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老衰か否か

category - 普段の診療より
2017/ 12/ 14
                 
どんな薬にも反応せず、薬を飲むのを拒否される進行期認知症の患者さんの話をしましたが、

こういう状況を見ると「老衰」という言葉が頭をよぎります。

しかし老衰というのは基本的には結果論であって、

後から見ればこれは老衰だったと思い返せることであっても、

その状態を何とか改善させようと努力している時には老衰とは考えずに考えられる治療選択肢を探しています。

その段階で老衰だと判断してしまえば、それはともすればあきらめとも捉えられかねません。
            

私は上記のような消耗疲弊の病態にも、

できる限り立ち向かおうと主には漢方薬を使って事態を打開しようと努力しています。

しかし、どの漢方薬で治療しても反応がないという時に、

それは自分の漢方の腕が不十分なのか、

それとも誰が何をしてもどうにもならない老衰状態なのか、

分からずに悩むことがあります。

しかし少なくとも私の漢方の処方技術はまだまだ未熟で改善の余地があることは紛れもない事実です。

改善の余地がある以上はできる限り老衰のせいにせずに最期の最期まで改善の可能性を模索するべきだと思っています。

それでも何をやってもうまく行かない現状を目の当たりにすると、

やはり老衰なのではないかという考えが頭をよぎってしまう弱い自分がいるのも事実です。

老衰を逃げ文句にしてはいけないと思う自分と、

老衰を理由にあきらめたくなる自分との狭間で、

いつも揺れ動きながら老年期医療と向き合っています。


たがしゅう

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コメント

非公開コメント
        

高齢の方の医療に真摯に向き合ってくださり、心から尊敬し感謝致します。母が亡くなった時、急性期病院から療養型病院への転院に際し、申し送りに齟齬があり、結果母にしわ寄せがいったりもしました。認知症が進み言葉が出にくくなってましたが、私の願いは、本人の不快を少しでも軽くしたいのみだったと思い出しています。
Re: タイトルなし
T さん

 コメント頂き有難うございます。

 医療機関の連携ミスで御本人・御家族の本意でない事が行われるのは極力避けたいものです。
 御本人・御家族の気持ちが置き去りにならないよう引き続き心掛けて参ります。
老年期医療は、難しいとつくづく思います。
年齢があがるにつれて体力が衰えていきますね。
元気で長生きしてほしいですが、老衰は薬でも解決できないし難しいですね。
食欲があれば、長生きするような気がします。(^O^)

Re: タイトルなし
瀬川里香 さん

 コメント頂き有難うございます。

 一方で食欲が偏った方向に強く出て軌道修正ができない場合もあります。糖質中毒はその典型です。
 食欲がなくなる消耗疲弊、食欲が出過ぎる過剰適応、いずれも本来の状態に是正すべき治療対象と思います。