人工甘味料は極めて不自然
2017/10/12 06:00:01 |
医療ニュース |
コメント:6件
以前に人工甘味料入りゼリーの人体実験を行いました。
その時に私が感じた印象は、「確かに血糖値は上がらないけれど、ホルモンなどに奇妙影響を与える」というものでした。
人工甘味料にはどうやら私達が把握できていない潜在する問題点があって、血糖値だけに捉われていると見落としてしまうかもしれません。
そんな中、人工甘味料の問題点を指摘する記事がありましたので、読んでみました。
カロリーゼロの“甘い罠”専門家が指摘〈週刊朝日〉
10/9(月) 7:00配信
(以下、記事より引用)
カロリーゼロの人工甘味料入り飲料は、体形が気になる人にとっては心強い味方。しかし、最近の研究では、糖尿病のリスクを高めるという指摘もある。頼りすぎて、油ものなどほかの食べ物でカロリーオーバーになってしまう人もいるようだ。
【写真】人工甘味料入りダイエット飲料の糖尿病発症リスクはこちら
中部地方に住むミカコさん(45)夫妻は、週に1~2本、人工甘味料入りのコーラや炭酸飲料を飲む。気持ちをスカッとさせたいときや、甘いものをとりたいときに利用するそうだ。
「やっぱりカロリーが気になるので。ゼロカロリーの飲みものなら安心です」(ミカコさん)
昨今、スーパーマーケットやコンビニエンスストアの飲料コーナーでよくみかける人工甘味料入りの、いわゆる“ゼロ・オフ系”ダイエット飲料。ミカコさんのようにカロリーを気にする人や、ダイエット中の人にとっては心強い味方だ。
だが、実は一見ヘルシーにみえるこの人工甘味料は、体内の糖の代謝に影響を与え、糖尿病の発症リスクを高める可能性が指摘されている。糖尿病予防の視点から人工甘味料の研究を行っている金沢医科大学医学部衛生学准教授の櫻井勝さんは、こう話す。
「人工甘味料は砂糖と違って、血糖値を上げることはありません。ですが、まったく別のメカニズムから糖尿病の発症に関わっている可能性が、さまざまな研究でわかってきています」
(中略)
人工甘味料は、これまでは肥満や糖尿病などの予防や改善に役立つとされてきた。それが、なぜ糖尿病の発症リスクを高めるという、真逆の指摘がなされるようになったのか。
注目を集めるきっかけは、2014年にイギリスの科学雑誌ネイチャーに発表された論文だ。「人工甘味料の一つサッカリンが腸内細菌叢(腸内フローラ)を変化させて、耐糖能の異常をもたらした」とする研究結果が報告されたのだ。
耐糖能とは、インスリンが血液中のブドウ糖を細胞に取り込む能力のこと。それが異常になると、血液中のブドウ糖を処理する能力が低くなり、糖尿病予備群といえる状態になる。前出の櫻井さんが解説する。
「最近の研究では、腸内フローラが糖尿病などさまざまな生活習慣病に影響を及ぼすことが明らかになっています」
ネイチャーの論文では、人工甘味料を与えたマウスにブドウ糖入りの水を飲ませて血糖値の変化をみると、耐糖能に異常を認めたという。また、その実験マウスの腸内フローラを無菌マウスの腸に移植すると、同じように耐糖能異常が起こることが明らかになった。
人工甘味料が腸内フローラにどのような仕組みで変化をもたらすのか、また腸内フローラの変化がなぜ耐糖能異常を引き起こすのかなど、未解明な部分も多い。ただ、このほかにも人工甘味料が糖尿病の発症リスクを高める研究がいくつか報告されているという。
その一つが「人工甘味料が脳の錯覚をもたらし、食べすぎを促す」可能性だ。
「通常、炭水化物や糖質をとると、ブドウ糖が血液中に取り込まれて血糖値が上がりますが、人工甘味料では血糖値は上昇しない。そのため脳は食事量が足りないと錯覚し、食べすぎてしまうのです」(櫻井さん)
このほかにも、「人工甘味料の強い甘さに慣れると甘みの感覚が鈍くなり、より強い甘さを欲するようになる(甘味への依存性)」「腸にも甘みを感じるレセプターがあり糖の吸収を高める」といった問題も報告されている。
では、どれだけの発症リスクがあるのか。櫻井さんは、富山県の金属製品製造業の従業員で、糖尿病のない35~55歳の男性2037人を、03年から約7年間にわたって追跡調査した。この間に糖尿病を発症したのは170人。人工甘味料入りダイエット飲料の摂取量と糖尿病の発症との関連を調べると、ダイエット飲料を週にカップに約1杯(237ミリリットル)以上飲む人は、飲まない人に比べて糖尿病のリスクが1.7倍高かった。
