既成概念がそれをさせにくくしている側面があると思います。
ストレスマネジメント実行の壁については前記事で触れた通りですが、
糖質制限に関しては、例えば「3食きちんと食べないといけない」とか、「朝食を抜いてはいけない」とか、
「ブドウ糖は脳のエネルギー源だ」とか「腹が減っては戦はできぬ」とか、
適切に絶食することを難しくさせる様々な社会的、文化的な壁があります。
だから普通に社会のしきたりに従い、秩序を構成している大多数の人々にとって糖質制限の実行は難しいし、
同様にストレスマネジメントも難しいので、いじめや過労死、あるいはストレス関連疾患はだからこそなくなっていかないのだと思います。
その上で糖質制限やストレスマネジメントにどう取り組むかということですが、
ひとつは身体の声にきちんと耳を傾けるということです。
きちんと身体からのメッセージに従っていれば、
基本的に食べたくない時は食べないし、休みたい時は休みたくなるように身体は仕向けられるはずです。
ところがここで立ちはだかって来るのがドーパミンです。
ドーパミンが強制刺激される要素があれば、身体は無理を押してでもその事柄に取り組もうとします。
私はかつて糖質過剰摂取時代に、食べ過ぎでお腹いっぱいで呑酸まで自覚している状態においてもまだ糖質を摂取しようとしていた経験がありますし、
何か夢中になる事を夜通しやり続けて翌日の仕事にまで影響した経験は誰にでも多かれ少なかれあるのではないでしょうか。
そんな状態ではとてもではありませんが、身体からのメッセージを正しく受け取ることはできません。
糖質制限をして初めて中毒性が抜け、それまでがドーパミンに踊らされていた事に初めて気づきますし、
夢中になる事を無理にでも止められないと、自分が疲れていることさえ自覚できなくなってしまいます。
もうひとつ大事なことは既存の体制や既成概念を、自分の中でいかに崩していくかということが鍵です。
例えば「食事は1日3食食べる必要はない」「脳はブドウ糖もケトン体も利用できる」などといった考えを自分のものにしていくことです。
ここで気をつけなければならないことは、「従来のやり方と共存させようとしない」ということです。
食事のことで言えば、糖質制限とカロリー制限を両立させようとしてはいけないということです。
糖質の摂り過ぎがよくないということは分かった、でもカロリーの高い脂肪も摂り過ぎるとよくないから鶏のササミで」という考え方で糖質制限に取り組んで、
栄養代謝が回せなくなって糖質制限に失敗するというケースは、あまり勉強せずに糖質制限に取り組む一般人によく見られるパターンです。
その失敗の根源的な原因は既存体制との共存、言い換えれば言われたことを鵜呑みにして頭の中の概念を修正しようとしない怠慢性です。
ストレスマネジメントについても同様で、
仕事は頑張らなければならない、友達にも気を遣い続けなければならない、
でも適切にも休まなければならないと、無理矢理休むのはまさに糖質制限とカロリー制限を同時に行う愚行と共通構造を持っています。
そもそも仕事を頑張らなければいけないのか、本当に友達に気を遣わなければならないのか、
その自分の中での概念を見直して作り直さない限りは、適切に休む時間は捻出できないということです。
「身体からの声」と「概念の再構築」
この2点に注目することが、人為的な社会をうまく生き抜くためのコツであるように私は感じています。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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会社という虚像
参考になるかわかりませんが、最近の話題で、SNSラインの送信取り消し機能がついたというとある記事。
12月13日 ITmedia, Inc.記事抜粋)
➡LINEの社員は、LINEを使って仕事をすることが多々ありますが、上司など多数の者がいるグループで仕事のやりとりをしているなか、突如誤ってプライベートのLINEを送ってしまった、という社員は複数います。結果、仕事上で培ってきた自身のキャラクター形成に影響があったと聞いています。社員の中でも「送信取消」機能を歓迎する者は多いのでは、と予測します
私にはこの社会概念にも違和感を感じます。
「キャラクター形成に影響があった」という事は、会社とプライベートでキャラクターが違うという事でしょうか。
場所や状況で人格を使い分けて生きる世の中は、それはストレスを感じずにはいられないでしょう。
社会とプライベートと人との関係を築くには、作られたキャラクターなんかでは見透かされます。
幼いころからの地道な人間形成で勝負できる社会が、ストレスを感じない生き方を創出するのではないでしょうか。
先ほどの記事の状況においては、「誤送信しても送り手受け手が笑いあえる社会」でなれば、ストレスにならない社会と言えるのでしょう。
話が脱線気味で申し訳ありません。
Re: 会社という虚像
コメント頂き有難うございます。
> 場所や状況で人格を使い分けて生きる世の中は、それはストレスを感じずにはいられないでしょう。
なるほど。大いに関係がある話題と思います。
言われてはじめて気がつく無意識のストレスのひとつだと思える人も多いのではないでしょうか。
間違ってもありのままの自分で勝負できる心の勇気は持っておきたいものですね。
糖質を食べると止まらなくなるし、
ストレスも溜め込んでしまってるなぁって振り替えることができました。
Re: タイトルなし
コメント頂き有難うございます。
少しでも何かのお役に立てれば幸いです。
No title
糖質制限が一時のブームでなく具体的な結果につながる(=身体的、精神的健康維持増進)事を感じれば失敗する例は少ないように思っています。
私自身も身体ですばらしさを感じたから続いています。そして誰に何と思われても貫く事に変わりありません。
昼食は食べない。時に朝昼食も抜く。糖質制限をベースに不食を取り入れると体調が良いのです。これは実感していないヒトに説明をするのが難しいかもしれません
若い頃からヒトの意見に流される事が嫌いで自身が良いと思えば徹底していました。その感覚が糖質制限の質を追求する基本になっているように感じています。
夏井先生の御著書と先生のたがしゅうブログが無ければ自身で糖質制限の良さを実感できなかったかもしれません。
しかし素晴らしい食事法であっても、常識の壁が邪魔して理解できないヒトにはわからない事も感じています。そのような場合、無理にわかってもらおうと思いません。家族の場合、難しいケースもありますが。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
明らかに糖質制限した方がよいと思われる人にいくら言っても伝わらない時は歯がゆい思いがしますね。
しかし未来は誰にもわかりません。希望を捨てずに地道に伝え続ければ事態を打開できる日が来ないとも限りません。諦めず、一歩一歩ですね。
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