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医者任せのパーキンソン病は良くならない

category - 素朴な疑問
2017/ 12/ 02
                 
私は神経内科医でかつ糖質制限推進派の医師です。

酸化ストレスのリスクを減らし、神経変性の進行を食い止める事ができる糖質制限食が、

パーキンソン病をはじめとした神経変性疾患の治癒・寛解に向けて大きな手がかりとなる可能性を感じています。

ただ数々の臨床経験を経て、単純に糖質制限食を導入するだけでは全くと言っていいほど神経変性疾患には立ち向かえない実情も分かってきました。

特にパーキンソン病に関して言えば、現時点で糖質制限を治療法とする風向きは全くと言っていいほどありません。

海外文献ではパーキンソン病に対してケトン食が有効であった事を示す少数例の症例報告はありますが、到底メインストリームではありません。
            

また糖尿病であれば糖質制限を行う意義は医療素人の方でもわかりやすいと思いますが、

パーキンソン病の場合は、酸化ストレス軽減、ミトコンドリア機能改善などの見えないメリットを実践者が感じられるかどうかが最初の壁となります。

神経変性という現象は顕在化した時点でかなり根深い酸化ストレスなどの傷害が蓄積されているものなので、

少々糖質制限を行った所で、すぐに症状が改善するという単純な話ではありません。少なくとも年単位の十分な糖質制限を行わないとその効果は実感できないであろうと推測します。

ところが私がパーキンソン病の人に糖質制限を勧めても、そこまで続けられる人は皆無に等しいのです。

それどころかむしろ糖質制限指導をストレスに感じられ、医師患者関係が悪化してしまうケースすらあります。

短期間では効いているかどうかわからない今までやったことのない食事療法に、患者さんは業を煮やしてしまわれるのではないかと思い、

最近ではパーキンソン病の患者さんには緩やかな糖質制限食レベルの指導を行うのが関の山です。

一方でパーキンソン病の患者さんはストレスマネジメント不足の人が多いという事を以前考察しました。

おそらくは生活の中で様々な事情で無理をして抱えたストレスをうまく処理できず、真面目に頑張り過ぎた結果パーキンソン病に罹患してしまった人も多いのだと思いますが、

裏を返せばそれは、自分でのストレスマネジメントができていないことの裏返しです。

そして自分でマネジメントしない姿勢は、病気を何かのせいにしたり、治療を他者へ依存する姿勢へとつながります。

同じ糖質制限を行うのでも、自分から進んで行うのと、誰かにやらされるのではストレスマネジメントの観点で雲泥の差です。

パーキンソン病患者さんにおいては、思考パターンが自分で決断して行うという方向に行きにくい人が多いのではないかと思います。

自分で決めていないからこそ糖質制限の継続にストレスを感じてしまうのではないでしょうか。

従って、パーキンソン病患者さんに糖質制限をこちらから強制する事は禁忌に近い行為なのだと今は感じています。

ここではパーキンソン病を例に挙げましたが、おそらく他の神経変性疾患にも多かれ少なかれそのような構造が当てはまるのではないかと考えています。


夢みたいな話ですが、いつか私が入院可能な病院を立ち上げて、

完全糖質制限食を導入し、治療を諦められた神経変性疾患の患者さんを積極的に受け入れて、

糖質制限ベースで病気を快方に向けていこうとする計画を構想していましたが、

そんな病院を建てたところで意味はないという事に気付きました。

なぜならばそんな病院があったところで、

患者さんはその病院へ「病気を治して下さい」と他者依存的に懇願し、

自分のストレスマネジメントを放置した状態で訪れるリスクが非常に高いからです。

そのような状態だと、いくら完璧な糖質制限食が提供できたとしても永続できないし、長期戦ともなればいつかはストレスを抱えます。

糖質制限とストレスマネジメントがうまく組み合わさって初めて神経疾患に立ち向かえるというのが現時点での私の考えです。

パーキンソン病を治してくれという人に私は積極的に糖質制限を勧めません。

糖質制限で病気をコントロールしたいと自ら希望するパーキンソン病患者さんを私は積極的にサポートします。


たがしゅう

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コメント

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ワクチン
いつもお世話になっております。

いきなりタブーに近いと思いますが、重金属を含むワクチンと神経変性疾患との関係はどうお考えでしょうか。私はここ数年来ワクチンは受けておりません。70歳の高齢者です。
Re: ワクチン
医原病 さん

 御質問頂き有難うございます。

> 重金属を含むワクチンと神経変性疾患との関係はどうお考えでしょうか。

 重金属については関心がありますが、十分に語れるだけの知識・経験はまだございません。
 しかし例えば鉛中毒や有機水銀中毒では重篤な神経症状を呈する事はよく知られています。充分に検討の余地がある課題だと思います。ただワクチンの是非についてはまだ自分の中で十分に消化しきれていないというのが正直な所です。引き続きいろいろな情報を元に自分の頭で考えていきたいと思います。