(後略、引用ここまで)
ヒトという複雑な有機生命体を安易に人為的コントロールしようとするとろくなことはないということなのでしょう。
血糖値を上げないという事だけに注目して、本来の食性とはかけ離れた人工甘味料を摂取するという事がいかに不自然なことなのかについて強く警鐘を鳴らされているように私は感じます。
腸内細菌は炭水化物中の配糖体の糖質を利用して薬理活性物質を生み出すという形で、
宿主であるヒトと腸内細菌の見事な共生関係を結んでいるはずですが、
人工甘味料では腸内細菌が利用することができず、腸内細菌の分布にも変化を生じてしまうのであろうと推測します。
また甘いのに血糖値が上がらないということで身体がかく乱されて、ホルモンバランスなどに奇妙な変化をもたらしうることも総論的にはよく理解できます。
そう考えると、同じ甘味を持つ物質なら自然の構造が保たれる形での炭水化物、糖質を摂る方が、
人工甘味料で甘味を摂ることに比べて、まだ幾分か安全であるような気もしてきます。
いろいろな事を考えさせられる人工甘味料問題ですが、
次回はこの人工甘味料入りダイエット飲料について人体実験を行ってみたいと思います。
たがしゅう
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
人口甘味料
私は第一子出産後、妊娠糖尿病から糖尿病になり、その時にゼロカロリーサイダーにハマってしまいました。アセスルファムKとスクラロース入りの物です。当時500mlを1日2本、1年近く飲んでいましたが、血液検査に異常が現れました。糖質制限をしていたのでhba1cは5.4〜5.6でしたが、グリコアルブミンが12〜3%台→15%台にまでなっていました!食事は変わっていないのにこれはおかしいと思いゼロカロリーサイダーを止めたところ、4ヶ月位で元の数値にもどりました。これも人口甘味料の影響なのかもしれませんね。今は人口甘味料入りのお菓子を食べていますが、サイダーの時のようにグリコアルブミンがあがったりはしていません。御参考までに。
Re: 人口甘味料
コメント頂き有難うございます。
グリコアルブミン12~15くらいの変動は必ずしも病的意義はないかもしれません。
しかし見えない所で人工甘味料の悪影響が及んでいる可能性は否定できません。明日の記事も御参照頂ければ幸いです。
こんにちは
太りたくなくて砂糖の替わりにエリスリトールを使っていました
ところが段々と同じ使用量では甘く感じられなくなって
消費量が増える一方になり、怖くなってやめました
今もエリスリトールは比較的安全な甘味料と言われていますけど
甘味は癖になるので、摂取しないに越した事はない様に思います
Re: こんにちは
コメント頂き有難うございます。
> 今もエリスリトールは比較的安全な甘味料と言われていますけど
> 甘味は癖になるので、摂取しないに越した事はない様に思います
確かにたとえ血糖値に影響を与えずとも、
甘味でドーパミン神経系を介して脳の報酬系が刺激され、さらなる甘味を欲するというメカニズムはあると思います。
たとえエリスリトールであっても、程よい距離間で接した方が無難かもしれません。
No title
やはり血糖値が上がらないので満足感がないのでしょうか?値段も高い糖質オフスイーツを二つたべるなら普通のスイーツを一つ食べるほうがいいような気がしますが。
Re: No title
> 人工甘味料をつかったスイーツは食べても満足感がないんですよね。
それは私も同感です。
人工甘味料入りゼリーなんか3個食べないと満足感が得られません。
実験して不自然さが明らかになってからはもう食べないようにしていますが。
> 値段も高い糖質オフスイーツを二つたべるなら普通のスイーツを一つ食べるほうがいいような気がしますが。
糖質選択という考えに基づけばその方法もありという事になると思います。
いずれにしてもそれを判断するのは自分の体調と相談しながらというのがよいと私は思います。
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