2017年12月9日糖質制限を語る会 in 鹿児島の御報告
2017/12/11 00:00:01 |
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コメント:10件
2017年12月9日、週末の土曜日に第3回目となる「糖質制限を語る会 in 鹿児島」を開催致しました。
今回は初の試みとして、本家豚皮揚げを食べる会へ参加された事がある方ならわかると思いますが、
今までのように飲み屋の一席を利用するのではなく、フリーに使えるレンタルスペースを借りて、
そこで料理や飲料を持ち込んで自由に語らい合うというスタイルで執り行いました。
最終的に私を含め11名の参加者の方に集まって頂き、普段周りには言えない糖質制限にまつわる悩みや疑問について熱心な議論や相談が繰り広げられました。
嬉しいことに参加者の中にはリピーター参加して下さる方もいましたし、
関東や関西といった遠方からわざわざ来て下さった方もいて、幹事としては嬉しい限りでした。 ただ少し寂しかったのは地元鹿児島からの参加者が少なかったということです。
年末多忙な時期だったり、私の告知努力が足りなかったという事もあるかもしれませんが、
ひょっとしたら鹿児島の人達の県民性も少しは影響しているかもしれないと思いました。
鹿児島に来て約8ヶ月が経過しましたが、基本的に鹿児島の人達の温かさは大好きなのですが、
ちょっと保守性の高さを感じる所が正直あります。例えば方言や食事など独自の文化が形成されている側面がありますし、
地元の良い所を対外的に積極的にアピールする姿勢が弱い(鹿児島には面白い観光所や穴場スポットが結構たくさんあるのに)などという所からそのように思うのです。
「糖質制限を語る会 in 鹿児島」のような誰が集まって来るかわからず、何が起こるか不透明な会に参加しようと思う人はおのずと少なくなりやすいのかもしれません。
しかし私はそうした事態を悲しみはしません。ありのままを受け入れますし、「急がば回れ」ということわざもあります。
そうした人達へも糖質制限を伝える機会を作るにはどうすればよいかこれからも考え続けます。
さて、11名の参加者の中には、糖質制限をやりたくてもなかなか実践に移せないと悩む方や、
プチ糖質制限やスタンダード糖質制限などそれぞれの生活状況に合わせてストレスフリーを重視し糖質制限に取り組む方、
はたまた自身の病気のコントロールのため、糖質ゼロ食などの厳格な糖質制限を実践している方まで立場は様々な方がいらっしゃいました。
中に女性の参加者で「糖質制限によって体調は良くなったが、便秘が新たに出現し2年続けてもそれが解消しない」という悩みを打ち明けて下さった方がいらっしゃいました。
通常、糖質制限を始めて便秘が起こる事はその人の体質によっては起こり、時々観察されることですが、
多くの場合は一過性で再び通常の排便ペースに戻ることが多いのですが、この方の場合はそうではないというのです。
ところがよくよく聞いてみると、その方の中で「便は毎日1回は必ず出なければならないもの」という固定観念があり、
しかもタイミングの悪い事にその方の友人で難治性便秘があり、それをきっかけに大腸がんが発覚したという出来事があって、
毎日出ない便秘状態を非常にストレスフルに感じておられ、この便秘問題に強い関心を持ち解決策を求めておられる状況でした。
そんな中、別の女性の参加者から「私は糖質制限をしながら3日に1回くらいの排便ペースですが、何も困ったことはありませんよ。」との発言があり、質問された女性参加者の方ははっと思われたみたいです。
スーパー糖質制限をしていれば消化吸収が良い肉や魚がメインの食事であり、
便塊を形成する食物繊維や炭水化物の類は極小となるので、そもそも便が作られにくくはなるのであって、2~3日に1回便が出るのが普通という状況は十分ありえるわけです。
「必ずしも毎日便は出なくてよい」と考えることが、その女性参加者の方にとって有効なストレスマネジメント法だと言えます。
その方策が語り合いの中で導かれてよかったですし、他の参加者の皆さんにとっても有意義な情報提供となったのではないかと思います。
有意義と言えば今回は、参加者の中でミニプレゼンを希望する方を募るという初の試みも行いました。
まず私が「偉人から学ぶ糖質制限」というテーマでパワーポイントを用いた発表をさせて頂きましたが、
私以外に2名の参加者の方がミニプレゼンを行って下さり、これからの可能性を感じる有意義な時間となりました。
1人は医師の先生でパワーポイントを使われず口頭で御自身の糖質制限指導経験から胃蠕動がブドウ糖投与でピタッと止まる糖反射の話や、亜鉛欠乏症の重要性、そして塩分制限の嘘に関して私見を交えて語って頂きました。
またもう一人は非医療関係者の方で、糖質制限を始めて感じた自分の身体の変化を60項目ほどプリントにまとめて順番に語って頂きました。
それが普段自分は意識していないけれど、言われてみれば確かにと思うような事も多く紹介されて、参加者の皆さんからも多くの共感が寄せられました。
私がこのお二方の発表を聞いて思ったのは、
「パワーポイントを使わない発表の価値」と「一般の人が語る経験のメッセージ性の強さ」です。
私は今まで当たり前のように発表をする時にパワーポイントを使うことを前提で考えていましたが、
今回二人のパワーポイントなしの発表を聞いて、発表者の方の言葉に集中している自分に気付きました。
考えてみればパワーポイントは画面に映る文字や映像情報に気を取られ、耳から聞かれる情報への集中力がそがれる側面がありますが、
始めからパワーポイントを使っていない状態であれば、耳からの情報により集中することができます。
盲目のピアニスト、辻井伸行さんが生まれつき視覚情報が使えない中、聴覚を常人以上に発達させていったのと同様に、
パワーポイントを使わない発表は聴衆の聴覚へ情報を集中させやすい状況を作ることができるというわけです。
