湿潤療法公開実験結果
2013/12/12 00:01:00 |
モイストケア |
コメント:5件

湿潤療法人体実験のその後の経過です.
いやぁ,実際にやってみるとこういう実験って難しいものです.
というのも膝はやはりよく動く場所なので,しっかり固定したつもりでも被覆財がずれてしまうのです.
せっかく二つに分けて固定したのに,すべてはがれてせっかくの湿潤療法部位もそのまま乾燥させる形になってしまいました.
受傷は12月1日14時頃で,まず以下は12月3日朝の傷の状態です.

また今度は上半分にプラスモイスト,下半分をアット〇ン軟膏を塗布しました.やはりアット〇ン塗布部は後からじわじわチクチクする感じが襲ってきます.
今度はずれないようにテープの固定の上からさらにフィルムドレッシング剤で固定を補強しました.

12月5日朝の傷の状態です.

わずかに下の方が傷の治りが遅いようです.ただこの辺までくるとたいしてチクチクした感じも感じませんでした.
12月6日の傷の状態です.

もうアット〇ンの方も痛みを感じなくなったので,これにて実験終了としました.
実験方法に不備があった点は否めませんが,やはりアット〇ンには創傷治癒遅延作用と疼痛作用があることが確認できました.
ただこの結果は予想通りでしたが,それ以上にやってみて勉強になったことは,
関節可動域に受傷した傷の固定の仕方です.
私は内科医なので普段あまり外傷の治療を扱わないので湿潤療法を実践したのは久しぶりでしたが,
実際に自分でやってみて固定のやり方は相当工夫しないと意味がなくなるということがよくわかりました.
今後外傷治療をするに当たって注意しておかないといけないと思いました.
かの自動車会社,HONDAを創立した本田宗一郎氏は言いました.
「やってみもせんで、何がわかる」
湿潤療法も,糖質制限も一緒ですね.
たがしゅう
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プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
被覆材の固定
一度夏井先生から受け継いだ患者さんがいて、
プラスモイストがきれいに整形されていたのを見て、
感激しました。
私は大雑把なので、最後はご家族に丸投げして、
あとはよろしく、となります(^_^.)
被覆材切ったとき、張った時の写真て
なかなか載らないし。
いや、糖質制限からは話がはなれましたが、、、
Re: 被覆材の固定
いつもコメントを頂き有難うございます。
湿潤療法の基礎がわかっていても、実際には千差万別の傷がありますので、応用力を働かせて固定の仕方も傷に合わせて工夫していかなければならないのですよね。
私も夏井先生の外来を見学したときにいろいろな患者さんを診させて頂き、専任の看護師さんとともに処置の仕方を迅速に判断され、その固定の仕方を工夫されている様子をみて大変勉強になりました。
ただ今回自分でやってみて、まだまだわかっていない自分に気がつきました。
上達する方法に王道はなく、数こなして、いろいろ経験していくしかないのでしょうね。
ゲーベンクリームについて教えてもらえますか
ゲーベンクリームには息子の火傷のときに処方されて、何気に調べてみて、安易に使うのは怖い薬だなと思っていたのですが、、、
今回、私が湯たんぽによる低温やけどで皮膚科を受診。
足のくるぶしに大きな水疱ができました。
最初に水疱を破いて、バラマイシンを塗り、ガーゼと包帯で固定。
破いた水疱ですが、再び水疱となり、このままほっておく方が良いのではとも思いました。
当初から痛みも全くなく、ちょっと周りが痒くなってきていました。
ところが、今朝水疱が潰れてしまい、ちょうど受診日だったのですが、今日は皮膚を一部切り取り、ゲーベンクリームを中心部に、今までのバラマイシンはその周りに塗るように言われました。
切り取られたからか、ゲーベンクリームを塗られたからなのか、処置後、痛みます。
毎日入浴後にたっぷりゲーベンクリームを中心部に塗るように言われましたが、気になり色々調べていて、先生の記事にたどり着きました。
