弱い人間だからこそ

2017/12/01 00:00:01 | 偉人に学ぶ | コメント:0件

今年2017年のノーベル経済学賞を受賞された行動経済学の権威、リチャード・セイラー教授ですが、

実はノーベル賞を受賞されるずっと前に、私が大好きな相田みつを美術館に訪れていた事があったそうです。

先日私が相田みつを美術館に訪れた際に、その事が紹介されていました。

セイラー教授から見ても、相田みつを先生の詩から考えさせるところがあったようです。

日経ビジネスオンライン
行動経済学の本質、それは「にんげんだもの」にあった!
リチャード・セイラー米シカゴ大学教授が語る新著と「相田みつを」
広野 彩子
2009年10月6日(火)

(以下、記事より引用)

セイラー 日本に来て、すぐ相田みつを美術館に行ってみたのです。

もちろん初めての経験でした。彼の残した書の言葉は実に素晴らしく、心を打たれました。

印象に残ったのは、“しあわせはいつもじぶんのこころがきめる”というフレーズと、“にんげんだもの”です。行動経済学に通じるものがあります。

(中略)

伝統的な経済学では、人は合理的で、常に最適な選択をすると仮定して理論を構築してきました。

経済学に登場する「人」は、常に感情に振り回されず、とても抑制が効いて判断を間違えず、飲みすぎて二日酔いになることもない。

でも、行動経済学が考える「人」は違います。感情に振り回されることもあるし、しょっちゅう判断を間違える。時には飲みすぎて二日酔いになる。

人間には「心」があるのですから、仕方ありません。まさに「にんげんだもの」ですよね

(引用、ここまで)



相田みつを先生は書家・詩人であり、おそらく自分が行動経済学者だと思ったことはなかったでしょう。

しかし人間の本質を柔らかい心でありのまま見つめ続けた結果、行動経済学的な行動をとっていたという所が実に面白いではありませんか。

ヒューリスティックな人間の不合理さを如実に現している「にんげんだもの」、

そしてそんな不合理さを克服すべく、適切な人為を加えようとする意思が込められた「しあわせはいつもじぶんのこころがきめる

偉人達はそれぞれアプローチが違えど、最終的に同じような本質へと辿りついているように私には思えます。

例えば、当ブログでしばしば取り上げるアドラー心理学においても、「人は今この瞬間から幸せになる事ができる」と述べられています。

心の在り方によっていかなる状況でも幸せへの道を歩むことができるという事に偉人達は気付いているのです。

もしこの台詞を裕福な家庭に生まれ不幸の何たるかを知らないようなセレブが述べたのでは説得力がありませんが、

相田みつを先生にしても、アルフレッド・アドラー博士にしても、人生の中で厳しい時代がありました。

相田先生は大器晩成型で、書家として名前が売れて食べられるようになるまでに長い間貧しい生活を送ってこられたそうですし、

アドラー博士も幼い頃から身体が弱く、声帯痙攣、くる病、肺炎などに苦しんだ経緯があります。

そんな客観的に見れば不幸と思われる状況において見出された、心の在り方を人為的に変える行動経済学的着想なわけなので説得力があります。

弱い人間であることを認めた上で、それでもうまくやっていくために叡智を集め、

集合知として形成されてきたものが行動経済学であるならば、

これを学ぶ価値はおおいにあるように私は思います。


たがしゅう
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