たがしゅうの負荷試験コントロール
2017/11/07 03:00:01 |
人体実験 |
コメント:11件
これまで行ってきた数々の人体実験シリーズの中で、
サラダチキン、バター、ササミ、75gブドウ糖、人工甘味料ゼリー、人工甘味料コーラの負荷試験に対して、
よくよく考えれば比較対照(コントロール)がなかった事に今更ながら気づきました。
即ち何も食べなかった時と比べると何がどう違うのかという検証です。
というわけで今回の人体実験コーナーでは、
何も食べなかった場合の私の8回採血の結果について報告したいと思います。 といっても普段私は1日1食ですので、いつも通り過ごしている中で8回採血するだけです。
他の負荷試験と比較しやすくするために、今回も血糖値、ケトン体値、インスリン値、グルカゴン値の4種類を、
食前、食後30分、60分、120分、180分、240分、300分、360分の8回にわたって採血しました。
検査期間中は一切の水分も口にしていません。結果は以下の通りです。
実測血糖(mg/dL) 実測3ヒドロキシ酪酸値(μmol/L)
食前 87 209
30分後 90 195
60分後 87 278
120分後 88 478
180分後 82 729
240分後 82 669
300分後 83 455
360分後 86 201
(血糖基準値:70~109mg/dL 3-ヒドロキシ酪酸基準値:85μmol/L以下 )
インスリン値(μU/mL) グルカゴン値(pg/mL)
食前 6.2 201
30分後 8.5 213
60分後 10.3 169
120分後 10.6 208
180分後 10.1 183
240分後 12.4 220
300分後 11.5 198
360分後 9.8 193
(インスリン基準値:1.7~10.4μU/mL グルカゴン基準値:70~174pg/mL)
今回の結果、私にとって予想を大きく覆すものでした。
というのも私は絶食をしていれば右肩上がりにケトン体値は上昇していくものと思いこんでいたからです。
しかし実際は、お示ししましたように、何も食べていなくてもケトン体の上下変動は起こり得る、という事のようなのです。
こうなると今までの負荷試験の解釈はさらに複雑になります。例えば人工甘味料でケトン体値が下がるとか言っても、自然変動で下がっていた可能性も否定できなくなるからです。
なぜ何も食べていないのにケトン体が下がったり、インスリンが上がったりするのかは分かりません。あるいはこれが生理的変動というもので、何も食べていなくてもこれくらいの上下変動はあるということなのかもしれません。
ただ流石にケトン体の下がり方としてはマイルドで、一番下がった30分後の地点でも一般的な基準値よりも高い数値です。
人工甘味料負荷の場合は基準値内に治まるほどケトン体値が下がっていましたので、やはり私の場合は人工甘味料でケトン体値は下がると解釈しておくのが妥当だと考えます。
やはり実験してみないとわからないこと、知らず知らずのうちにそうだと思いこんでしまっていること、あるものです。
事実をベースに考えて、解釈については常に軌道修正していく余地を残しながら思考を積み重ねていきたいと思います。
※なお、諸事情で人体実験のコーナーの実施はこれまでのペースでは行えなくなります。
結果を楽しみにして頂いている方には申し訳ございませんが、何卒お察し頂きたく存じます。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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Re: タイトルなし
> 誰かに何か言われたのでしょうか?
まあそんな所です。詳細は御察し頂ければと思います。
No title
Re: No title
御質問頂き有難うございます。
今回の実験は5日間断食実験の3日前に行っています。
運動に関しては前日にZUNBAを45分間踊っています。それによる筋肉痛は特にありませんでしたが、微小筋傷害の可能性は否定できません。運動後の筋修復過程でインスリンがどうなるかについては確かに検討の余地ありかもしれません。
インスリン分泌のピーク時刻
貴重な人体実験のデータを紹介していただきありがとうございます。
インスリン分泌についてですが、「ホルモンから見た生命現象と進化シリーズ」の「発生・変態・リズム-時-」という本に日周リズムの記載があり、インスリン分泌のピーク時刻が17時と書かれていました。
何もしなくても、夕方にインスリン分泌が増えてケトン体値が勝手に下がるということはないでしょうか?
Re: インスリン分泌のピーク時刻
コメント頂き有難うございます。
御紹介の書籍のデータは1日3食食べているヒトにおけるインスリンの日内変動でしょうか。食べている量と質によりインスリン変動は大きく変わりうるので解釈には注意が必要です。
ちなみに私の今回の実験におけるインスリンのピーク、240分後は「13時」でした。
タイムラグ
ケトンの消費と生産との間に生じたタイムラグと考えることは出来ないでしょうか?
もっと長いスパンでみたら誤差の範囲なのかもしれませんね。
Re: タイムラグ
コメント頂き有難うございます。
CGMのように、持続ケトン体モニタリングができる時代になれば、
このような上下動が誤差の範囲なのか、要因があって起こっている現象なのかの判断の参考にもなりそうですが、
現時点でその結論を出すのは難しそうですね。
Re: インスリン分泌のピーク時刻
返信ありがとうございます。
書籍には「ヒトの場合」としか書いてないので食事回数はわかりません。
また、アディポネクチンの分泌のピーク時刻が12時から14時とも書かれていました。アディポネクチンにインスリンの効きを良くする作用があることから、13時から15時の間にケトン体値が下がっていくのかなとも思いました。
Re: Re: インスリン分泌のピーク時刻
コメント頂き有難うございます。
見える部分はごく一部で、きっと見えない所で様々な変化が起こっているのでしょうね。
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