ストレス蓄積に気付かず体調を崩していく人達
2017/11/20 00:00:01 |
ストレスマネジメント |
コメント:5件
ストレスマネジメント指導の難しさの本質は、
ストレスという見えないものが同時に自覚されにくいものであるという所にあると思っています。
はたから見れば明らかにストレスで体調不良に陥っていると思われる人であっても、
どれだけ体調不良がひどくても、本人が「ストレスなど関係ない」あるいは「ストレスなどどうしようもない」と思っていれば、
こちらがいくらストレスマネジメントの話をしても全く響かないという経験を数多く積んでいます。
また最近それ以上に厄介だと感じているのは、
体調不調すら自覚していない人もいるということです。 やせ型の若い女性の友人でめまい、立ちくらみをしょっちゅう繰り返しているという人がいました。
その方は職場柄ストレスが結構かかる環境で働いていて、私は彼女に糖質制限やストレスマネジメントの話をことある毎にしていました。
その度に「糖質制限は意識はしています」「ストレスは大丈夫です」という返事なので様子を見ていましたが、
ある時彼女がめまいで仕事を休むという出来事がありました。
気になって私は別の機会で彼女に血液検査をしてみないかと勧めてみることにしました。
彼女は「健康診断で特に異常は言われていない」と最初検査を拒みましたが、
「健康診断の項目では調べられない異常もある。例えば鉄不足の可能性もある。」「貧血も別に言われていない。」「貧血がない鉄不足もザラにある」
そのようなやりとりの中でようやく彼女は血液検査を受けてくれました。
その結果、確かに貧血も含めて一般的な健康診断で診るような項目はすべて基準範囲内でしたが、
貯蔵鉄を反映するとされるフェリチンという項目は、26ng/mLと低値でした。
私は彼女に当座の鉄補充の必要性を説明し、胃部不快感などに注意しながら内服するように指導しました。
おそらくやせ型で人の良い彼女は消化吸収能が低く、緩やかな糖質制限レベルでは到底十分な鉄吸収ができない状況で、
ストレスについても「大丈夫」と言い聞かせることでその場を何とかやり過ごすという日々を繰り返してきたのではないかと思います。
もしかしたらその無意識で蓄積していくストレスが健康診断で検出できない微細な炎症を起こし、副腎も疲労していき、鉄の吸収もさらに阻害されていたのかもしれません。
「美人薄命」と言いますが、すらっとして気のいい美人さんほど私は見えない身体の異常に気をかけるべきだと私は思います。
身近に私ほどの糖質制限指導及びストレスマネジメント指導者がいて、
口を酸っぱくして糖質制限とストレスマネジメントの必要性を伝えていてもこうなってしまうのですから、
一般の患者さんは尚更糖質制限+ストレスマネジメントの必要性を感じることはないでしょう。
もしかしたらめまいを繰り返していても「私はもともとそういう体質だから仕方がない」くらいに思っているかもしれません。
そう思っている人の心に私のような人間の言葉が届くはずもなく、
体調不良が許容範囲を超えた時点で初めてその人は病院へ行き、理由の分からない自分の体調不良に対して他人の医師に助けを求めるのでしょう。
よもやその原因が自分の生活習慣、生活環境の中にあるとは夢にも思わずに。
改めて患者さん自身が原因に気付き、自分が原因に対処していく「主体的治療」普及の必要性を強く感じる次第です。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
私、今日から断糖始めます。
糖質のない人生を歩みます。
糖質の悪を知りながらやめれずにいました。そんな自分が嫌いでした。
中毒の治療(断糖)には苦痛を伴うと思いますが、好きな自分になれるようできるだけ楽しみながら頑張ってみます。
誰にも宣言できないので尊敬するたがしゅう先生に宣言してみました!!
さよなら糖質!ありがとう糖質!!
Re: タイトルなし
コメント頂き有難うございます。
依存から抜けるために誰かに宣言するというのは一つの良い方法と思います。
うまくいくことを心よりお祈り申し上げます。
先生のブログを読むと何だかワクワクします。
まじめやなぁ、とブログに突っ込んでしまうことも…(笑)
そんな真面目でステキな先生のブログに出逢えて、幸せです!!
いつも素晴らしい記事をありがとうございます!!!
心にも応急手当てが必要な理由
TEDでも同じような内容のトークがありました。紹介しますね。
http://www.nhk.or.jp/superpresentation/pastprogram/161208.html
TED演者が言うように、「みんなが心のケアを歯磨きをするように心掛けるようになれば劇的に生活の質が上がる」と僕も思います。
Re: 心にも応急手当てが必要な理由
コメント頂き有難うございます。
自分のストレスに気付くことができるのは世界中どこを探しても自分しかいません。
たとえ権威者にストレスを指摘されたとしても、それを信じて行動するのと自分が気付いて行動するのとではまるで意味が違います。権威者はあくまでも他人、自分にしかわからない自分の行動は他人は知りえないからです。
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