何かアドバイスがあれば教えてもらえますか?
通ってる皮膚科はこの辺りでは皮膚科が少ないこともあり、評判の良い皮膚科ではあります。
患者も多く、診察は数分で、ほとんど話をする間もない位忙しい先生ですが。。。
Re: ゲーベンクリームについて教えてもらえますか
御質問頂き有難うございます。
ゲーベンクリームに関しては、私に糖質制限を教えて下さった師である夏井睦先生のサイトに詳しく書いてありますのでそちらで「ゲーベンクリーム」とサイト内検索した情報も御参照下さい。
新しい創傷治療:http://www.wound-treatment.jp/
その上で私の理解している所で助言を申し上げるならば、
まず水疱膜が破れた時点で外気にさらされますので、乾燥による痛みを生じます。その痛みを防ぐためには湿潤環境を保ちつつ創を保護できる被覆材を用いる必要があります。例えば、デュオアクティブ、ハイドロサイト、プラスモイストなどの医療用被覆材などです。市販のものであれば、ハイドロコロイド包帯が比較的安価です。
実際に診察していないので断言はできませんが、もし私が診た場合は、まず水疱膜を残さないようきれいに除去した上で、その上から上述の被覆材を貼って、治るまで毎日交換し交換時に水道水洗浄をしてもらうよう指導すると思います。なお軟膏は一切使いません。
ガーゼは空気を通すので乾燥材的な側面があり逆効果です。しかしながら慣習的に古い医者を中心に使い続けられています。
またゲーベンクリームはクリーム基剤で界面活性剤を含むので細胞障害性があります。それを水疱の破れた面に塗るのはせっかく治ろうと頑張っている創面をかえって邪魔する行為であり、しかもものすごく痛みます。従って直ちに止めるべき薬のはずですが、これまた古い医者を中心に慣習的に使われ続けています。
そしてバラマイシンに関しては抗生剤入り軟膏ですがワセリン基剤なので細胞障害性はなく、塗って悪さをすることはないと思います。ただ破れた水疱膜がきちんと除去できていれば基本的に感染する事はありません。また抗生剤入り軟膏の抗菌効果は内服に比べて効果が乏しいので、悪さはせずとも不要な薬と思います。
近所で評判が良い皮膚科なのかもしれませんが、私から見れば残念ながらその皮膚科で行われている治療は「とんでもない治療」だと思わざるを得ません。
ありがとうございました
夜中なのに、早いコメントをいただきありがとうございました。
読んですぐ納得できました。
昨夜は治療法やゲーベンクリームを調べれば調べるほど、どうしようか迷い、なかなか寝れませんでした。
(今朝は予定があったので、眠かったです。。)
昨日はガーゼを外してみると、きれいに皮膚は取られていて、鮮やかな赤色の皮膚が剥き出しでした。
これは痛いはずだとわかりました。
どうしようか迷ったあげく、夜中だったのでそのままそのガーゼで蓋をして、やはりばい菌が入ったら怖いので、ラップをガーゼの上から大きく巻いて、そして包帯をしました。
足のくるぶしなので、靴を履いたりしてばい菌が入らないかだけが心配でした。
今はお風呂で石けん泡で優しく洗い流してきました。
このコメントを見る前だったので、直接傷口にはゲーベンクリームを塗らずに、ガーゼにゲーベンクリームを塗って蓋をしようとしていました。
先生のコメントを読ませてもらったのと、実際に傷口はもう外側から7ミリほど新しい皮膚ができてきています。
治癒力を感じました!
バラマイシンだけ乾燥しないようにたっぷり目に塗って、ガーゼで覆い、ラップを当ててから包帯して寝ようと思います。
これは全て自己責任で行います。
本当に不安で不安で、今日もいろんな方に話をしたり、友達の旦那さんは友人の薬剤師さんに聞いてあげよう、と言ってもらったりしました。
本当にありがとうございました。
また経過を報告させてもらいます。
湿潤療法のサイトもたくさん見させてもらいました。
広島県 中谷より
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