またプレゼンテーターの立場で言えば、慣れた発表でないとパワーポイントの文字情報がそのまま講演原稿の代わりとして使われる側面があって、
それを読むだけの発表になりがちで、読むプレゼンは魂を込めにくいのでその点でもパワーポイントなしのプレゼンの方が上手です。
一方でこうした発表は医師のような肩書がある人しかできない、あるいはやっちゃいけないような考えがある人も多いかもしれませんが、
今回、一般人で非医療関係者の方が話して下さった内容が、思いのほかと言っては失礼ですが、非常に盛り上がり、
同じ立場の一般参加者の心に響くという場面も見受けられました。
私がしゃしゃり出るよりも、もっと一般参加者の方々にもパワーポイントとかなしでいいから、
自分が今までに抱えている思いとか、自分にしか話せない経験、問題提起など自由に語ってもらう場を作ることは大きな意義があるのではないかと可能性を感じた次第です。
プレゼン時間も定めず、3分でも5分でもいいから想いの丈がある人は存分に語って頂く、
そういう場を今後も作っていきたいと私は思いました。
試行錯誤を経て、参加者の皆様のおかげもあって当会は発展してきています。
来年も同様の企画を考えていきたいと思っておりますので、
皆様の御参加を心よりお待ち申し上げます。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
行きたかったです
前回の「会」に出席させていただき、今回も参加したいと思っていたのですが、仕事等の都合で欠席となりました。
少人数とはいえたがしゅう先生の幹事として、いろいろと準備が大変でしたと思います。いつか、お手伝いをさせていただければと思っております。
自分は豚皮を揚げる会に参加したことがあるのですが、あの雰囲気を作り出すのはかなり大変だと思います。かといって、不可能ではないでしょうね。
前回の「飲み会」のような会も自分は好きですし、たがしゅう先生らしい「会」をしていただければと思います。
次回も楽しみにしておりますので、早目の告知をお願いします。
Re: 行きたかったです
コメント頂き有難うございます。
> たがしゅう先生らしい「会」をしていただければと思います。
そうおっしゃって頂き有り難い限りです。
豚皮揚げを食べる会はロールモデルですが、
そこから発展して何か新しいことへつながっていけばとも思っています。
御都合の許す限りで御協力頂ければ嬉しく思います。
お疲れ様でした
長らくプレゼンテーションをする場を作りたいと強く思っていました。立場が違うと見えるものが違う。自分の知識は自分にとっては「当たり前」になっちゃってるんだけど、他の人からみたら驚きに満ちた知識だったりします。お互いに知識を「補完」することで新しい見地が開けるように思います。医療者かどうかは問題ではない。その人にしか語れないものって必ずあると思うのです。それに、プレゼンテーションをするためにはある程度勉強したり、自分の考えをまとめなくてはなりませんので、プレゼンターもまた、知識を深めることができます。でも、「堅苦しい会」になりすぎても面白くないのでそのへんのさじ加減が難しいですね。
まだまだこちらも手探りです。またよろしくお願いいたします。
糖質制限されてるかたが全国から集まり、楽しい話が聞けて、刺激になりました。
糖質制限してみようと気持ちがワクワクになりました。
ありがとうございました。
今日から早速糖質オフを心がかけた食事に
してみました。
まだまだいろいろ学びたいのでよろしくお願いいたします‼️
Re: お疲れ様でした
コメント頂き有難うございます。
プレゼンは充実度を高める鍵になりそうですね。
ただでさえモチベーションの高い参加者がプレゼンのために自分の知識を整理すればさらにレベルの高い会にしていけそうです。
さりとて初心者を置いてけぼりにしないために、プレゼンのハードルをいかに下げるか、いかに一般参加者の皆さんにしゃべってもらうようにするかが鍵なのではないかと今は思っています。
Re: タイトルなし
コメント頂き有難うございます。
> 糖質制限してみようと気持ちがワクワクになりました。
そのように言ってもらえて嬉しいです。是非とも本来の姿を取り戻してもらえたら、この活動をやっててよかったと心から思えます。応援しております。
「偉人」とは?
「偉人から学ぶ糖質制限」を話されたそうですが、「偉人」とはどのような人物でしょうか?
Re: 「偉人」とは?
コメント頂き有難うございます。
> 「偉人から学ぶ糖質制限」を話されたそうですが、「偉人」とはどのような人物でしょうか?
Wikipediaの方には「歴史に遺るような、並外れて優れた人間のこと」と書かれていますが、
私的な定義は「人生を生きていくために大切な事を感覚的にわかっていた人達」です。
故人だけではなく、現代に生きる人々の中にも私が偉人だと感じる人は本ブログでも紹介するように努めております。
No title
皆さんの話も興味深く、とても楽しい会でした。
先生のコメント読んで、自分の排便ペースの理由に納得いたしました。食べる量も少ないし、体が不要と思えば出るだろうと深く考えもしていませんでした。排便しかり、嘔吐や下痢、鼻水等々様々な方法で要らないものは体外に排出してくれるはずと自分の体を信じていたのだと思います。体の声を聞きながら、自分のペースで皆がそれぞれでいいのだと改めて思いました。
「主治医は自分」先生のこの言葉に日々支えられています。
ありがとうございました。
次回も参加したく思っております。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
喜んで頂けたようで何よりです。
現状に甘んじることなく、より良いものにしていくためにどうしていくべきか、今後も考え続けていきたいと思います。
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